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第2章:性奴隷編 第6話
目の前に鎮座する巨大な性器に唖然とするばかりであった。互いに全裸になりながら男は胡坐をかき、圭は正座をするという立場の違いを明白にしたような構図。
ユルゲンが去る前、圭へと言い残した言葉のせいだった。あれは、この男の機嫌を損ねたら殺されるということだ。何の躊躇いもなく人を殺していたこの男なら、きっと嘘ではないのだろう。フルフルと震えながら背筋を伸ばす。
「……舐めろ」
「え……」
いつまでも動けない圭に焦れたのか、苛立たし気な声が降ってきた。パッと俯いていた顔を上げる。眉間に皺を寄せた相手はどう見ても不機嫌だった。
男の言葉には目的語がない。何を舐めれば良いというのか。
いや、分かってはいる。全裸で2人、ベッドの上にいるのだ。昨夜とても人には言えないような淫靡な行為もしてしまっている。
ゴクリと唾を飲み込んだ。この、下腹にある巨根を舐めろというのか。
性行為の経験がない圭は当然ながら口淫をされたことがない。口淫というのは女性の行う行為という認識しかなかった。
昨夜の行為が脳裏に蘇る。腹の奥を突き破るのではないかと思うほど隆々と勃ち上がった男根。あんな風になるまで目の前の陰茎を口で慰めろということだろう。
自分の口に同性の性器を入れるというのは抵抗がある。だからと言って後孔なら良いという訳ではないが。
「聞こえないのか」
「は、はいぃ!!」
荒い声音にビシッと背筋を伸ばす。そして、おそるおそる相手へとにじり寄った。
性器へと顔を寄せていく。近づけば近づくほど、その凶悪さに怖気が走る。
顔まで10センチの距離。クンと男らしい香りが漂う。圭は今日2度も強制的に風呂へと入れられたが、彼はきっとそうではないのだろう。一日公務をしてきた末、今ここにいるに違いない。
不敬かもしれないと思いつつも、相手の腿へと左手を添えた。そうでないとバランスを保ちづらかった。そして、ゆっくりと右手を彼の陰部へと伸ばす。
竿を持ち上げる。まだ萎えた柔らかい肉塊は昨夜と大違いだった。力の抜けた性器の亀頭部分へと顔を寄せる。
舌を出し、ペロリと先端を舐めてみた。ほんの僅かに塩味を感じる気がする。
毎日きちんと洗われてはいるのだろう。恥垢があるということはない。
だからと言って一日経った性器が綺麗と言えるかは正直疑問が残る。
綺麗なら舐めても良いという問題でもないが。
ペロペロと舌の表面で亀頭付近を中心に舐めていく。先端から少しだけ透明な粘液が溢れてきた。独特の塩味が足され、圭は眉をひそめた。
竿を支えている右手の中は少しだけ硬度を増した気がするが、それでも昨夜の完勃ちの状態からは程遠い。このままではまずいと直感する。「気に入らない」と言われながら首をはねられる光景を想像して意を決した。
目を瞑る。とてもではないが見つめたままなんて無理だった。大きく口を開き、手の位置を確認しながら先端を口内へと含む。巨大な亀頭が口の中を陣取っているのを感じて泣きたくなってくる。
よもや、人生の中で男の性器を咥える日が来るなんて思ってもいなかった。こんなことクラスの奴らにバレでもしたら卒業まで……いや、卒業後……それどころではない。多分、一生揶揄われるに決まっている。
もちろん、こんな体験、誰かに話すつもりもないが。
口の中に含んだまま、しばらく何もできなかった。
そもそも大きく開きすぎて顎が痛い。まだ何もしていないというのに。咥えているだけで精一杯だった。
そして、肉本来の柔らかさ。歯が当たって傷つけてしまいそうで怖かった。
性器は体の中で最も敏感な場所である。丁寧かつ優しく扱ってあげなければならない。少しでも手荒にすれば、しばらく動けなくなる。
更に鈴口から零れている先走り。咥えたことによって、その全てが喉へと落ちていく。男の体液が体の中に入っていくことで酷い不快感に襲われていた。
こみ上げる吐き気を何とか喉奥で抑え込んだ。性器が吐しゃ物塗れになるなんて絶対に殺される。それだけは避けなければならない。
「ううっ……」
逡巡の末、性器を乗せていた舌を少し動かしてみた。絡めるように側面を舌の表面で撫でる。本当に僅かではあるが、硬度が増した気がした。それに比例して体積も増える。口をもっと大きく開かせられている気がして顎の怠さに拍車がかかる。
