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第7章:結婚編 第3話

 婚姻の儀を終え、いつの間にかマリアはいなくなっていた。もっと話したい事はたくさんあったというのに。残念に思っている暇もなくドレスを着替えさせられる。大聖堂での儀式は終わったが、この後には晩餐会や披露宴が控えている。ドレスのお色直しやヘアメイクの手直しなど、短時間でやらねばならないことは山ほどある。感傷に浸っている暇などない。  采配をとりながらバタバタと確認のために駆け回っているユルゲンは本当に忙しそうだった。顔に全く余裕が見られない。何なら少し怖い。大国を統べる皇帝陛下の結婚式。絶対にミスは許されないという確固たる信念を感じる。我が儘なんて言える気配は微塵もない。色々あって本当は疲れていたが、グッと我慢して喉の奥に引っ込めた。  式典の後は各国の要人たちを招いたパーティが催される。そのため、今、圭はエメラルドグリーンのドレスに身を包んでいた。そして首元や耳飾りには金のアクセサリー。そのどちらもがアレクを印象付ける色であることは分かっている。  しかし、ゴテゴテと付けられた装飾品の数々にウンザリしていた。元々、圭はアクセサリーの類が苦手だった。気になってソワソワしてしまう。  だが、今回付けているのはどれもがとんでもない価値を持つ装飾品ばかり。下手に弄って壊したり汚したりしたらどうしようと思うと、体がガチガチに固まってしまう。 「ケイ様、では、こちらを」 「うへぇ……やぁっぱ、これだけは履かなきゃなんねーの?」 「当然です。花冠とクリスタルのハイヒールは婚姻の儀において必要な物ですから」  ドレスが変わったことで、もしかしたら逃れられるかと期待していた部分があっただけに残念だった。ガックリと肩を落としながらスリッパから履き替える。今日のために作られた物なのだから仕方がないが。 「う~、いててて……本当にこの靴、凶悪すぎ。そもそも、重くて硬くて当たるとこ全部いてーし」 「仕方がありません。伝統なのですから。今までの皇后陛下の皆様方もすべからく通って来た道ですので。それに、ケイ様と陛下の身長差がありすぎるんですから、そちらも仕方のないことです」  にべもなく言われて落胆する。もしも圭が伝統を変える機会があるなら、まずは絶対この靴から変えようと心に誓った。  準備のために与えられている部屋の扉をノックする音がする。ユルゲンが出迎えると、アレクが迎えに来たようだった。お色直しをした圭を見て頬を緩める。 「先程のドレスも美しかったが、こちらもよく似合っているな」 「俺としては着られてる感、半端ないけどなー」  ウンザリした顔をしていると、苦笑しながらアレクがヘアメイクを乱さない程度に髪を撫でてきた。愛おしいという気持ちを隠すことなく前面に押し出してくるその仕草に少し照れる。  アレクも同色の軍服を着ている。胸元などを飾る装飾の数は圭の比ではない。整然と並べられてはいるものの、邪魔くさそうに見えてしまう。しかし、アレクは幼い頃から式典慣れしているだろうし、圭のようには思わないのだろう。 「それでは次の会場までお連れしても良いか?」 「おう、連れられてあげよう」  アレクがキャラに似合わず恭しく手を差し出してきたため、そのノリに合わせることにした。プッと吹き出すアレクに、少し感じていた緊張感が緩和する。  パーティが催されるのは、城の中で最も広いホールだった。確かに、見慣れない顔付きの人たちがたくさんいる。各大陸から来ているということだったから、今まで城下などでも見たことのない人種の人たちなのだろう。  パーティは立食スタイルで様々な料理が並んでいる。参列者たちはホール内の至る所で歓談しているが、主賓である圭とアレクは檀上で来賓客たちからの挨拶を受けていた。  ただ、アレクは豪奢な椅子に腰を掛けているが、圭はその隣に立ちっぱなしだった。 (うぅ~、足いてぇよぉ……。何だよ、このスーパー男尊女卑は! 俺が権力持ったら、ぜってーこれも変えてやるぅぅ!!)  相手の話に合わせながらウンウンと笑顔で頷いてはいるものの、心の中では悪態を吐いていた。  来賓客の列は途切れることがない。むしろ、どんどん伸びているようにすら見える。 「ケイ、大丈夫か? 顔色が悪いようだが」 「だいじょ……ばない。めっちゃ足いてぇ」  何組目かも分からなくなった謁見の客を見送った後、アレクが一度列を止めて心配そうに圭へと振り返った。アレクの座る椅子の少しだけ後ろに控えて立っているため、アレクから圭の顔は常に見えている訳ではない。  最初は強がろうと思っていたが、心が折れた。まだまだ続く謁見の列を見て、あとどれだけの間ここに立たされ続けるのだろうと考えると全身に怖気が走る。  それに痛いのは足だけではない。地味にコルセットでギューギューに締め付けられている上半身も苦しかった。息をするので精一杯で、食べ物が喉を通せると思えない。  