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目を吊り上げ、明らかに怒っている様は初めて見た気がする。いつもは声だけでもビクつかせるものだったが、今は手に持っているコップの中身を零してしまいそうになるぐらい震え上がった。 「お前がオレに突っ込まれて、気持ちよくなりたいのなら別に構わないが、オレにとっては余計な手間だ」 「ぼくだって、フリグスにこれ以上迷惑をかけたくないよ。だから、囮でも何でも甘んじて受け入れるよ」 「最初から素直に言えばいいものを」 全く世話が焼けると、腕を組んだフリグスは嘆息した。 ただ外してもらえるのなら、喜んでそうする。 だが、急所に嵌めるほどのことをしたのだから、相応のものをミコに求めているのかもしれない。 それが、もしかしたら命の危険を及ぼすものだとしたら。 ぞっと寒気がした。 命が危ぶまれるのだとしたらこのままでいいと思ってしまう。けれども、そうしてしまったら、フリグスの反感を買うし、この学園に来た意味が無くなってしまう。 どうしたら。 迷うミコを遮るようにまた鈍い痛みがした。 「⋯⋯あの、フリグス」 「まだ何か用か」 「大したことじゃないかもしれないけど、いつも性交する時、痛くならないように魔法をかけてくれているん、だよね⋯⋯」 「さっきしたことを忘れたのか。お前がギャーギャーうるさいからかけてやってんだろ」 「うるさくなんか⋯⋯じゃなくて、じくじく痛い感じがするんだ。終わってからもこんなことなったことがないし」 「何かに対して興奮しているからじゃないのか」 「今、興奮する状況じゃないし」 「何でもいい。見せてみろ」 「見せ、る⋯⋯」 ぎゅっと、布団を掴んだ。 すると、フリグスの瞼がピクッと痙攣した。

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