必死になって側面を舐め続けたが、期待したほど大きくならない。仕方なく右手を上下に動かし始める。萎えていても大きすぎた性器は先端程度しか口に入らなかった。性器のほとんどは口に含まれていない。亀頭も敏感だが、竿もきちんと愛撫しないと勃起はしない。絶頂などは猶更遠い。
ここまでさせられれば、さすがに圭も分かってはいた。
きっとこれは序の口で、この後に本番がある。
いわば、これは前戯であろうと。
昨夜の絶倫ぶりを思い出して身震いする。またあんな風に嬲られ続ければ、体が壊れてしまう。連日なのだ。後孔は入れる場所ではない。人体の構造を無視して酷使すれば、どうなってしまうか分からない。
だから、是が非でも口淫で逐情させなければならない。可能なら2回ほど。
本当なら、それで満足して終わらせてほしい。
右手の中の性器が更に硬さを増した。
良かった。きちんと感じてくれている。まだまだ先は長いかもしれないが、このまま続けていけばいずれ絶頂に辿り着くはずだ。
ペロペロと亀頭周辺を中心に舐めていく。カリ首を舌先でなぞり、裏筋を下から上へと舐め上げる。ここは男なら誰でも気持ちの良い場所のはず。圭もオナニーする時にはこの辺りを指の腹で撫でる。一気に射精欲が増して絶頂への準備が整う。
そう考えただけで下半身がいつもの快感を思い出してウズウズし始めた。腿を擦り合わせる。
男の性器をしゃぶって気持ち良くなっているなんて恥ずかしい。ただの変態だ。
正座したまま上半身を倒して口淫していたので、まだ良かったかもしれない。性器が布団と接していたら、情けなくも擦ってしまいそうだ。昨夜、睾丸が空になったと思うほど吐き出したというのに。
順調と言って良いのか定かではないが、徐々に勃起しているとは思う。自分を励ましながら口の中の性器をしゃぶり続ける。
「あっ!」
突然、後頭部付近の髪の毛を引っ張られた。思わず口から性器が飛び出る。強制的に上向かせられる。不機嫌に輪をかけたような顔があり、ヒュッと息を飲んだ。
「生ぬるい」
絶対零度を感じさせる声。ビクついていると、後頭部を大きな掌で持たれ、もう片方の手で顎を掴まれた。頬の真ん中付近を指で押され、力強さに屈するように口が開く。
「歯は立てるな。立てたらこの場で殺す」
ビクンと大きく体が震えた。膝立ちになった男が半勃ちの性器を圭の口内へと強引に突っ込む。
「おごっ」
一気に喉奥まで男根を含まされ、涙目の瞳から雫が零れ落ちた。
喉の奥深くまで性器が到達している。唇に触れる陰毛の感触も不快だし、何より喉奥が苦しい。
顎を押さえつけられていた手が離れる。しかし、性器を奥まで咥えさせられている今、閉じることなんてできない。ついでに殺害予告までされている。下手は打てない。歯を立てないようにするので精一杯だった。
「口を窄めていろ」
再び冷たい声が降ってきて、その言葉通りに頬を窄める。苦しさに拍車がかかった。圭の眉間の皺が深くなる。
「おごぉっ! んうっ、うぅっ……」
両手で頭を掴み、男が腰を振ってきた。口の中で性器が喉奥と口腔内を行き来する。
奥へ突き込まれる時の苦痛は酷いものだった。パンと肌を打つ音がする程に唇へと勢い良く下腹を当てられる。それも痛いが、何よりも喉の奥が最悪だった。亀頭が喉の奥の壁を押し、更にその奥深く、食道へと繋がる器官を圧迫する。
それでも必死に歯を立てず、口を窄め続けた。
この2つを違えてしまえば明日の朝日は拝めない。
冗談じゃない。こんな所で男のちんこ咥えるのに失敗してオジャンになる人生なんてまっぴらだ。
「うぐっ、ううっ、うぅ……」
苦しすぎて頭がボンヤリしてくる。どう考えても脳に酸素が行き届いていない気がする。思わず目の前の脚を掴み、握り締めた。
苦しい。もうやめてほしい。死んでしまう。
本当に意識が途切れそうになる間際になって、ようやく性器が引き抜かれた。ゴホゴホと咳き込む。
喉の奥がひりついて痛かった。
(ま、マジで……死ぬかと、思った……)
ハァハァと荒く息をしながら胸元を擦る。心臓がバクバクと跳ねている。緊張から解き放たれたことで、何をする気も起きずにその場に倒れ伏した。
「全くなっていない。これも要修練か。お前は一体何ができるんだ」
呆れたような声が降ってきた。男根などを咥えさせられ、こんなに我慢を重ねたというのに。何の労りの言葉もない。
悔しくて仕方なかった。バレないように、そっと布団で唇を拭った。見えるようにすれば、また機嫌を損ねてしまう。