上半身も下半身もツラい。みんなに祝ってもらえて嬉しい反面、そろそろ限界も近かった。 (女の人って本当に大変だなぁ……。化粧も顔に色々塗られて気持ち悪いし、ヒールの足も痛いし、コルセットも苦しいし、良いこと何もねーじゃん)  来賓客の多くは圭に美しいと賛辞を送ってくれる。それに関しては素直に感謝を述べているものの、女性でない圭にとって美を褒められても正直イマイチ嬉しくはなかった。国内随一を誇るプロのメイクアップアーティストによって施された部分が大きいだろうし、きっとお世辞も含まれているだろう。  それなら「カッコいい」と言われたい。今まで、ほとんど言われたことがないから密かに憧れていた。  圭が黄昏れていると、アレクが眉間に皺を寄せて何か考えているような素振りを見せる。その様子を見て、圭はハッとした。 「な、な~んちゃって! 嘘嘘! 冗談だって! 全然だいじょぶ!! 俺、まだまだ全っ然元気!!」  無理して満面の笑みを作る。ファイティングポーズをとってやる気をアピールした。  わざわざ遠方から来てくれているだろう人もたくさんいるはずだ。それも圭たちを祝うためだけに。そんな人たちを無碍にする訳にはいかない。 「ユルゲン、今日の謁見はこれで終了とする」 「かしこまりました」 「えっ!?」  アレクが椅子から立ち上がった。圭を横抱きで持ち上げる。 「俺、まだ大丈夫だよ? まだまだできるって」 「そんな顔色で何を言ってる」  アレクは圭を抱えたまま檀上の際まで歩を進めた。 「妻が二人きりになりたいと強請るので、今日はこれにて失礼をさせてもらう。謁見の続きは明日以降、順次対応する。とはいえ、まだ宵の口。御来賓の皆様方は、どうぞ心行くまで宴を楽しんで帰ってほしい」  圭の頬に触れるだけのキスをすると、その格好のままスタスタと歩き出した。 「あれくぅ!?」  微笑ましいという表情で見守る者や驚いた顔で凝視してくる者など、その場にいた来賓客たちの反応は様々だった。  アレクが宣言した内容に加えて、抱いて運ばれている状況が恥ずかしい。客人たちへと顔を向けられず、アレクの服へと顔を埋める。 (アレクの馬鹿馬鹿馬鹿!! あんなこと言ったら、俺が早くえっちしたがってる欲求不満な奴みたいじゃないかよ~!)  内心では散々愚痴りながらも心の奥底ではホッとしていた。アレクの判断がきちんと圭の体を慮ってのことだと分かっている。  それに、抱いて移動してくれていることも本音では助かっていた。立っているのがやっとという状態だったから。  ただ、その抜け方が圭にとっては恥ずかしかっただけ。  会場を抜け、自室へと向かう。やっと部屋へと戻って来たところで、ようやく一息つけた。 「すまなかった。ケイが無理をしているのにもっと早く気付いてやれなくて」 「良いよ。だって今日は俺たちの結婚式だし。むしろ、最後までちゃんとできなくてごめん」 「ケイはきちんとやってくれた。十分すぎる程だ」  ソファに圭を下ろすと、アレクは圭の前にひざまずき、クリスタルの靴を脱がせてくれた。足元だけではあったが、やっと解放されたことにホッとする。 「随分赤くなってしまったな」  アレクの手が圭の足先を包み込む。その手が白く光り出し、みるみるうちに痛覚は消えていった。  左右どちらの足も治してもらい、やっと快適になった指先で握ったり開いたりを繰り返した。 「は~、この凶悪な靴はお蔵入りな! もう、これだけは絶っっっ対無理!」 「そうしよう。圭の可愛い足が可哀想だ」  アレクが圭の足先を撫でながら苦笑した。伴侶とはいえ、大国の皇帝がかしずいている光景に胸がソワソワする。 「お客さんたち、本当に良かったの?」 「問題ない。ユルゲンたちがきちんと順番をつけていたからな。重要な客人や遠方からの客人たちはほぼ全て挨拶できた」  言われてみれば、特に始めの方に挨拶をした人たちは身なりも他より格段に良く、威厳のある人物たちが多かったように思える。きちんと押さえるべきところは押さえていたというのなら少しは気が楽になった。 「ねー、もうこれ脱いで良い? コルセットとかいうやつが苦しすぎて、口から臓器全部出てきそう。それに化粧も気持ち悪い。早く風呂入ってゆっくりしたい」 「そうするか。このケイも本当に美しいが、やはり俺はいつものケイが一番だ」  立ち上がったアレクがチュッと軽いリップ音を立てて圭の額に口づけた。すると、結うために伸ばされていた髪がいつもの長さへと戻る。 「では、風呂へ入るとするか。浴室までお運びしてもよろしいか?」 「許す!」  バッと両手をアレクへと差し出した。アレクは楽しそうに頬を緩めながら圭を抱き上げる。  いつものように共に風呂へと入り、互いを洗い合った。そして寝巻へと着替えてベッドへ運び込まれる。 「あ~~~~~………………づっがれだぁ…………………」  広いベッドの真ん中で両手両足を投げ出して大の字になった。