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76.
自身の膝に肘を乗せ、顎に手を添えたリエヴルははぁー⋯⋯と深いため息を吐いた。
ミコの天に昇るような気持ちよさは、フリグスが魔法で感覚を鈍らせている擬似的快感で、本当の気持ちよさではない。
仮にも局所に魔道具が嵌められていなくても、事務的に行為をするだけで、ミコを悦ばせたいというのは微塵もない。
ふと、ミコの口の中で大きくなるフリグスの雄を咥えながら、見上げた時の色づく頬や少し乱れた息を吐く彼の姿が頭に過ぎった。
ミコを悦ばせたい、ではないが、彼のことを悦ばせることができて嬉しいと思った。
この嬉しいという積み重ねが悦びに繋がるというとでもいうのだろうか。
「てか、ミコ。そういう話嫌がっていたじゃん。急にどうしたの? そんなにヨかったの?」
「それは⋯⋯」
昨晩のリエヴルの言葉を思い出し、ぶわっと顔が熱くなる。
「ミコ! 何その反──」
「リエヴルのせいだからね」
キッと睨みつけた。
さすがにそのようなことをされて、リエヴルは狼狽えた。
「え、えっ? 急にボクのせいにされたんですけど」
困惑するリエヴルを尻目に身支度を整えた。
「え、ミコ。そんな状態で授業に出るつもり?」
「だって、授業ぐらいちゃんと出ないとただでさえギリギリの成績なのに、これ以上落としたくないよ」
一番はフリグスにまた小言を言われるのが嫌だからだが。
寝不足なのは自分の失言から恥ずかしすぎて眠れなくなったせいだ。
だから、歯を食いしばってまででも授業に出ないと。
「さすがに少しは寝て」
え、と思うが前に押し倒される形でベッドに寝かされた。
「成績は自分だけの問題じゃないから、必死になるのは分かるけど、そんな状態じゃ頭に入らないだろうし、授業中に寝っちゃったら元も子もないよ。だから、少しは寝て。授業は途中からでもいいから」
布団を掛けられ、ぽんぽんと優しく叩かれた時、うとうとし始めた。
そこまでされると寝たい気持ちの方向に傾く。
ゆっくりと瞼が下りていった時、リエヴルが囁く。
「おやすみ、ミコ。行ってくるね」
ちゅ、と額に温かいものが触れた感覚がした後、ふっと意識が遠くに行った。
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