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107.※フリグス視点

無理やりこじ開けて入った先は、不気味な場所だった。 足を踏み入れたところは水浸し。 全てを見渡せない空間の中央には、人が余裕で入れてしまう悪趣味な鳥籠。 その中に囚われている裸のアラタスの姿を見た時、カッと頭に血が上った。 何故こんなにも怒っているのか。 分からないが、あの変態教師に愛想を向けていたことが、そんなヤツがアラタスに今しようとしたことに気づいたことで、その苛立ちをぶつけた。 それでも涼しい顔をする教師に余計に腹を立てた。 「この程度の魔法、造作もない。ヤツの場所が分かればどこでも行ける」 「とてもペア想いなんだね。でも、他の子にしたがるほど嫌がっていたようだね。どうして? 先生に教えてくれるかな?」 「生徒を攫った上に裸にする愚かな変態教師に話す義理はない」 先生ヅラしやがって。 目を鋭くさせる。 その時、アラタスよ足の間が目に映った。 途端、ルイスに杖を向けた。 「やはりお前がアイツに魔道具を付けたんだな。そんなことをする意味があるのか」 「可愛いこの子を悲しませる子には、きっとわかりっこないことだよ」 人差し指を唇に当て、少し傾げたルイスは楽しそうに笑う。 ギリッと歯ぎしりをする。 「なら、これ以上お前と話すのは時間の無駄だな」 フリグスはすぐに唱えた。 「烈火の如く燃えたぎろ、そして業火に焼かれよ」 直後、杖の先に火が集まり、それが線を描くようにルイスに向かって放つ。 「静かに流れる水よ、強硬な盾となれ」 瞬く間に持っていた杖から足元の水がルイスの前に立ちはだかり、それが透明な壁となり、炎線を消し去った。 「急な魔法はよしてくれるかな。ミコ君もろとも炎に焼かれてしまうじゃないか」 そう言い、何かを呟くとルイスが出て行った鳥籠が天井と繋ぐ鎖が軋ませながら引き上げていき、宙吊りとなる。 その様子に呆気に取られそうになっていたフリグスだったが、ハッと嗤った。 これで思う存分、殺れる。

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