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93.
「抜いてよ⋯⋯! 抜いて⋯⋯!」
暴れたい気持ちでいっぱいだったが、繋がっているところが酷く痛むからわめき散らすことに留めた。
彼の前でこんな姿を見せるのは初めてだった。だから、フリグスもためらいがちに抜いた。
抜く際も酷く痛くて、わっと声を上げた。
「⋯⋯お前、もしかしたらこの痛みは⋯⋯」
「もういい! 出てってよ! 出てって!」
声を荒らげるミコにそれでもフリグスは何かを言っていたが、このような状態のミコに何言っても無駄だと判断したのか、何も言わなくなった。
それから間もなくミコの前から姿を消したものの、ミコは気づくはずもなく泣き喚いた。
なんで、こんなことをするの。
フリグスはやっぱり自分勝手で、こっちの言うことなんてこれっぽっちも聞いてくれなくて、ぼくのことは嫌いなんだ。
なんでこんな人にときめいていたんだろう。胸の痛みは勘違いだったんだ。
魔法か何かでこの気持ちを誤魔化されていたんだ。
なんで、好きって思っちゃったんだろう。
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