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番外編アツメターノ⑫ お疲れの元暴君サマは伴侶に睡眠姦がしたい。
その日、アレクは執務が立て込んでいた。やってもやっても終わらない。次から次へと運び込まれてくる書類の山に辟易する。そのほとんどが今日中に決済を済まさねばならないとのたまう物ばかりであった。確かに集中する時はあるが、さすがに異常だ。苛立ちが募る。
窓の外を見れば、すっかり夜も更けてしまっていた。ここまで終わらないのも珍しい。普段なら既に伴侶との蜜月の時間を過ごしている。明日に回したいが、執務室の中で監視の目を光らせるユルゲンのせいでそれもできない。舌打ちしながらも書類の山に目を通していく。
やっと全ての業務を終わらせた頃にはすっかり日付を跨いでしまっていた。圭はもう寝ているだろう。少しガッカリするが仕方ない。
そして、厄介なのがイライラの集約された下半身だった。いわゆる疲れマラ。こうなると抜かねば眠れない。
足早に部屋へと戻る。寝台へ向かうと、やはり圭は眠り込んでいた。スヤスヤ眠る顔を見て安心すると共にムラムラしてくる。まぐわいたいという思いは増すばかりだ。
しかし、こんなに穏やかに眠っている圭を起こしてしまうのは忍びない。眠たくなったら寝ていて良いと言ったのはアレク自身である。圭は割とアレクの仕事が遅くなっても起きて待っていてくれる。その圭が寝てしまったのだ。余程眠かったのだろう。
下腹を寛げる。ブルリと飛び出してきた陰茎。ビクビクと震え、刺激を待ちわびている。竿を握った。熱く脈動する愚息を感じる。
自慰をするなんていつぶりだろうか。相手には事欠かない生活を送ってきた。圭が来てからは昼夜問わず好きな時に抱いていた。今はさすがに了解を得るが、圭は基本的に行為を拒まない。浴室を除いて。
「ふっ……」
陰茎を擦る。スヤスヤと眠る圭の穏やかな寝顔は見ているだけで下肢にくる。手の中の性器はあっという間にフル勃起していた。
気持ちが良くないわけではない。ただ、いつもよりも刺激が少ないことは否めない。
圭に手淫をしてもらう時に比べて物足りないのだ。やっていることは同じだと言うのに。
気持ち良く眠っている圭には少々申し訳ないが、彼の手首を掴んだ。己の下肢へと持ってくる。滾る陰茎を握らせ、その上から手を置いた。圭の手ごと手淫を再開させる。
体躯に見合った小さな手が気持ち良い。スベスベしていて、肌触りも抜群だ。男の手とは思えない。
「うっ……」
息が荒くなってくる。射精が近い。自分の手では得られなかった悦楽に包まれる。
間もなく吐精という頃、圭の顔付近へと性器を向けた。手淫の手を速める。睾丸から駆け上がって来る精液。びゅるると放った白濁は圭の顔を白く染めた。圭の愛らしい顔が淫らな液体に塗れている姿を見ては、収まるものも収まらない。愚息の苛つきは加速するばかりであった。
悪いとは思いつつも圭の夜着の前を寛げていく。胸のピアスと痩せた体が現れた。ズボンと下着も一気に脱がせる。可愛らしいサイズの萎えた性器が下肢にちょこりと付いている。握るとフニフニとして、芯がない。吐精後であっても既にまた勃ち上がっているアレクとは対照的だ。
圭の性器は本人同様にとても愛らしい。柔らかい陰茎はいつまでも触っていられる。触り心地も抜群だ。舐め心地が良いのも知っている。口内に招いて舌で転がすと、硬度が増すのだ。そして聞こえてくる愛らしい嬌声。どれもが淫らで非常に好ましい。
そんなことを考えていると、愚息の苛立ちは頂点へと達していた。腹に付くほど勃ち上がった性器。中に入れたくて堪らない。しかし、挿入すれば圭を起こしてしまいかねない。
アレクは逡巡した。そして結論に辿り着いた。圭の額に手をかざす。脳内で呪文を詠唱すれば、掌が白く光り出す。
既に眠りについている圭は見た目には変わらない。しかし、アレクの魔法によって深い眠りにつき、朝まで目覚めることはないだろう。何をしようとも。
勃起した性器を圭の唇へと当てる。指で頬を押して口を開かせる。口内へと性器を押し込んだ。圭の顔が苦し気に歪む。圭の頭を支え、腰を動かし始めた。アレクの巨大な性器を咥えるために、圭は極限まで口を開かなければならない。普段の性交の中でも口淫はしてくれるが、顎が痛そうでそこまで頻繁にはさせなかった。苦し気な顔を見るのがあまり好きではない。