服やメイク全てから解放されるというのは、こんなに快適なものだったとは知らなかった。 「俺、今日、女の人って超超超大変って分かった。これからは超尊敬する」 「困ったな、頻度はできる限り抑えはするが、一応、今後も圭には皇后としての公務が発生するのだが」 「そん時はちゃんとやるよー。でも、アレクだけ座ってて俺ずーっと後ろで延々と立ってるのはちょっと勘弁だなー。それに、コルセットもできれば無しの方向で。ヒールは……ちょっとの高さまでなら許す」 「分かった。善処しよう。まずは二人掛けの椅子の発注からだな」 「お願いしまーす」  圭の隣にアレクが肘をついて横になる。向き合うよう横向きになった。 「その他、改善点は?」 「今のところなーし!」  アレクが圭の髪を撫でる。優しい手つきにうっとりと陶酔した。 「俺たち、結婚……したんだな」 「ああ。もうこれで二度と手放さないからな。覚悟しておけ」 「あはは、怖い怖い」  圭の頭を撫でていた手を取り、顔の前へと持ってきた。その長く美しい指にキスをする。 「ねえ、どうして祭りの時、俺に花冠買ってくれたんだ?」 「あの時は……ただ、漠然とケイに似合うと思った。……しかし、今考えたら、俺はあの時にはもうケイのことを好きだったのかもしれないな。気付いてなかっただけで」 「え……」  思いもよらぬ答えに赤面する。  アレクの手を握っていた手が逆に圭の両手を片手で包み込んだ。 「俺は、欲しいものは絶対に手に入れる。どんな手段を用いても例外なく全てだ。そして自分のものは何があろうと手放さない。つまり、ケイはもう二度と俺の元から逃げられない」 「あはは、怖い告白だな~」  笑い飛ばそうとしたが、アレクの顔が真剣そのもので圭はビクリと体を震わせたまま硬直する。 「冗談なんかじゃない。絶対だ。どこへ行こうが必ず取り戻す。世界の果てでも、……それこそ異世界でさえも」  アレクが圭へと覆い被さってきた。見下ろす男の力強い眼差しに囚われ、動けない。 「ケイは俺のものだ。今後、何があろうとそれだけは変わらない。他に好きな奴ができることも許さない。俺の愛を受け入れて、俺だけを愛さないのなら……×××××」  耳元で囁かれた言葉にゾッとした。  しかし、同時に心の中が満たされる。この美しい人の気持ち全てが自分に向けられているという喜び。  下肢がズクリと疼いた。朝からずっと動いてばかりで疲れているはずだというのに。 「じゃあ、俺が他向いちゃわないように、ちゃんと俺だけのこと見て、愛してくれる?」 「当然だ。ケイ以外なんて眼中にも入らない」  ゾクゾクと心が震える。この人の全てを捕らえているのが圭自身だと考えるだけで興奮が収まらない。 「じゃあ、いっぱいチューして、いっぱい抱いて? 俺の体にアレクの匂い付けて、中も外もアレクでいっぱいにして?」 「言われずとも」  アレクの顔が近づいてきた。当然のように瞳を閉じる。  激しく翻弄される情熱的なキス。舌の動きは言葉以上に圭を求めてくる。  すぐに唇だけでは足りなくなる。アレクの肌が欲しくて、相手の服を剥ぐように脱がせる。 「今宵は随分と性急だな」 「だってアレクが言ったんだろ? 俺が二人きりになりたがってるって」  はだけさせたアレクの首や鎖骨へと吸い付いた。上手くキスマークがつかず、ガブガブと噛みつく。 「こら、一国の皇帝に対して不敬だとは思わないのか?」 「今は……俺だけのアレクだから」 「ははっ、間違いない」  肩口にカプカプと甘噛みしていると、その顔をアレクの肌から離される。噛みついていた場所と唇の間を銀糸が繋いだ。名残惜しく見ていると、アレクの顔が圭の首へと寄せられる。  ジュッと音を立てて吸引された。その強さからキスマークを付けられたのだろうと知る。  アレクは今日の婚姻の儀に向け、目立つ場所には痕を残さなかった。見えない場所にはいつも通り淫らな華が咲いているが、普段、好き放題にキスマークを残していたアレクには少し物足りないような表情をよく浮かべていた。  圭の華奢な首筋に幾つもの鮮やかな華が咲き乱れていく。耳の下から始まったその痕は徐々に下へと移動していく。鎖骨付近へと到達すると、そこでも痕を残していく。 「アレク……も、次……いこうよぉ……」  モジモジと脚の付け根付近を擦り合わせた。肌を何度も食まれ、柔らかい唇の感触に体が反応していた。性器は夜着を持ち上げ濡らしてしまっている。 「俺としては、まだ足りないんだがな」 「でも、俺ももっとアレクと気持ち良いこといっぱいしたい」  アレクのキスマーク攻撃で乱れていた夜着を自ら脱ぎ捨てる。やっと窮屈な場所から解放された性器は肌への直接的な刺激によって腹につくほど勃ち上がっていた。 「ね、俺の、もうこんなんなっちゃってるから」  同じく勃起しているアレクの性器へと陰茎を擦り付けた。裏筋で感じる肉の感触が気持ち良い。胸でも快感を得たくてアレクの体を抱き寄せる。そして、アレクの胸板へとピアスのついた乳頭を押し付けた。