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第2章:性奴隷編 第9話

 昼食を摂り、午後からは文字について学ぶことになった。圭にとっては見たことのない記号の羅列だが、どうやら文法が少し特殊らしい。同じ法則を使えるのかと思えば、単語の組み合わせによっては全く違う意味になる。日本語も外国人からすれば文字が三種類もあって厄介だと言われることはあるが、この国の言葉も相当に難しい。口の動きは合わずとも会話だけはできて本当に良かった。 「ああー……つっかれたぁ……」  ボスンとベッドに大の字になった。  元来、勉強よりも体を動かすことの方が好きだ。ずっと室内にいるなど性に合わない。  しかし、国の最重要機密扱いの圭がフラフラと好き勝手に部屋を出る訳にはいかなかった。それくらいは分かっている。そんなことをすれば、教育係のユルゲンがどうなるか分かったものではない。  天蓋を見つめながらユルゲンとの会話を思い出す。ユルゲンはしきりに「皇帝陛下の不興を買うな」と言っていた。どうやら、それには前例があったらしい。  以前、夜伽にと宛がわれた女性が彼との間に子をなしたらしい。ただ、そのことで彼女は彼を脅したそうだ。「妻にしろ」と。身分をわきまえない行動に激昂し、彼女はその場で斬り殺されただけでなく、一族郎党全てを根絶やしとして晒し首の刑に処された。  その中には幼い子供も含まれていたらしい。周囲からはさすがにやりすぎだという声もあったそうだが、「卑しい考えの血をくんでいる」との一声で全く考慮されなかったという。  小さく震えて身を縮こまらせる。ユルゲンが何度もそう言うのも頷けた。それは全て圭の身を案じてのことであったから。 「少しは休憩できましたか?」  お茶を片手に寝室へと入って来たユルゲンを見かけてベッドの縁まで近づく。広すぎるベッドというのも問題だ。  皇帝陛下の寝室なのだから仕方ないことだが。  ホコホコと湯気のたつティーカップと一緒にまたしても丸薬の入った薬包紙を渡される。圭は大仰に顔をしかめた。 「えー、またこれぇ?」 「当然です。あなたに必要なものですから」  にっこりと綺麗な笑みを浮かべたまま、受け取ろうとしなかった圭の手に無理やり丸薬を握らせた。 「これ、一体何なの?」 「これですか? 淫魔の秘薬ですよ」 「ええー……」  名前からしてやはり碌な物ではなかった。なおさら飲む気が失せる。 「良いですか? これは、男であっても後ろが濡れるという秘薬なのです。だから昨夜はクスリを使わずとも陛下を受け入れることができたでしょう? それに、掻き出さなくとも腹を壊さなかったのはこの薬のお陰です。精を体がある程度吸収できるようにしてくれます。そうでなければ、毎度メイドに掻き出させなければなりません」  畳みかけるように言われて引いてしまう。確かに、今の圭には必要な物だった。 「淫魔の秘薬はその効能ゆえに絶大な人気を誇るクスリです。しかし値が張ると共に粗悪品なども出回り、貴族と言えど最高品質の物を手に入れるのは至難の技です。こちらはその中でも最も高級とされるランクの物ですよ?」  そんな高価なクスリだと力説されても困る。別に圭自身が欲しいと言った訳ではないのだから。 「何でこの薬、そんな人気あんの?」 「淫魔の秘薬には不老の効果があると言われているのですよ。美容に役立つことから、巷では『魔女の美薬』なんて呼ばれてましたね」  つまりはサプリ扱いということだろう。  手の中の薬包紙を見つめる。この一粒がどれ程の価値を持っているのかはよく分からないが、飲まないという選択肢はなさそうだ。ユルゲンからの圧がすごい。  渋々ながら薬包紙を開いた。黒い丸薬を指先で摘まみ、口の中へと放り込む。ゴクリと一気に茶で流し込んだ。 「よくできました」  ニコニコ笑って空になったティーカップを受け取るユルゲンは機嫌が良さそうだ。 「で、今度は何すんの? また風呂? 勉強? どーせ外には出れないんだろ?」  自棄になってベッドへと寝ころんだ。どうせ自分の希望なんて通らない。だったら言われたことをさっさと済ませて少しでも自由な時間を得たかった。 「勉強に決まっているでしょう。