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112.※フリグス視点
「ルイス先生、死んだの⋯⋯?」
「どうだか⋯⋯いや、そんなことよりも! ルーグロリア様っ、大丈夫ですか!」
慌てふためきながら、そばに寄ってきたゲファールに、頭に響くから静かにしろと返そうとしたが、実際は熱っぽい息が吐かれるのみ。
頭もぼうっとする。どことなく寒気もする。
こんなタイミングで魔力を消耗した影響の症状が出てしまったのか。
こんなところで座り込んでいる場合ではないのに。
己を奮い立たせ、のろのろと立ち上がる。
「⋯⋯へ? ルーグロリア様! どこへ!?」
「⋯ミ、⋯⋯ミコは、どうした⋯⋯」
「ミコ、は籠の中に⋯⋯って、そのような状態で行くつもりですか! ──ってぇ!」
急に声を上げた。
どうやらアネルヴがゲファールに何かしたようで、それで何やら揉めているようだった。
だが、そんなのを構っている暇もない。
背後でいつもの口喧嘩を聞きながら、足を引きずりつつ向かった。
フリグスが発動した水魔法を浴びたからであろう、ゴーレムだったものが砂塵と化し、山となっていた。
そんな砂に囲まれるように鳥籠があった。
その中にいる者の姿を捉えた途端、冷めていたはずの苛立ちが湧き立ち、重かったはずの足で駆け出した。
砂を掻き分け、入り口を見つけたフリグスは合間を縫うように入って行き、薄暗闇の中、戒められたままの相手を見た。
瞳は閉じられているようで、フリグスが来たことに気づいていないようだった。
この中にも水がある程度入ってきたようで、全体的に濡れていた。
汗でぐっしょりと濡らし、肩で息するのを見かけたことはあるが、その時は手間で上半身は着たままの状態でしか見たことがなく、今のように裸の状態を見たことがなかった。
それゆえにそのような状態な上に、肌を濡らし、拭かれることなく水が垂れる様子は今までに感じたことがない感情が襲ってきた。
心拍数が上がっていき、その影響で顔が熱くなっていくような。
おかしい。なんなんだ。
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