ピアスが擦れ、敏感な尖りが快感に疼いた。 「あっ、ああっ」  上半身と下半身から得られる悦楽。でも、どちらも甘く弱々しい。激しい快楽を知ってしまっている体には物足りない。  この程度で満足できるような体じゃない。もっと強烈な快感がほしい。脳内の全てが焼ききれてしまいそうな程の悦楽が。  しばらく体を擦り付けていたが、我慢できなくなり、アレクの体をベッドへと押し付けた。体勢が逆転する。ベッドに横になったアレクへと今度は圭が馬乗りになった。  アレクの勃起した巨大な男根と圭の性器を重ね合わせる。二本をまとめて手淫し始めた。  アレクの性器が大きすぎて片手では指が回りきらない。そのため両手を使って上下に扱いた。 「んっ……」  性器で得るダイレクトな快感。重なっているアレクの性器がビクビクと震え、それすらも気持ち良い。手の中のアレクの性器が太さを増した。長く、より一層硬くなった男根は握っているだけで期待に後孔が疼いてしまう。 「ケイ、こんな程度で良いのか?」  フルフルと首を横に振った。欲しいのは、より深い場所での快楽。 「それなら尻をこっちに向けろ。ケイは俺のを咥えて挿入に備えるが良い」  緩慢な動きで言われた通りにアレクの顔へと尻を向ける。すると、圭の目の前にはアレクの男根。69の態勢は初めてで顔が赤らんだ。  凶悪なまでに太く長いアレクの性器。目の前にすると今でも少しだけ緊張する。口淫だってしたことはあるし、毎日のようにアナルで飲み込んでいるというのに。  ビクビクと震える巨根は鈴口からひっきりなしに透明な粘液を零していた。圭のとは違い、赤黒く凶悪な見た目をしている。何度見ても同じ器官な気がしないし、美しいアレクの体の一部と思えない。  性器の根本を軽く握る。舌を伸ばし、鈴口へと舌先を当てた。少ししょっぱい先走り特有の味がする。しばらく鈴口付近を細めた舌で何度も舐めた。その度に溢れてくる汁を舐め取る。  そして大きく口を開き、亀頭全体を飲み込んだ。アレクの性器は大きすぎて、亀頭だけでも相当な負担がかかる。口内に招き入れた先端を舌の表面を使って愛撫する。滑らかな舌触りの亀頭は舐めやすい。むしろ、圭の舌の方がざらついているだろう。ちゅぱちゅぱと音を立てながら吸ったり舐めたりを繰り返す。 「んっ!」  亀頭への奉仕を続けていると、後孔に指先が触れる感触がした。 「まったく、まだ何もしてないというのにヒクついて。期待しすぎだろう」 「んんんっ」  アレクの指先が括約筋を確認するようにグルリと撫でた。それだけで後孔は次に訪れる刺激を求めて息づくように蕾をヒクつかせる。 「んっ」  アレクの指が一本中へと入り込んできた。入口付近でクポクポと抜き差しをするだけで奥へとは潜り込んで来ない。 「んんー、んっ」 「ほら、口がおざなりになっているぞ」  フリフリと期待するように腰を振っていたが、ペシリと軽い音をたてて叩かれる。その叱責に応えるように口での愛撫を再開させた。  亀頭を口から出し、今度は竿自体へと舌を這わせる。上から下へと丁寧に舐り、浮き出た血脈付近では食んでその脈を舌で擦る。そして咥えたまま脈に沿って下へと唇を動かし、今度は睾丸を舐める。金色の陰毛が顔に当たり、少しくすぐったかった。  睾丸の皺の溝に舌を埋めるよう丹念に這わせた後、睾丸自体を口内に含んだ。口の中で転がす。この中にアレクの子種が億という単位で満ちていると思うと感慨深い。この中の精子たちがもうすぐ圭の中に訪れるのだと考えるだけでキュンと腹の奥が期待に疼いた。 「ケイのここはいつ見ても可愛らしい。色も薄くて、まだ半分皮被りなのも愛らしい。その内、きちんと剥いてやろう」 「んんっ」  後孔で注挿される指はそのままにアレクが圭の性器も緩く手淫し始めた。アレクの手の中で圭の性器がビクビクと反応する。 「こんな小さいのに、ちゃんと勃起して。偉いぞ」  良い子いい子とでも言うように今度は亀頭の先端を掌で擦られた。敏感な場所への愛撫に腰が震える。  負けていられないと、睾丸から再び竿へと舌を這わせた。下から上へ。何度もその形を確認するように舐めていく。圭の唾液と先走りでアレクの男根はぬらぬらと濡れて卑猥な姿になる。  そしてカリ首で舌を尖らせ、ぐるりと巡らせた。鼻息が荒くなる。早く欲しくて興奮が止まらない。  再び口内へと咥え込み、今度は竿の部分も含めて舌の表面で舐めていく。頭を上下させ、徐々に飲み込む深さを増していった。  えづきそうになりながらも、できうる限り奥まで性器を導く。喉奥の壁は繊細で、当たるとウッと声が出てしまう。しかし、その度にビクリとアレクの性器が反応を示すから、きっと気持ちが良いのだろう。圭も口淫を何度もされたから分かる。口内の温かくぬかるんだ柔らかい場所で吸われたり舌を絡められたりすると、得も言われぬ悦楽に包まれる。  アレクの性器は巨大すぎるため、圭のとは違って喉の奥の深い場所まで犯される。苦しいが、アレクが感じてくれていると思うだけで耐えられる。  