まだまだ覚えなければならないことは山程あります」 「はーい」  体を起こしてベッドから降りようとしたが、それを止めたのはユルゲンだった。両足首を取られ、左右に開かれる。 「わー!!」  今日も下着などという物は与えられていない。つまり薄い布地の下は縮こまった性器が丸見えだった。 「陛下から房事に関しても指導も仰せつかっています。どうやら、手練手管は全くだそうですね」  何を言われているか分かって赤面する。寝台の上での情事ですら筒抜けになっているようで恥ずかしい。 「特に、舌技がからきしだとおっしゃっていました」 「あっ」  硬い手に陰茎を握られる。その手を外そうとしたが、ぴしゃりと手を叩かれた。ジンジンと痛み、赤くなる。 「いけませんよ? これは指導ですから」 「やだ、やだっ」  バタバタと脚を蠢かす。厄介そうに脚を一纏めにされる。 「選ばせてあげましょう。縄で縛られるか、それとも大人しく自分から脚を開くか。前者はオススメしませんね。痕でもついたら大変なことになりますから」  つまり、やめてもらえるという選択肢はない。無理やり縛られて体を弄られるよりも、まだ自分から開いた方が心の傷は浅いだろうか。  フルフルと全身を震わせながら、膝裏へと手を持っていく。一纏めにされていた拘束が解かれ自由を得た。ゆっくりと緩慢な動作で左右へと脚を広げていく。 「良い子ですね。でも、そんな程度じゃいけません。開けと言われたら、これくらいはしないと」 「あっ!」  グイッと容赦なく広げられる。下腹を隠す物がなく、丸見えの股間が恥ずかしい。 「綺麗なものですね。無駄な毛一本ない。こういうのが陛下はお好きなのですね」 「……………ッ!」  指先で性器の近くをなぞられる。ピクリと分身が反応を示してしまった。 「あっ!」  ユルゲンの顔が圭の下腹へと近づいてくる。何のためらいもなく勃ち上がり始めた陰茎を口内へと咥え込んだ。 「あっ! あっ!!」  舌が性器へと絡みつく。竿をまんべんなく舐り、吸い上げた。  睾丸の奥がキュウゥとわななく。一気に射精欲が高まった。 「良いですか? 口淫というのは、しっかりと相手の性器へと舌を絡ませ、吸い上げる力で愛撫するのです」 「ああああっ」  その言葉通りジュッポジュッポと顔を動かし、舌技を披露する。一気に駆け上る射精欲。しかし、根本をきつく握られ射精まで至らない。 「ああ、駄目ですよ。この程度で射精してしまっては。今宵もあなたにはお仕事があるんですから」 「ひぃんっ!」  根本を握られたまま睾丸を揉み込まれる。中の精液がマッサージによってはけ口を求めていた。 「亀頭も大切な愛撫場所です。しっかりと舐って、先走りを吸い出します」 「ひぁっ、あぁっ!」  敏感な場所を舌の表面で舐められる。ザラザラとした刺激が射精欲を高める。  そして吸い上げられた鈴口。キュウと睾丸がわめいていた。  次に狙われたのはカリ首。舌先で丹念に舐られ、快感から涙すら浮かぶ。 「フフッ、勃ってもこれですか。可愛らしいですね。私は見たことありませんが、陛下はあの体格ですから、きっとアソコも大きいのでしょう。良いですか? 竿も丁寧に舐めてくださいね」  竿の根本から上へと何度も舌が往復する。脈の浮いた赤黒い性器を思い出し、後孔が疼いた。 (えっ?)  そんなはずないのに。腹の奥が切ない。あの丸薬に何かまた変な効能でもあったのだろうか。 「あんまり堰き止めていたら壊死してしまいますね。まだまだ全然指導は足りていませんが、今日は一度吐き出しておきましょう」 「ふぁぁあっ!!」  頬を窄めて吸い上げられ、その刺激に吐精する。他人の口の中に精液を吐き出すなんてと思いつつも、離してくれないのだから仕方がない。 「量も少なめですね。昨夜、随分と可愛がられたようで」  ゴクリと飲み込んだユルゲンが性器から顔を上げた。 「の、飲んだの!?」 「こういうものは、飲むのがお約束ですから」  口の端をハンカチで優雅に拭く。まるで食事の後のように悠然と。 「良いですか? 口淫をした後は全て飲み干すのが決まり事です」 「何それ! 誰が決めたの?」 「さあ? でも、殿方というのは、そういうものです」 「ユルだって男じゃん」 「ええ、そうですね。