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103.※フリグス視点
てっきり保健室に行ったのかと思ったベンゲルは、ミコのことが気になったのもあり、行ってみたものの二人の姿がなく、だったら寮に寝かしているのかと思い、行ってみたが、やはり姿を見かけず、その際リエヴルに話しかけてしまったものだから、連れて行くしかない形になってしまったと、愚痴のような言い訳に近いことを言っていたが、フリグスの耳にはとうに入っていなかった。
静電気のような音がしたのは、魔力がなくなったからとばかりに思ったが、ヤツがこの学園からいなくなった可能性があるということか。
その可能性だとしたら、やはりあの魔道具を嵌めたのはあの先生ということになる。
何故、そこまでしてヤツに執着するのか。
昔、森に迷い込んでどうのこうのと言っていた。
その際、ヤツが悪さでもし、その罰で嵌め、そして今は外してやり、その罪を赦そうとしているのか。
いや、そんな穏便なこととは思えない。
他に考えられるとしたら、何か。
今のフリグスには他に思いつかなく、それからその術者の真意が分からないために、危険が及ぶかもしれないと思うと、焦燥と苛立ちが募った。
術者に外してもらう機会ができたというのに、その肝心の場所が分からず仕舞いであるこの状況を打破するには。
「アイツらが消えた場所はどこなんだ」
「中庭のベンチですね」
「そうか」
立ち上がったフリグスはその二人の横を通りすぎた。
「は、ルーグロリア様っ? 行っても意味が⋯⋯」「放っておきなよ。それよりもボクのことを満たしてよ」「は、はぁ? そんなことをしている場合じゃ⋯⋯」という声が背後から聞こえてきたが、扉で遮断した。
何がなんでも、ヤツの居場所を突き止めてやる。
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