しかし、イラマチオをずっと続けるには限界があった。極限まで開いた顎は外れそうだし、生理的な刺激で流れてしまう涙に合わせて鼻水まで溢れてきて息苦しい。  多分、今、酷い顔をしているだろう。見られるような格好でなくて良かったとホッとする。  もっと卑猥な場所を曝け出しているのだが。 「もういい。これ以上されたらケイの中に出してしまいそうだ」  アレクが上半身を上げたことで驚いて口から性器を出してしまった。  彼が遅漏なのは知っている。こんな程度じゃ、そう簡単には出さないくせに。  アレクは圭の体を反転させ、両脚を圭の顔の方へと持ち上げてきた。背中が浮き、膝が顔の近くまで寄せられる窮屈な体勢だったが、柔軟性には自信がある。少し息苦しくはあるものの、耐えられなくはない。 「ケイ、自分で脚を持て」  導かれるように膝の裏へと手を持っていかれる。自ら恥部を曝け出すような格好で恥ずかしい。 「やだよ。あんまり見ないで」 「見ない訳がないだろう。ケイの可愛いまんこをもっと可愛がってやらねば」 「んんっ!」  アレクの美しい顔が圭の臀部へと近づいた。舌を出し後孔へと挿し込まれる。 「ああっ! やっ、はず……かし……ッ!」  ジュパジュパと卑猥な音がする。圭の中に満ちる淫液とアレクの唾液が混じったものだろう。腰をくねらせ、その刺激をやり過ごそうと努める。 「きた、ないよぉ! そんな……とこぉ」 「ケイに汚い場所なんてどこにもない」 「ふぁんっ!」  舌を挿し込まれたまま後孔全体に口づけられ、ジュッと吸われる。その間にも中では軟体動物のように舌が蠢いていた。直腸の中を舐められる独特の感触に性器がわななく。 「ああっ! んぁ、……ひぃッ!」  時折、舌先が前立腺へと触れた。敏感な場所に当たる刺激に射精感が強まる。咄嗟に自らの性器を握り込んだ。 「んんっ、ぅっ」 「良いなら一度出せば良い」 「やっ……きょ、しょや……だか、らぁ……! 一緒、イくぅ……ッ!」  ぶるぶると顔を横に振った。せめて最初くらいはアレクを中で感じながら絶頂を迎えたい。どうせ、その後はなし崩し的に快感地獄に堕とされて、圭だけが何度もイかされることは数えきれない程のまぐわいの中で分かり切っていることなのだから。 「本当に可愛い奴め」  アレクが後孔から顔を離し、圭の睾丸を一舐めした。 「今日もここが空になるくらい……いや、空になっても止めてなんかやらない。イきまくって、俺がいなければ耐えられないくらい可愛がってやるからな」 「はや、く……っ! 中、我慢、できないよぉっ!」  フリフリとねだるように尻を振った。実際、一本といえども指で弄られ、性器まで手淫で弄ばれ、直腸は我慢の限界なんてとっくに超えていた。 「ケイが欲しいのはこれだろう?」  手淫をしながらアレクが剛直を圭の蕾へと押し当てた。コクコクと何度も頷く。エラの張ったカリ高の性器は今日も凶悪なほど逞しい。早く奥でその刺激を感じたいと中がうねっていた。 「アレクので、奥、いっぱいにして……まんこ、今日もいっぱい苛めて」 「言われずとも酷く犯してやるから……なっ」 「んああああっ!!」  ズブリと容赦なく性器が挿入された。臀部を持ち上げられているため、挿入されている場所が圭にもよく見える。赤黒いイチモツがどんどん奥へと姿を消していく。 「ひぁっ、うっ、ああっ!」  結腸まで辿り着くと、何度かトントンと奥の壁を先端で叩いてから腰を引いた。一気に貫かれる。S状結腸の奥まで届いた男根。太く、硬い物で中を押し広げられる。  この圧迫感が欲しかった。そして次に訪れるであろうピストン運動に襞が疼く。 「あああっ!」  その刺激はすぐにやってきた。バチュンバチュンと音をさせながら、叩きつけるようにアレクが腰を振る。上から下へと振り下ろす種付けプレスにすぐ夢中になった。 「ンぁっ、……う゛あッ!」  奥を容赦なく突かれる動き。アレクの下で翻弄されるばかりだった。  性器を握る手に力を込める。強すぎる快感にすぐにでも果ててしまいそうだった。  しかし今日は始めの一発くらいは共に果てたい。弱い最奥をゴツゴツと穿たれながら、快感で溢れる涙を零す。 「ん、う……っ……う、ああ、あ、―っ!」  だらしない顔をしているのは分かっている。それを見られていることも。  だが、どうだって良い。今はこの男根で好きに突かれ、快感の波に溺れることだけで良いのだ。 「この、凶悪……まんこめが!」 「んっぐ……んんー……ぅあッ……あああっ……」  アレクが腰を使い、奥をグリグリと先端で擦る。それだけで気持ち良すぎてイってしまいそうだ。必死になって首を横に振る。もう限界だ。早く逐情してほしい。 「も、らめ……はや、く……イって……」 「あと少し……」 「う、あああっ!」  剛直が更に太さを増した。直腸が圧迫される。  下半身が性器で埋められ、自分の体ではないようだった。アレクの元に屈服し、剛直によって完敗させられる。 「でひゃう……ッ! で、ひゃうよ……ぉっ!!」 