アレクは圭の性器を舐めることは好きだった。羞恥と快感に肌を朱へと染める圭を見るのも良い。
一方の圭も口淫しようとはしてくれる。だが、させるよりもする方が好きなのだ。大抵の場合、性交は主導権を握っている。だから上手く誘導して後孔への挿入に持ち込むことが多い。
まだ幼い圭の口の中は熱い。子供の体温だ。それだけで気持ちが良い。アレクも口淫をされるのが嫌いなわけではない。いつだってその赤い唇を見ているだけでムラムラと興奮する。
意識がある時の口淫のように舌が絡みついてくることはない。代わりとばかりに愛する者を物のように扱う背徳感。可哀想だと思いながらも昏い悦楽を感じてしまう。自分でも厄介な性癖であるとは分かっている。しかし、変えようがない。
「んっ……ンんッ……」
圭が眉間に皺を寄せていた。こんな所業、あまりに可哀想だ。早急にやめるべきだと分かっているのにやめられない。気持ちが良すぎる。
熱く少しざらついた舌の表面を竿が擦る刺激が堪らない。奥まで押し込めば喉の奥が亀頭に当たる。そこを通り、更に喉奥へと突き込む背徳感。どれもアレクに悦楽を与えてくれる。
そして、愛らしい圭の口内に男根を挿入しているという光景が良い。圭は目立つ黒髪黒目だけでなく、その見目も非常に魅力的だ。女児と見まごう中性的な容姿をしている。そのお陰で皇后として娶る際にも違和感なく受け入れられた部分も大いにある。
圭の口内という楽園を行き来させる快感に酔いしれる。普段、こんな風に手荒に彼を扱うこと自体が多くはない。いつもはできないことをしているという魅力に憑りつかれていた。
何度も注挿を繰り返していたことで再び湧き上がる射精欲。誰に許可を得る必要もない。思うがままに腰を振り、喉の奥へと突き込んだ。2度目の吐精。子種たちが圭の中へと喜々として放出される。
「ふっ……」
射精の快楽に浸った。圭は空イキも気持ちが良いと言うが、やはり男たるもの吐精に勝る快感はないと思う。受け入れる立場の圭と違い、アレクが挿入されることはないため、圭の言う「射精を伴わない快感」を知ることは一生涯ないだろう。仮に圭が歳を重ねて今後入れたいなどと言ってきても、認めることは一切できない。圭であろうと自分が挿入される立場になるなんて考えられない。
自分の悦楽を得るためだけに腰を振り続け、圭を物のように扱ってしまった。顔を見れば、閉じられた瞳から生理的な涙が流れてしまっている。
しまった、やりすぎた。圭の口から性器を抜き出す。圭の口内から溢れていた唾液が口の端から零れ落ちた。圭の目元へと顔を近づけ、涙を吸う。少ししょっぱい。圭のどこも甘く感じる味とは違う。それもまた味わい深い。
ダラダラと唾液を零す唇へとキスをした。自分の物を咥えさせた後ではあるが、圭の口だから関係ない。彼の全てが清らかなのだから。
圭の舌に舌を絡ませる。意識があれば互いに貪り合うのだが、意識のない圭はなすが儘だった。ジュルジュルと音をさせながら圭の唾液を吸う。口内を舌で蹂躙する。何度も角度を変えて唇へとがっついた。普段なら苦しいと文句を言われてしまうタイミングでも何も言われない。止める者がいないのだ。その体を好きにする絶好のチャンスだ。
夢中になって獣のような口づけに興じた後、顔を離せば圭の口元は唾液で濡れ光っていた。少し舐め過ぎたか、口元が赤くなっている。圭が目覚めるまでに治しておかねばと苦笑する。
圭のことになると全くと言って良いほど自制がきかない。笑ってしまう程に。もうどのくらい口づけをしたかも分からないのに、見ているだけでまたしたくなってしまう。魔性の唇だ。
触れるだけのキスをする。圭の体を慮ってすぐに離したが、それでもムラムラする体は止められない。再び唇を重ね合わせる。自らの唾液を圭の口の中に流し込んだ。コクリと嚥下する音がする。圭の中に自分の体液が入ったことに満足感を得る。
今、圭の体の中では圭とアレクの体液が混ざり合った状態だ。そう考えるだけでゾクゾクと自分の中に昏い悦楽が満ちるの感じる。瘦身を抱き締めた。クッタリと力の抜けた体。腕の中にいるだけで安心する。
本当であれば、二度と逃げられないように健を切ってしまいたい。しかし、それは圭が悲しんでしまう。だから五体満足でいさせているだけだ。圭が傍にいるのであれば何だって良い。