(死なないため……我慢、我慢だ)
下唇を噛んだ。男の好きにされ、何もできない自分に腹が立つ。
「もう良い。確か初めてだったと言っていたか。これから俺好みに躾けていくというのも悪くないと思えばまだ許せる」
後頭部を再び掴まれ、突っ伏していた顔を上げさせられた。薄っすらと口角の上がった唇は楽しそうにも見えた。
掴まれた腕の力は強い。抵抗なんてできず視線を外す。
何もできない圭の、せめてもの反抗心だった。
苛立たし気に後頭部を掴んでいた手を離される。ぽてりと顔を布団に埋める。
「何もできない」と呆れるくらいなら、できる人の所にでも行けば良いのに。どうして興味を持つのだろうか。ユルゲンが言っていた、黒髪黒目が珍しいから? だったら金髪に染めてやる。「髪を染めるなんて不良のすることだ」と祖父が嫌うから染めなかったが、こんなことされるくらいなら不良にだってなってやる。ついでにカラコンだって入れてやる。……いや、それはもう不良ではなくてギャルか?
現実逃避するようにどうでも良いことを考える。
元の世界に戻る方法すら知らないというのに。
もう、これ以上何もされなければ良い。なんだか疲れ果てた。昼間、寝てばかりだったというのに。既にヒットポイントは0間近だ。
グルグル考え込んでいると、体をひっくり返された。天蓋を背景にして圭を覗き込む男の顔。今は……いや、当分……叶うなら二度と見たくはないその顔に眉をひそめる。
こんなカッコいい人物、本来ならいくら見ても見足りないような観賞品に近い存在だというのに。
今はこの男を見るのすらツラい。
「今日は選ばせてやろう。前からが良いか、後ろからが良いか」
何を意味しているのか察して顔面を蒼白にした。
また、あの恐怖の時間がやって来る。後孔を好きにされ、嬲られるだけの時間。
自分の意思などお構いなしに穿たれ、奥で汚液を吐かれ、体の深い部分まで全てを暴かれる。
分かっていた。逐情もしていない男が、これで終わらせてくれるはずもないことなんて。
口を蹂躙されただけで済めば良いなんて、甘い考えが通用しないことも。
「後ろ、から」
何とか絞り出した声は、嫌々言っているというのが分かるくらいには沈んでいた。
この質問をされた時、既に答えは決まっていた。顔を見ながらされるなんて発狂してしまいそうだ。だったら、まだ見えない方が良いに決まっている。
「ほう? 獣のように犯される方が好きか」
コクンと一つ頷いた。何を言われようと気持ちは変わらない。前からするセックスが恋人同士の性行為だというのなら、まだ獣の交尾の方が良い。
覆い被さっていた男が上から退いた。何にも捉える物などないが、だからと言って自由になった訳ではない。
緩慢な動作で上半身を起こす。男へと背を向け四つん這いになった。突き出した腰のせいで尻タブが開き、後孔が露わになっているのが恥ずかしい。
「まだ綺麗なものだ。どうやら男同士のまぐわいというのは、受け入れるココがヤりすぎると縦に割れるらしい。いかほどで貴様のココが淫売のようになるか。楽しみだ」
指を入れられ、先端だけを注挿される。ヒクヒクと後ろが反応しているのが分かる。
暗にこれから先もこの男との性交をする羽目になるということを理解して落ち込んだ。
それ以外の言葉でも、これを最後に手放してもらえないというのは薄々分かってはいたが、その事実を裏付ける証拠を積み上げられている気がして嫌だった。
「さて、どうされたいのだ?」
またか、と気が滅入る。昨夜もそうだったが、どうしても言わせたいらしい。
圭がこれから何をされるのかを。
全く望んでいない行為であるというのに。
まるで、圭自らが欲しているかのように振る舞わねばならないのは地味に心を抉る。
「お尻に、ちんこ……、入れてください」
何とか言葉をひねり出す。屈辱と言わざるを得ない。男を放棄し、女にされると同義だ。そんな趣味は全くないのに。
「……まあ、まだこれも躾甲斐と考えれば……」
呆れたような声がするが、そんなこと知ったことではない。強請れと言うからそうしたまでなのに。クッと喉の奥で悔しさを噛み殺した。
腰を持たれ、後孔の縁に熱い物が当てられた。それだけで、これから訪れる悪夢を思い出して身が竦む。
ガチガチと奥歯がみっともない音をさせていた。四つん這いを作る腕も小刻みに震えている。
(やだ、やだやだやだ!)