「くっ……」  下肢が痙攣し、直腸が震えながらアレクの性器をギュッと締め付けた。アレクは眉間に皺を寄せ、腰の動きを大きくさせる。 「あああああっ!!」  ひと際大きく腰を使われ、最奥に熱い飛沫がかけられた。吐精を許されたのだと察する。  痛いくらい力を込めて握っていた性器から手を離した。ドクドクと精液が吐き出される。圭の顔や胸を白濁が汚した。 「ああ、こんなに出して……」  アレクの舌が圭の精液を舐め取っていく。その些細な刺激だけでもイったばかりの敏感な体には強い。ヒクヒクと体を震わせながら愛撫のような舌に陶酔していた。 「んっ」  まだ中に入ったままのアレクの性器が力を取り戻し始める。まだ射精の余韻で力の抜けたままの圭には耐えられない。 「あれ、く……いっかい……ぬい、て……」  息も絶え絶えの中で懇願すれば、仕方ないと苦笑を浮かべながらアレクが男根を引き抜いた。 「っ……あッ」  抜け出る際の刺激ですら気持ち良い。未だ背中が浮くほど脚を持ち上げられた体勢は変わらない。それどころか、抜いたばかりの後孔をアレクは楽しそうに凝視していた。 「やめ、……見な……で、よぉ……」  見られていることに興奮してか、直腸の中が卑猥に蠢いた。中に放たれた精液が蕾から零れ落ちる。ずっと巨大な性器を抜き差しされていた後孔はすぐには閉じれず、クパクパと淫らに括約筋を開閉させていた。 「ダメだ。ケイの全ては俺のものだからな。俺が見たことのない場所などあってはならん。それに、せっかく出せと言うから出してやったのに、このけしからんマンコはすぐに漏らして」 「あっ、ら、め……!」  栓をするように指を2本入れられた。クチュクチュと入口付近で注挿を繰り返す。その度に白濁が隙間から洩れ、指を汚した。 「ケイのここは悪いマンコだ。これは仕置きが必要だな」 「ああっ!」  指で注挿されながら性器を咥えられる。萎えていた性器はすぐに巧みな舌技によって力を取り戻し始めた。 「らめぇ! きも、ひ、よふぎ……ぅ、よぉ!」  過ぎる快感に体がガクガクと震える。ついさっき中で出されたばかりだというのに、もう奥が疼いて堪らない。括約筋はヒクヒクとわななき、アレクの指を締め付けていた。 「ケイ、どうしたら良いか分かるな?」  気持ち良すぎる口内から性器が取り出され、圭の睾丸を舐めながらアレクがニヤリと意地悪な笑みを作った。  何度も首肯する。いつもは溺愛ばかりのこの人が褥では意地悪なのも十分すぎる程に分かっている。 「アレクの、また、ココ入れて? いっぱい奥ドンドンして、俺のココ、アレクのだって分からせて?」  括約筋の傍へと指を持っていき、左右へと拡げた。くぱぁと開いて中を見せつける。  アレクの指が抜かれ、白濁に塗れた淫らな桃色の肉壁が晒される。空気が入り込んできた。それすらも心地良く、圭は身を震わせた。 「俺だけが見られる素直で淫らなケイは堪らないな」  チュッと軽いキスをされた後、脚を解放する許可を得た。苦しいまでに屈められていた腹が解き放たれ、ベッドの上に体を横たわらせる。ヒクヒクと体は痙攣を続けたまま動けなかった。 「ケイ、休む暇などないだろう?」  チュッチュッと顔中にバードキスの雨が降る。少しくすぐったくて顔を顰めていると、唐突に体を反転させられた。うつ伏せのまま腰だけを持ち上げられる。体勢が変わったことで蕾からは再びコポリと白濁が零れ落ちた。 「ああ、また零して。きちんと蓋をして、また注いでやらねばな」 「うぁっ!」  一気に奥へと貫かれた。ヒクヒクと体がまだ痙攣を止められない。 「ぐっ、――っく……ぅ、あ……んっぁ……」  ズパンズパンと激しく肌を打つ音が寝室に響く。力強く擦られる直腸の快感が止まらない。後背位での挿入は特に前立腺を擦るのに適している。奥へと貫かれる度、前立腺を強く穿ってから進まれ、その都度甘イキを繰り返した。 「らめ、そこ、いっぱぃ……されらら……イっひゃう……ッ!」 「イけば良いだろう。何度だってやってやる」 「ひぁうっ!!」  グリグリと前立腺に亀頭を押し付けられた。それだけでイきそうになり、必死にシーツを握って耐える。 「じゃあ、こっちも弄ってやるか」  アレクの手が乳首へと伸びてきた。ピアスの付いた乳頭を指の腹で捏ね繰り回す。 「らめ、ほんろに……ら、め……っ!」 「イけ」 「ひっあうっ!!」  乳頭を摘まんで伸ばされた後、そこに魔法で微弱な電気を流された。痛気持ち良い鋭い快感が全身に走り抜ける。プシャッと潮を噴いた。 「らめ、それ! ほんろに……あうっ!!」  何度も電気を流され、体が馬鹿になる。性器の下のシーツは潮と白濁でぐっしょりと濡れてしまっていた。腰がガクガクと大きく震える。その度にアレクの性器を強く締め付けているというのに、一度放ったからかアレクは絶頂には程遠い。圭の方は何度もイっているというのに。  両胸のピアスを摘まんで引っ張られる。