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「何恥らっているんだ。散々突っ込んで喘いでいるクセに」 「そうなんだけど、何だか⋯⋯」 「⋯⋯チッ、めんどうなやつだ」 「⋯⋯あっ」 痺れを切らしたフリグスがむんずと布団をひっぺ返した。 下は足の付け根程度まで隠れはしているが、ちょっとしたことで見えてしまう。 咄嗟に足を閉じた。 「足を開け」 「⋯⋯⋯」 「⋯⋯煩わしいな」 「や⋯⋯っ」 短い悲鳴も虚しく、フリグスの抵抗できない手によって足を開かれてしまった。 「⋯⋯気のせいか⋯⋯?」 眉を寄せ、独り言を呟く。 何があったのかと訊く前に「気のせいか」と自己完結したように言った。 「オレの魔法が効かないはずがない。あとお前、性交の副作用がなさそうだな。今までよりも魔力を注いでやったのにも関わらず」 「⋯⋯あ、そういえば⋯⋯」 ──相性がいいってことだね。 リエヴルの言葉が過ぎる。 途端、どくんっと鼓動が高鳴る。 相性がいいってことは⋯⋯す、す⋯⋯。 ──好きなんだね〜。 「なんだ、急に赤くなって。熱か?」 「好きってわけじゃないです!決して!!」 「は? お前、何言ってんだ」 硬直した。 しまった。自ら墓穴を掘ってしまった。 「何でもない! 何でもないです! 熱を出しておかしなことを言いました! 寝ます!」

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