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「おい、誰が止めろと──」 「止めてやれって」 男の一人が強い口調で止めに入った。 何か窘めているような言葉を掛けているようだが、酷い痛みに意識を向けているルイスの耳には届かなかった。 ズキズキと痛む。 ここまで尊厳を傷つけられると、死んでしまうのではないかと思うぐらいだ。 いや、死んだ方がいい。 あの子ともう一緒にいられないのなら。 「⋯⋯けどさ、あんなにも痛がっていたクセに、イッちまうなんてとんだどマゾだよな。見ろよ、オレの靴も汚れちまった」 「うわ、マジかよ。あんなに踏みつけられたってんのに、感じてたってことかよ。オレには無理だわ」 「躾が足りないかと思ったけど、一応結果が出てたってことか」 そう言った相手に、「確かに」「けど、お前だけ先生を悦ばせちまったってことじゃん」と言い合っていた。 それらの言葉よりもルイスは先ほどの男達の会話に衝撃を受けることになった。 踏んだことで、達したというのか。 未だに痛みが引かないというのに? 嘘だろうと思い、その真意を確かめようと恐る恐ると目を向けた。 見るにも無惨な真っ赤に腫れた自身。 しかし、その姿とは裏腹にその先端部からは白い液体が溢れ落ち、男達のものか自分のものか何度も射精()し射精された白液で汚れている床を新たに汚していたのだ。 信じられない。 ただ殴られ、蹴られ、本来の用途とは異なる箇所に無理やり挿入()れられ、苦痛も屈辱さえも感じていたのに、こんなことで快感を覚えてしまうだなんて。 自分には尊厳なんてものはない。 自分には価値がない。 自分のことを嬲り、弄び、そして生かすも殺すも権利があるのは彼らだ。 自分には何もない。 いや、あの子と離れてからとっくにないじゃないか。 何もない。

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