でも、性の対象とされるのも男でしたよ?」 「つまり、ユルは男が好きなの?」 「いいえ。大っ嫌いですね」  綺麗な笑みを浮かべながら真逆なことを言う彼に困惑する。深く聞けるような雰囲気でもなく言葉を噤んだ。 「ああ、ココもまだ随分と綺麗だ」 「ひっ!」  萎えた性器の下、蟻の門渡りを指先でなぞった後、辿り着いたのは少し腫れた後孔。 「少し赤くなっていますね。治しておきましょう」  ユルゲンの指先が熱を持つ。触れられていた括約筋から痛みが徐々に薄れていく。 「ココも、使い続ければ淫らな華を咲かせますよ。……それとも陛下はいつまでもウブな蕾をご所望ですかね」  指先が皺を確認するように後孔をなぞっていく。それだけで下半身の奥に熱が籠るような気がした。 「……ユルも、……魔法、使いなの?」 「ええ。とは言っても、そんな高度な魔術をたくさん使えるわけではありませんがね」  患部を治せるだけでも相当なものではなかろうか。謙虚なのか、それともそれがこの世界の常識なのか。今の圭には見当つかない。 「これ以上弄ると貴方が気をやってしまいそうですので行いませんが、その代わりに少し言葉を学びましょうか」 「言葉……?」  言葉なら、さっき勉強したというのに。小首を傾げる。  確かに、まだまだ分かったというには程遠いという自覚はある。しかし、この状況でそんなことを言われても困る。また座学を行っていた部屋へと移動するということだろうか。 「良いですか? 殿方の中には綺麗な言葉を好む方もいらっしゃいますが、往々にして下品なことを言わせたいという者も多くいるものです」 「あっ」  後孔の縁に指がかかる。ツプリとユルゲンの指先が中へと入り込んだ。 「特に、あなたのように可愛らしいお顔立ちの方なら、なおさらに」 「ぁっ、あっ」  指が奥へと進み、中のしこりを押す。キュウゥと直腸が締まり、指を咥え込む。 「ああ、なかなかに良い締付けです。好かれていると勘違いしてしまいそうだ」 「はっ……――っく……ぅ、あ……」  何度もそこばかりを押されて昂る体を押さえきれない。そうかと思えば、唐突に触れられなくなり、疼きに悶える羽目になる。 「んっ……んんー……―っ!」  クパクパと括約筋を蠢かせ、相手へとねだる。もっと刺激が欲しいと。 「そういう時は、きちんとこの可愛い上のお口でおねだりしなければなりませんよ?」  唇を指で撫でられた。僅かに口を開くと、指先が入り込んでくる。 「良いですか? あなたのココは尻やケツではありません。おマンコです。きちんとおねだりしたり気持ち良さをアピールしたりする時には『おマンコが気持ち良い』と言わねばなりませんよ?」  ブンブンと首を横に振った。そんなの女性器だ。いくら女性のように扱われても男なのだ。女性ではない。 「あなたに拒否権はありません。もちろん『ダメ』などの言葉はもっての外ですよ? あなたに許されるのは『良い』『好き』『もっと』です。媚びてメスにされねばなりません」 「ンぁっ、――っく……ぅ、あ……ん」  クチュクチュと水音をさせながら前立腺を弄られる。刺激に頭が溶けそうだった。 「さあ、おっしゃってみてください」 「……あっ、イイ……もっ……とぉ……」 「ふふ、非常にお可愛らしい」  グッグッとしこりを押されて射精欲が高まった。締められていない精管の中を白濁がかけてゆく。 「う……っ……あ……あ、―っ!」  白濁が性器から飛び出した。放物線を描いて圭の腹を汚す。 「あッ……はっ……」  息を整えている間に後孔の中を好きにしていた指が引き抜かれた。 「吐精後は、お掃除フェラです。……でも、これ以上やったらもうケイ様の体には毒ですね」  コクコクと頷いた。二度の逐情で体が怠い。眠気に襲われた体をユルゲンが引き起こす。 「さあ、湯を浴びに参りましょう。いくら調教を頼まれているとはいえ、他の男の手垢のついた体なんてお嫌でしょうから」  圭のためではない。全ては、かの君臨者のため。  きっと今宵もまた、あの恐怖の時間がやって来る。  極上の砂糖菓子をこれでもかと食べさせられるような、甘くてツラい時間が。
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