フルフルと首を横に振った。やっぱり受け入れられない。今からでもやめてくれと懇願しようかと思い悩んでいた時だった。
「あああああっ!!」
ズブリと一気に最奥まで性器が突き込まれる。昨夜のゆっくりとした侵入とは訳が違う。結腸まで極太の凶器が駆け抜けたのだ。
上半身を支えていられなくなり、腰だけを突き出して顔を布団へと突っ伏した。
ハァハァと息を荒げる。苦しい。体の中の臓器を押し上げられて上手く呼吸ができない。
「やはり、ここで一度止まるのか」
圭の臍の下付近を撫でられる。確かに、その辺りまでみっちりと肉が詰まっている感触がある。
男は何度か結腸付近をトントンと突いた。無理やり拓かれている苦しみの中で、じんわりと甘く切ないような快感が湧いてくる。
「んっ、んんっ、ぅっ」
優しくノックするように。突き入れてきた時の強引さとは真逆の刺激を感じる。
ピクンと圭の性器が反応し始めた。奥の柔肉を押される快感に呼応するように。
気持ち良い。こんな所で感じるはずなんてないのに。
でも、性器を震わせるその刺激は間違いないもので。
(もっと……もっと、してほし……)
トロンとした思考の中、とんでもないことを考えてしまって頭を振る。
違う。そんなはずはない。これは強姦で、犯罪だ。
脅されて言うことを聞かざるを得ない状況。
仕方ないから犯されている。ただ、それだけの暴力行為。
なのに、限界まで拓かれている直腸が昨夜の快楽を思い出したようにうねる。キュウキュウと締め付ける肉筒。襞が血脈の浮いた性器を抱き締める。
「ん、んん……う、がっ、ぁあっ!?」
やんわりとした刺激がしばらく続き、気持ち良さに流されそうになっていた時だった。中に入っていた陰茎が引かれ、一気に奥へと突き込まれる。一度ではなく、何度も繰り返し。
「ああっあッああーーーーーーっ!!」
息もできない程の苦しさに見舞われた後、ズボリと奥が抜けたような気がした。
腹の奥の深い場所。昨夜も埋められた、他者が入り込んではいけないであろう禁断の園。
「やはり、ここまで入れねば全ては入らないか」
男の陰毛が圭の括約筋にピタリとくっつく。
「ああ……ぁっ……」
ハクハクと口を開閉させる。確かめるように緩く動かされるだけでも振動が全身へと回る。
抜かれた結腸が痺れるように痙攣していた。しかし、ギチギチに埋められたその場所が甘く疼いて仕方ない。
ゆっくりと性器が引き抜かれていく。圭の体まで持っていかれてしまいそうで、布団を強く握りしめた。
「ふぁんっ!!」
抜け出る間際まで引かれたかと思うと、またしても奥まで一気に突き入れられる。性器の衝撃についていけず、背を反らしてビクビクと体を震わせる。
そこからの注挿は圭の体の負担など考えたものではなかった。自分の快楽だけを求める、激情に任せたような抜き差し。
しかし、ところどころで思い出したかのように前立腺を突いてくるのだから堪らない。
「ああっ、ぁ……ん、ぁあっ」
ゆるゆると勃ち上がっていた下腹の陰茎は前立腺への刺激によって腹に付くまで高ぶっている。
陰茎への愛撫なんて何もしていないというのに。恥ずかしくて中にいる性器をキュッと締め付ける。それまで以上に剛直の逞しさを感じてビクビクと体を震わせた。
「はっ、口も所作も未熟なくせに、ココばかりは随分と相性が良い」
「あ、…っぅあっ、―っ!」
ガツガツとS状結腸の奥の壁を刺激されて涙と唾液がダラダラと落ちる。プシャリと吹いてしまった潮が布団を濡らした。
唐突に両手首を取られ、腕を後ろへと引かれる。突っ伏していた布団から上半身が持ち上げられた。
「ふ、っ、……う゛あッ! ん、う……っ……あ」
挿入される角度が変わり、前立腺をより擦られるようになる。奥へと入り込む時には必ずと言って良いほど中のしこりを掠めていくのだ。
「…っぅあっ、ぅあッ……あああっ……」
甘い快感が全身をさざ波のように駆け巡る。ドチュドチュと無慈悲に抉られる後孔。容赦ない鉄槌を受けながら何度も絶頂を繰り返す。布団の上に白濁が散った。
「2度目でこれか。この淫売が」
「っン……は、ぁっう、ああ、あ、―っ!」
