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「でもね、ボクの育った町では当たり前のことだったんだよ。あまり働き口がなくて、町に出て稼ぎに行くか、漁に出るか、身体を売るか。ボクも友達と同じことをやろうと思ったけど、友達がお客さんが満足できるような媚薬があったらなってぼやいていたから、だからボクはそのためにこの学園に来たんだ」 なるほど、と思った。 性的なことに興味があるから、媚薬を求めているのかと思ったら、それは友人のためであったのか。 友人のために学びに行くことを決めたリエヴルは思いやれる優しいんだなと思った。 確かにミコに対しても、優しい面はあった。 苦手なベンゲルを追い払おうと──それは、貴族嫌いなリエヴルが進んで喧嘩を買って出ている理由の方が大きい気がする。 あとは、火の魔法の補習の時、自分のほうが先に終わったのに、ミコが終わるまで待ってくれたり、応援もしてくれたりもした。 今回のフリグスと一夜を共にしたと半ば勘違いした出来事も、フリグスのことで一睡もできず、けれども授業を出ようとするミコを心配して、無理やりにでも寝かせようとしたりして、気遣ってくれたりもした。 ほぼ本気の自身のを咥えさせようとしたり、魔力供給の副作用で迫ってきたりして気まずく思うところはあるものの、それを除外すれば思いやれる友人だ。 「⋯⋯あれ? でも、前にこっそり集めようとした媚薬の材料を、魔法調合部の人に作ってもらおうとしていたよね」 「あー改めてこの学園に来て良かったなって思ったよ。えっちが下手な人にも気持ちいいって思うような演技をしないといけないし、魔力供給の副作用でしばらく興奮状態が抜けないしぃー。友達は本当すごいなぁー」 棒読み加減でさっさと食べる友人を誤魔化したと半目で見ていた。 「一番はミコと友達になれて良かったと思ったことだよ」 「それはどうも」 「友情えっちでもする?」 「しないです」

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