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ぎゅっと胸を押さえた時、下腹部がズキッと痛んだ。 それは魔道具を嵌められた箇所が主張しているようだった。 行為を終えた後、このような痛みを感じたことがあっただろうか。 魔法の効果が切れた? それとも、嬉しいという感情が興奮に変わってしまったのだろうか。 「⋯⋯⋯」 食溶植物が暴走した原因がこの魔道具を嵌めた張本人かもしれない、とフリグスが言っていた。 そうだとしたら、この学園にいるということになる。 虎視眈々と狙っている。 怖い。 「おい」 「⋯⋯っ!」 肩が飛び上がった。 バクバクとする心臓を抑えつつ、ふっと顔を上げる。 「なんだ。人を化け物を見るような顔をして。見た夢でも思い出していたのか」 「夢、ではないんだけど⋯⋯」 「静かに寝ているかと思えば急にうなされていたから、そうかと」 夢を見たことは覚えていないが、うなされていたということはまたあの出来事を見たのだろう。 そもそも今はあのことを思い出したわけではない。 「ほら、水を持ってきたぞ」とお盆の上に乗せられていた水を「ありがとう」と受け取ったミコは一口飲んだ後、口を開いた。 「さっきフリグスが言っていた魔道具を嵌めた張本人の話。その人がこの学園にいるかもしれないと、ふと思い出したら怖くなって⋯⋯」 「だが、それを外すチャンスかもしれない」 「そうだけど⋯⋯」 「保証できないかもしれないが、良い結果をもたらす可能性もある。というよりもそうしてもらわないと、今後も不利な状況が続く。オレもお前も」 魔道具を外してもらわないと自分達が不利な状況が続くって何のこと。 何か都合の悪いことがあったっけ。 「⋯⋯お前、まだ寝ぼけているのか。お前の成績が良くならないと、オレまでもが落第扱いになるんだろうが」 怒気を孕んだ口調で言われて、そうだったとハッとし、「⋯⋯ごめんなさい」と小さく呟いた。

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