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110.※フリグス視点
「ちょうどいいタイミングで来れて良かったぜ」
「おマヌケフリグス! ボクに感謝してよね!」
「ゴーレムを召喚したからこそ、オマエの一応お得意の植物魔法が発動できたんだろ。まず先にオレから感謝しろ」
「そりゃあ、どうもでしたぁ」
「お前、この〜〜っ!」
額と額がぶつかりそうな勢いで顔を突き合わせる二人の姿に、一瞬咳き込むのを止めた。
何故、この二人がいるんだ。
あの教師とアラタスがいたとされる中庭のベンチには、確か一人で行ったはずであるし、あそことここを繋ぐ魔法は自分が通った時には閉じたはずでもあった。
疑問が次から次へと出てくるが、咳きこんでいてそれを口にすることができずにいた。
そんなフリグスのことは構わず、二人は売り言葉に買い言葉のような口喧嘩をしていた。
「おやおや、人が増えたかと思えば。ミコ君との祝福しに来てくれたのなら大歓迎だったのだけど、そうでもなさそうだね」
「え⋯⋯先生もミコのことが⋯⋯?」
「ミコのことを独り占めしたいのはものすごく分かるけど、これはちょっと違うんじゃないですか? ⋯⋯けど、善いシチュかも⋯⋯」
「お前はな⋯⋯!まだ副作用が抜けてないんだろっ、だから来るなと⋯⋯」
「大切な友人の恋路が邪魔されそうなんだよっ!? じっと待っているわけにはいかないでしょ!」
「⋯⋯邪魔されそう? 邪魔をしているのは君達じゃないかな。私はね、君達よりも早くにミコ君のことが好きになったんだよ? それなのに我先に奪おうとして。許せないな⋯⋯」
ゴーレムに杖を向ける。
「返してもらおうか」
「させるか!」
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