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ホウキに跨り、軽やかに飛ぶフリグス。 周りが手こずっている魔法を難なく唱え発動させるフリグス。 薬の材料を誰よりも早くに揃え、出された課題をそつなくこなすフリグス。 引っこ抜いたらうるさいマンドラゴラを、すぐに静かにするフリグス。 どのフリグスを見ても、輝いて見えて胸のときめきが止まらない。 のに、それを阻止するように脚の間のはズキズキと痛んでくるのだ。 何故なんだろう。 昼。調理実習の時ご飯を炊く係だったミコは、今回は上手くできた火の魔法で炊いたご飯に、スパイスの利いたカレーをリエヴルと共に囲んでいた。 ちなみにカレーは東洋の行商人が教えてくれたもので、他の国の料理を知るきっかけにもということで、出された課題でもあった。 「リエヴルどうしよう。フリグスが輝いて見えるんだけど、なんでだろう。何してもカッコよく見えるんだよ。それを見る度に胸がいっぱいいっぱいでご飯も食べる気にならない」 「恋の病だねぇ〜、そういう季節だよねー。食べられないなら、ボクが食べようか?」 「うん」と頷きかけた時、あることを思い出す。 調理実習の時も当然のようにフリグスとペアで、他のペアの四人でしたわけだが、実家でもたまに手伝いしていたミコもそこそこできる方だと思っていたのだが、そんなミコよりも野菜を三種類同時に剥いてみせるのだ。 それもそのはず。フリグスは魔法でやるのだから、手作業の方がまだ早いミコがてんで魔法が使えないわけで、その魔法を前にしたらその差は歴然だ。 しかし、ミコからすると誰よりも早く作業を終わらせる彼の姿は素敵で、惚れ惚れしてしまうのだ。 全てが全てフリグスがしたわけではないが、それでも一部でも彼が作ったカレーを食べないなんて、ありえない。 どれほどお腹がいっぱいでも食べたい、食べなければならない。 「このカレーは食べる。⋯⋯いや、永遠に保存しておこうかな」 「そんなことはできないと思うけど、そういう魔法があるのかな⋯⋯っていうか! ミコがゾッコンすぎて、そんな魔法をかけられたかと思うぐらいだよ! もしくは媚薬を飲まされた!? こんなにも夢中になれる媚薬があるなら、ボクにもちょうだいよ!」 「きっと、そんな魔法も媚薬もないよ⋯⋯」

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