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69.
ゆっくりと目を開ける。
それから二度、瞬きをする。
いつの間に寝たのだろうかと疑問に思いつつ、ミコは起き上がった。
眠る前、─という表現で合っているはず─その際は確かソファで横になっていたはず。それなのに、今はいわゆる天蓋付きベッドで寝かされている。
ベッドはベッドで違う部屋にあったようだが、わざわざフリグスが運んでくれたというのか。
あのフリグスが?
ミコ程度の人間なんてソファで充分だろうと、そのまま放置されると思っていたのだが。
そんな戸惑うミコを遮ったのは、少し身体を動かした際の下腹部の違和感。
それは射精 された際にも感じた腹部の重み。
その嫌な満腹感を覚える腹部を不安げにさすった。
そんな時、少し離れたところからガチャという音が聞こえた。
思わず音がした方へ目を向けると、部屋に入ってきたフリグスの姿があった。
「起きたのか」
「ぁ⋯⋯え⋯⋯おはよう、ございます⋯⋯?」
「呑気なものだな。性交が終わった途端に急に寝たお前をベッドに運んだ礼の方が先にじゃないのか」
急に寝るとか、赤ん坊かと悪態を吐く。
寝た原因が分かり、それゆえにミコの制止を聞かずに有無言わさずに情事に耽っていたことを思い出し、顔を真っ赤にした。
「ご、ごめんなさいっ。色々と迷惑かけて⋯⋯」
「本当に。栓をしてやらないと緩みきった穴から精液を零すし、汗だくだったから着替えまでやった。感謝しろよな」
そこまでと、自身の服装を見てみると確かにミコのではない、大きいサイズのワイシャツ姿だった。
腹部をさすっている時に気づかなかったのは寝ぼけていたからだと思われる。
下は何も穿かされていなかったが、大きいおかげで大事な部分まで隠れていた。面倒であったからかもしれないが、ここまでやってくれて、文句はとても言えない。
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