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「えっ! どうしたの! 具合が悪いのっ!?」 慌ててそばに寄ると、そこでミコの存在に気づいたようで、ゆっくりと顔を動かした。 「⋯⋯お前⋯⋯起きたのか⋯。身体の調子は。⋯⋯魔道具も、外れた⋯⋯だろ」 「身体の調子なんて、フリグスの方が⋯⋯!⋯⋯って、魔道具が外れた⋯⋯?」 フリグスのか細い声からそのようなことを言ったはず。 だけど、いつ、どのタイミングで。 ルイス先生の手を取った後の記憶がない。 術者に外してもらえるかもしれないと、フリグスは言っていた。 リエヴルとベンゲルにルイス先生のことを言ったら、ミコのことで争っていたと言っていた。 ということは、ミコが記憶がない間に、魔道具が外され、そしてルイス先生とフリグスによるミコの奪い合いが勃発していたということになる。 魔道具を嵌めた人物だと思われる相手も、何故ミコの奪い合いしていたのか、何もかも信じられない出来事ばかりで、ただでさえあまり頭を使うことが得意ではないのに、頭の理解が追いつかない。 「そういえば、ルイス先生は? ぼく、あの後の記憶がなくて⋯⋯その時に魔道具を外されたの⋯⋯?」 「⋯⋯今は、あんなヤツ、⋯のことはいいだろ⋯⋯」 途切れ途切れでありながらも鋭い口調に、肩を震わせる。 「⋯⋯あんなよりも、目の前にいるやつ⋯⋯のことを、考えろ」 目を瞬かせる。 目の前にいるやつ、というとそれは。 「⋯⋯あいつの、話をすると⋯⋯無性に苛立つ。⋯⋯具合が良く、なってきたのに⋯⋯またぶり返しそうだ⋯⋯」 咳き込みながらも、ぶつぶつ文句を言う。 しかし、不機嫌そうな顔をしていてもさっきよりも頬が赤いのは、熱のせいなのだろうか。 「今度また、アイツの話をしたら⋯⋯誰が魔力供給、してやっているのか⋯⋯その緩みきった尻に⋯⋯分からせてやるからな⋯⋯」 半身を起こしていたフリグスは、指を突きつけ、怒っていた。

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