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そのリエヴルは今頃、ペアに魔力供給をしてもらって補習を受けているのだろう。 常日頃、顔を突き合わせれば口喧嘩をするペアだが、たった一度のことで気まずさを覚えるミコ達のようにはならず、いいなと羨んでしまう。 どうしてそうならないんだろう。口では嫌い、身体の相性が良くないとはいうけど、本当は仲が良いんじゃないの。 木の物陰で勤しんでいる人達でさえ羨ましいと思ったミコは、同時にひがんだ。 何であんなに嬉しそうに啼けるのか。自分のように魔道具を取り付けられていないから、魔法をかけずとも素直に悦べるからなのか。それとも、やはりタチ側がネコ側の気持ちを汲み取って、気持ちよくさせてくれるからなのだろう。 何故、ミコのペアはあんな人が宛てがわれたのだろう。 嫌になる。 「おい、落ちこぼれ。補習はどうした」 突如として掛けられたぶっきらぼうな声に、肩が飛び上がりそうなほどに驚いた。 背後を振り返るとむすっとした顔のベンゲルがそこにいた。 「なんで⋯⋯? リエヴルは?」 「ヤツはいつもの副作用が強く出て、補習どころじゃなくなった」 「え、それは大変! 行かないと!」 「人のことよりも自分のことを心配しろって」 駆け出しそうになったミコの首根っこを掴んだベンゲルによって座らされ、そしてその隣に当たり前に座った。 「行ってもお前が何ができるってんだ」 「ごめんなさい⋯⋯でも、心配で⋯⋯」 俯いたミコは膝上に乗せていた両手を強く握りしめた。 はぁ、とため息を吐かれた。 びくっと肩を震わす。 「⋯⋯そもそもオレが来たのは、ヤツがお前のことが心配だからオレにどうにかしろと押しつけられた」 いい迷惑だ、お前らはと腕を組んだベンゲルがはんっ!と鼻息を荒げた。

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