99 / 139

99.

「そういえばアラタス君は、今日の補習は終わったのかな?」 「⋯⋯ぁ、あ、いえ、まだです」 「ならちょうどいい。今から補習するための準備をしようか」 にこりと笑いかけられた。 どくん、と高鳴った。 「え、えっ、本気で言ってるんですか?」 「はい」 「はぁ? お前、ちょ⋯⋯っ」 行こうかと手を差し伸べるその仕草が紳士的で、自分のことを大切にされているような気持ちになったミコは、夢を見ているような目をし、その手を取った。 瞬間、目の前が真っ暗になった。

ともだちにシェアしよう!