達しても終わらない。もはや地獄のような快感に頭が馬鹿になりそうだった。
いや、もう既になっているかもしれない。後ろを穿つ性器のことしか考えられなかった。
「も、ゆる、ひて……ゆる、ひてぇ……」
「何バカなことを。まだ俺は一度もイってすらいないんだぞ」
耳元で囁かれ、S状結腸の奥の壁へと腰を回してグリグリ押される。敏感すぎる最奥への刺激に腰をくねらせまた潮を噴いた。
イきすぎて体がキツイ。体操の夏合宿で体力をつけるためと言われて山道を延々と走らされた時もツラかったが、その時以上に酷使しているかもしれない。
「イって……は、やく……イってぇ……」
「俺に指図するというのか」
「ひぃんっ!!」
左足を持たれ、グイッと大きく持ち上げられる。ベッドに横たわり、今度は測位で突かれた。
体操で鍛えた柔軟性で足を上げられること自体はそこまで苦ではないが、また挿入の角度が変わって別の場所が刺激されることには耐性がない。
「あ、……っぅあっ、ハアッ、んっ……ぅ゛っ……――!!」
ズボズボと高速で抜かれる結腸からの快感によって何度も射精させられ、既に睾丸に精液は残っていない。それでも、この責めが終わらず、高ぶったまま何度も絶頂へと強制的に持っていかれる。精液を出すことなく繰り返し達し続けた体は訳が分からなくなっていた。
「ンぁっ、……う゛あッ! んっぁ……」
左足を抱きかかえられ、揺さぶられるだけの玩具になり果てる。意思の反映されないセックスなど玩具にされているだけだろう。
「うっ」
膝を折り曲げられて左足を押され、顔の近くにまで持って来られる。柔軟には自信があるとは言っても、バレリーナのように開かせられれば少し苦しい。
気付けば、男もまた上体を倒していた。思ったよりも近くに美麗すぎる顔があってドキリと心臓が高鳴る。
「んっ……」
下半身の注挿はそのままに口づけられた。触れるだけのキスを一回だけした後、もう一度。今度は顎を取られて深く貪られる。
ズボズボと交わる下腹からは卑猥な水音がする。そして、今度は上半身からも。
口内をグルリと舐め回され、舌を絡ませられる。逃げても追われ、囚われ吸われ。
口の中すら気持ち良い。舌の動きに翻弄されるように後孔が中を締め付けた。その狭い肉筒の抵抗をものともせず、剛直は結腸を超えて直腸を犯し尽くす。
いや、締め付ける度に剛直の硬さや太さ、長さが増しているような気さえする。もう、受け入れる限界なんてとっくに超えている。
それなのに、手加減というものを知らない男根は圭を極限まで苛んでいた。
(あー……もぉ、マジ、むりぃ……)
ぼーっとする頭でキスの快感に身を任せる。これ以上貪られ続けたら人間はどうなるのだろうか。
『腹上死』という言葉が浮かび、頭の中で自嘲する。以前、友人たちと話している時に知った言葉だ。当時は「そんなバカな」と笑い飛ばしたが、あながち都市伝説などではないかもしれない。
不快をかって殺されるのも嫌だが、ヤリ殺されるというのもみっともない。
それも、男に。
「も、ほんとに……むり……です……」
口づけの合間を縫って懇願する。男は不服そうに圭の唇を奪う。
「んん、んんぅ……」
情熱的なキスに脳が甘く痺れてゆく。犯されている下半身はまだしも、そんな風に唇を求めないでほしい。頭がこの強姦者に好かれていると錯覚してしまう。
その証拠に、布団を握り締めていた腕が縋り付く相手を探してしまう。その手を取られて首へと回すよう導かれる。
広く筋肉質な肩へと爪を立てた。下半身の限界を発散するように引っかく。
「ああっ! あーっ、ああっ……んっ!!」
口づけが離れた瞬間、嬌声が飛び出した。恥ずかしくなって自分からキスを求める。すぐに唇が重なり、甘い刺激で口内がいっぱいになった。
(あー……やっば……も、トぶ……)
結腸の奥で飛沫を感じた。脈動する性器が直腸内でビクビクと震えている。何も吐き出す物を持たぬまま、圭も共に何度目かすら分からない絶頂を迎えていた。
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