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頬に冷たい雫が流れ落ちる。
まつ毛を震わせた後、まぶたを開ける。
冷たい石の感触。
次に全身の痛み。
しかし、それはそのようなところに身体を長時間横たわらせた要因でそうなったのではなく、自身が行なった罪による罰が大きな原因であろう。
罪を犯した自覚はある。だが、したことに対する罪量にしてはいささか過度ではあるように思える。
と、思うのはどこか自分は悪いと思ってないということか。
ふっ、と渇いた笑みを浮かべた。
遠くの方で扉が開かれるような音がした。
ぴくっと肩が動いた。
この反応は恐怖によるものか、それとも無理やりにこの身体に教え込まれた快楽を欲しているからか。
手がとうに届きそうにない頑丈な檻の外からこちらの様子を覗いてくる者がいた。
「起きたか」
短くそう言ったその者の顔は、途端に嬉しげに口角を上げた。
その表情は、今日も罰という名の快楽を与えてやろうかといった加虐心を滲ませるものだった。
ゾクッと、身体を震わせる。
意識がなくなるぐらいに嬲られ、歯を食いしばるほどに激しい痛みを感じた身体が、その者が欲しいというように反応していた。
欲しくない。この身体はあの子のためだったのに。
頭の隅ではそう思っている。そう思っているはずなのに。
「オレらが来ても、全く起きなかったのに最近ではちゃんと起きられるようになったんだな。偉い偉い」
「けどさ、いい加減待機のポーズをして欲しいと思うんだけど」
「確かにそうだな。ま、躾け足りなかったら、身体に教えこんでやればいいってことよ」
「それもそうか」
後からやってきた二人と会話に加わっては、声を上げて笑い合っていた。
その声が部屋に反響し、より耳障りに感じる。
しかし、自分の耳を塞ごうにも両手は後ろ手に、床と繋がれているために嫌でも耳に入る。
不快だ、と少しばかり顔を歪ませた。
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