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名残惜しそうにその子と離れた後。
数年かけてできた顔を鏡で見ながら、思い馳せた。
あの子は元気にしているだろうか。
前の顔とはかけ離れた顔にしたくてこの顔にしたが、あの子好みの顔になっているだろうか。
片手間に復讐をした後、あの子と一緒になれたとしても、ただ愛し合っているだけでは過ごしていけない。
だから、手に職をつけないといけない。
偽名を使い、テリオス・マギア魔法学園の教師として、日々を過ごしていた。
あの子とまた再会する日を夢見て。
そしてついにその日がやってきた。
偶然にも担任となったクラスにあの子がいたのだ。
なんでも、誰も外せない魔道具を外す方法を探すために入学したという。
ああ、可哀想に。あの頃からずっと苦しんでいたんだ。
その苦しんだ分、自分のことを想っていたんだと思うと可愛い。
早く自分のものにしたい。この顔はどうかな。あの子の好みになっているかな。
あの子に会えた嬉しさで、ついあの子と目が合ったら、微笑んでしまう。
するとあの子は頬を赤らめて惚ける。
あの時と変わらないあどけなさが残る顔。
この顔でいいんだ。あの子好みの顔なんだ。
あの人達には向けられなくなった顔を、あの子は嫌な顔を一つも見せずに嬉しい顔を見せてくれる。
心が温かくなる。ぽっかりと空いた穴を埋めてくれる。
自分のことを好きになってもらうために、あの子のことを助けたり、よく微笑んだ顔を見せたりして気を引いた。
それを返すようにあの子もこちらの姿が見えた時、目を追っては恋する乙女のようなうっとりとした目を見せてくるようになった。
もういいかな。自分の手元におきたい。
優しい声であの子の名前を呼んで、他愛のない話をしてささやかな幸せを噛みしめて日々を過ごす。
そんな夢を描いて、現実にしようとした、のに──。
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