それだけでも胸にもたらされているのは快感だと馬鹿になった脳が判断する。 「ひぁっ! あっああっ!!」  抉られるように穿たれる力強い男根。ガツガツと叩かれてそこも気持ち良い以外の感想を持たない。  胸を弄っていた意地悪な手は次に圭の膝裏へと向かう。そして、膝裏を掬って圭の上半身を持ち上げた。胡坐をかいたアレクの上へと乗せられる。 「んっぐ……んんー……―っ!」  自重でズブズブと奥まで飲み込んでしまう。串刺しにされた直腸が痺れ、それすらも快感に変換される。 「ほら、圭が俺のを食べてるところ、一緒に見よう」  体が持ち上げられ、不安定な態勢が心配になり、背を預けるアレクの首へと腕を回した。 「ひぁっ! ああ、ひ、んっ!」  アレクが歩く度、奥の柔肉をズンッと性器が穿つ。柔肉がヒクつき、結腸が注挿によってカリで擦られる快感にまた量の少ない射精をする。 「ほら、見てみろ」  姿見の前まで連れてこられ、耳元で囁かれた。快感で閉じていた目を開く。  アレクの剛直を根本まで飲み込み、ヒクつく後孔が丸見えだった。それどころか、大きく脚を開かされているせいで白濁塗れのまま勃起している圭の性器も露わになっている。 「やぁ、はずかしいっ!」 「だめだ。ちゃんと圭が見るまでこのまま終わらないからな」 「ひっぃ、あっ!」  ガツガツと打たれる奥からもたらされる快感で背を反らす。鏡の中の自分が体をくねらせ、淫らに舞うような格好が恥ずかしくて堪らない。 「やぁ、アレク、これ、ほんろに……やあぁ……ッ!」 「どうして?」 「はじゅかひ……からぁ……ひぁっ! うぅっ!」  確信犯的に奥の柔肉が力強く何度か打たれた後、グリグリと腰を回される。またしても潮を噴き、鏡には透明な液体で幾筋も水滴の跡ができる。 「おねが……あれく、ほんろに、やらぁっ……っ!」 「全く、今日のケイは我が儘だ。だが、そんなところも愛してるから、ちゃんとやめてやろう」  脚が床へと下ろされる。ガクガクと震えて自力でなど立っていられない。腰を持つアレクによって支えられていなければ、すぐにでもその場にくずおれていた。 「ンぁっ、――っく……ぅ、あ……んっぁ……」  鏡の縁を握りながら何とか体勢を保つ。脚がつくといっても、足先が触れる程度。ほとんど宙に浮かされた状態で後ろから何度もピストン運動を繰り返される。 「ほら、ケイ、ちゃんと自分の顔を見ろ」  背後から囁かれ、頭を上げた。淫らに蕩けた卑猥な表情。見たくなくてすぐに目を逸らす。 「ケーイ?」  咎めるような声音。嫌々と首を振った。それでも許してもらえる雰囲気ではない。 「ひぁんっ!」 「ケイがちゃんと見ないと、もっと酷くするかもしれないな」  監禁状態で犯されていた頃の記憶が蘇る。キュウと後孔が締まった。  嫌々ながらも顔を上げる。相変わらず顔をくしゃくしゃにして快感に耐えているひどい姿だ。 「あんっ!」  奥を狙って鋭い一撃が見舞われる。鏡の縁を握る手がガクガクと震えていた。 「ケイ、今自分が何をされてるかちゃんと言えるか?」 「う、ああ、あ、―っ!」  ガンガンと奥ばかりを突きながらアレクが酷い提案をしてくる。でも、これを飲まなければ絶対に終わりを迎えることはないだろう。  もう白濁は出し尽くし、空イキばかりを繰り返している体はツラい。しかし、アレクはまだ1回放っただけ。絶倫の彼がそれで満足をしている訳もないし、できるはずもない。 「ま、まんこ、あれくので……いっぱいかわいがられて……ひっ!」  完全に足が着かない状態まで持ち上げられ、力の限り腰を突き入れられる。プラプラと揺れる脚が不安定で怖くて、ガッシリと鏡を強く握りしめた。 「ケイ……また、出る……」 「らひて……ッ! 奥、いっぱい、アレクのザーメン、ほひぃっ! ……ああああッ!!」  大きなグラインドの後、奥へと強く突きつけられた性器の先端から放たれる2度目の逐情。柔肉にかけられる熱い粘液に、もう何度目となるか分からない潮を噴いた。  アレクが全て圭の中へと吐き出すと、やっと床へと下ろされる。脚の感覚がなく、へなりとその場に腰がつく。 「うっ」  後孔の奥から中に出された白濁が降りてくるのを感じて、咄嗟に後孔と絨毯の間に手を入れる。掌にドロリとした粘液の感触。間一髪だったと安堵する。シーツはすぐに変えられるが、絨毯はそう簡単に洗えない。大抵は圭が意識を失っている内に使用人たちが綺麗にしてくれるのだが、それも本当に毎回申し訳ないばかりだ。  以前、あまりの羞恥に苛まれて自分で片づけるからそのままにしてくれと恥を忍んで提案してみたが、ものの見事に却下された。そんな事を圭にさせてはアレクから叱責を受けてしまうと強く拒否されてしまったのだ。だから本当ならできる限り情事の跡など残したくないのだが、アレクから受ける性交の激しさは圭に耐えられるものではない。毎回シーツを派手に汚してしまう。もうベッドの上だけは仕方ないと諦めた程だ。  しかし、さすがに絨毯まで汚すのだけは気が引ける。