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101.※フリグス視点
ペアのヤツもそんな連中の一人だった。
ヤツの姿を見た途端、間抜けな顔をし、教科書など一瞥もせず、ずっとヤツのことを見ているのだ。
自分に見せる顔は、怯えた顔しか見せないのに。
何が気に食わないのか。
苛立つ。
だが、最近はこっちに対しても何故か嬉しそうな顔を見せる。
それはいつの頃かは忘れたし、最初はそんな顔を見せるとは思わなくて虚をつかれたような顔をしたが、その顔を見ると心が軽くなるような気がした。
それが何なのか、むず痒くも感じていた時、あの教師にまた腑抜けた顔をしているのを見た時、ぶわっと心の奥底から仄暗い炎が燃え上がるのを感じた。
そうだ。あの教師に対しては最初からあの顔を見せる。
気に食わない。苛立つ。
何故、あんな教師にそんな顔を見せる。そんな簡単にそんなアホ面を見せるのか。
苛立つ。
そのうち、あんなヤツにも簡単に身体を許してしまうでないのか。
そうであれば、頭が緩い。危機感がなさすぎる。
誰が魔力供給してやっているのか分からないのか、意味も分からない魔道具を外す協力をしてやっているのは誰か分かってないのか。
「⋯⋯⋯」
読書する気がすっかり失せてしまった。
長いため息を吐きながら本を閉じたフリグスは、一旦横になろうと座っていたソファに身体を預けようとした。
「フリグス、いるっ!?」
バンッ!とけたたましい音がした。
人の断りもなく土足に入り込んできた。
鬱陶しいと目を向けた。
確か、ヤツとよく一緒にいる友人らしい⋯⋯。
「⋯⋯って、お前ら何やってんだ」
「ナニってえっちなことだよぉ⋯⋯?」
「違うっ、コイツ、副作用が酷くて⋯⋯。一旦コイツのことは放っておいてください」
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