鏡は雑巾で拭けば良いが、絨毯は染みにならないかも心配だ。どう考えたって高級な代物である。丁寧に織られたであろう逸品だと分かるし、量販店でしか買ったことのない実家のカーペットなどとは訳が違う。  そんな思いなど知らないアレクは床にへたり込んでいる圭を軽々と横抱きにしてベッドへと戻した。 「ね、もう次で今日は最後にしよう」  ベッドに横たえられ、キスの雨を受けながら提案する。アレクは目に見えて明らかに機嫌が悪くなった。圭はアレクの首へと腕を回す。 「今日、朝からいろんなことあってお互いに疲れたじゃん。それに明日も明後日も、これからだってずーっとアレクとは一緒だろ? 今日だけじゃないんだし、明日またいっぱいしよう?」  首を引き寄せる。ギュッと想いを込めて抱き締めた。肌と肌がふれあい、互いに汗で濡れた熱い肌が心地良い。  他人の体液なんて普通は汚いと思うが、アレクだけは別だ。彼の体から出てきたものなら、全て愛おしく思える。これが愛の力なのかとニンマリ笑ってしまう。 「最後は、いっぱい抱き合ってしよう? アレクにいっぱいギュッてされて、いっぱい奥で感じたい」  耳元で囁いた。そしてそのまま耳を食む。うっすらと汗の味が口の中に広がった。耳の後ろや下などへと舌で舐めながら唇をずらしていく。ゴリッと下肢に当たる硬いイチモツの感触。アレクの触り心地の良い髪を梳きながらコツリと額同士を合わせた。 「どうでしょうか? 旦那様」 「最愛の妻がそう望むなら、そうせざるを得ないだろう」  互いにクスリと笑い合った。そして深いキス。淫らに舌を絡ませながらも髪を撫でられる手付きが優しくて陶酔する。  長いキスを終え、アレクが圭の脚を肩へと担ぎ上げた。大きく開かせられて恥ずかしいが、支えてもらえる分、体勢としては楽だ。  アレクの性器の先端が圭の後孔へと当てられる。 「んっ」  蕾は易々と性器を受け入れた。もう2度も逐情されている。常人よりも太いとはいえ、ずっと咥え込んでいるのだから抵抗する術などない。 「あっ……んっ、……っ」  ゆっくりと押し入ってくる巨大な性器。圭の体を慮っていることが分かり、愛おしさが込み上げる。絶倫のアレクは2度の逐情などでは満足しない。それこそ朝になるまで責められ続けたことだって往々にしてある。  だから、激しく突きたいのを我慢してくれているのだろう。アレクの首に回した腕で顔を引き寄せ、唇が触れるか触れないかというギリギリの距離まで近づける。 「アレク、大好きだよ。愛してる。俺にはアレクだけだから」 「俺もだ、ケイ」  交わる唇。直腸の奥へと進みながら、口の中も巧みに愛撫される。  最奥まで到達した性器は、抜かれる時もゆっくりとスローペースだった。最初の激しいまぐわいが嘘のようだ。  パチュンパチュンと軽い音をさせながら注挿を繰り返す。その間中も、ずっと唇は重ねたままだった。ギュッと互いに強く抱き締め合う。背中を優しく撫でられ、それだけでも性器がフルルと震えた。  どんどん高まる性欲。慣れた体が求める。緩やかなまぐわいも愛を感じて嬉しいが、多分このままではアレクは達することなどできないだろう。それに圭自身も時間をかければイけるだろうが、もっと強く擦られたい。 「アレク、もっと激しくしても良いよ?」 「しかし、そうしたら圭はすぐ終わってしまうだろう?」 「イけない中途半端な状態なんて、お互いにしんどいだけじゃん。俺はアレクのいつものやつが好きなの」  煽ればすぐに腰の動きが速まった。こういうところは可愛いと思う。12も歳が離れているというのに、こういうちょっとしたところが本当に愛らしいと幾度も感じる。そんなところがいくつも重なって、アレクへの愛おしいという想いの一つになっていた。 「……っン……は、ぁっあ……」  強く擦られて性感は高まるばかりだった。前立腺を亀頭で押され、射精を伴わずに絶頂する。それでもアレクは止まらない。遅漏な彼の射精はまだだと圭も分かっている。  イったばかりの敏感な直腸を擦られ絶頂が止まらない。ヒクヒクと体が震え、咥え込む性器へと快楽を与える。 「くっ、堪らないな」  圭を強く抱き締め、アレクが腰の動きを更に速めた。奥を穿たれ、3度目の逐情を体内で受ける。 「ぅあッ……あああっ……」  アレクの背中へと爪を立てた。止まらない快感に圭自身も意識を保っているのがやっとの状態だった。  吐精の勢いが弱まり、やっと止まった。それでもアレクは圭を抱きしめたまま離さない。  圭もアレクを強く抱き締め返した。  愛しい、愛しいこの人と。明日も明後日もずっと。繋いでいくであろう未来を夢見て自然と笑みが浮かぶ。 「アレク、ずっと愛してる。俺がおじいちゃんになっても、ちゃんとそばにいて、好きでいろよ?」 「神に誓おう。俺だけのケイ」  誓いのキスは深く、甘美な味に酔いしれた。  第1部「異世界転移」完

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