頬同士を擦り合わせる。温かく柔らかい感触に充足感を覚えていたが、それで満足しないのが下半身である。自分だけズルいと屹立しながら主張している。下半身の苛つきに苦笑しながら圭の両脚を左右に大きく開いた。力を失ってクッタリしている陰茎。そして、その奥で密やかに佇む窄まり。どちらも愛らしく、そして何とも淫らだ。
アレクは自らの屹立に手淫を施し、硬度を増す。掌の中でビクビクと挿入を強請る陰茎を圭の後孔へと宛がった。一気にズボリと最奥まで突き込んだ。ビクリと圭の体が反応する。しかし、目覚めてはいない。魔法はしっかりとかかっているようだ。
何度か結腸までの注挿を繰り返した後、圭の脚を肩にかけるように抱え直す。腰を上げさせ、後孔を上へと向けさせた。出し入れを強くする。結腸を何度も突いていると、ついに圭の体の方が完敗した。
「んんっ」
短い呻き声と同時に結腸が抜ける。アレクの長大な性器全てを圭の中に入れることができた。ビクビクと痙攣する圭の体がアレクの性器へと振動を送る。
この小さな体で男の象徴全てを飲み込んでくれる圭が愛おしくて堪らない。アレクは人よりも性器が大きい自覚がある。女でもなかなか受け入れるのに難儀することがあるというのに、圭の後孔は何とも優秀だ。それなりに酷く扱った時があったにも関わらず、締め付けが緩むこともない。絶妙な心地でアレクの性器を抱き締める。この塩梅が何とも素晴らしい。
「ケイ……愛してるよ」
小柄な体を抱き締めながら上からピストンを繰り返す。性器で味わう悦楽の素晴らしさは他の追随を得ない。圭がしてくれる口淫も手淫もどちらも甲乙つけがたい気持ち良さがあるが、やはりダントツでこの場所が良いことは変わらない。
「あっ……はっ……」
意識のない圭の口から嬌声が零れる。声変わり前の高い少年の声。圭に服用させている淫薬のせいで何年経っても彼の外見が変わることはない。ほぼ不老の状態が維持されている。無毛の陰部も生えることはないし、圭の気にしている身長だって伸びることはない。この愛らしい姿、そして大きさのままで彼は歳を重ねていく。圭にはそのことをきちんと説明してはいない。言ったところで圭ならば驚きながらも許してくれるとは思うが。
圭の奥は淫らにアレクの性器に絡みつく。その狭まった場所を強引に突き貫くのが最高に気持ち良い。
普段ならば圭の快感を考慮して前立腺を出来る限り擦るように努めるが、今日はその配慮すら必要ない。今の圭はほぼ抱き人形状態だ。大事にはするが、そこに気を遣う必要性がない。アレクは自分の快感のためだけに腰を振っていた。
しばらく注挿を続けていると、圭の性器からプシャリと潮が噴き出した。アレクと圭の上半身を濡らす。圭の体がフルフルと震えている。頬を始めとして全身が紅潮していた。意識はなくとも慣れた体は快感を拾っているようだ。それを見て再びゾクゾクと興奮が湧き上がる。
意識がないというのに、何と可愛らしいのだろう。淫らに誘ってくる。これだから手放せない。やはりもう一度誰の目にも触れない場所に閉じ込めてしまおうか。あの時はあの時で良かった。自分だけの圭だから。
昏い思考に飲み込まれそうになり、頭を振った。もう二度と悲しませないと誓ったのだ。
圭の笑顔を奪わない。それは、アレク自身であったとしても同じこと。彼の幸せが何よりも優先される。
ただ、今は今日一日頑張った自分にご褒美が欲しい。少し無体を強いていることは分かっているが、許してほしい。
多分、圭なら許してくれるはずだ。優しい彼はアレクに甘いから。
抱き締めながら注挿を速める。ビクビクと腕の中の存在が反応している。腹に粘液がかかる感触。圭が達したのだろう。こんな少しの刺激で絶頂を迎えてしまう快楽に弱い圭が可愛くて仕方ない。
イったばかりの体であっても容赦しない。腰の前後運動は止まれない。
むしろ、イった後の痙攣した体の刺激が堪らない。キツく締め付け、アレクの性器に振動までサービスしてくれる。何と淫らな体だろう。他の者では満足できない体にしてやらねばならない。もっと淫靡で性に従順な体にせねば。火照る体を疼かせて、アレクを見るだけで欲情するような淫乱に。
その一方で、圭自身の純粋で明るい性格も好きなのだ。どちらも併せ持っている圭だからこそ彼を愛おしく思う。
「くっ……」
体積を増した剛直が射精へのカウントダウンを始めていた。腰の動きを大きくする。S状結腸の奥に突き込み、本日2度目の射精をした。圭の体が震える。彼の陰茎からも逐情していた。射精の締付けを味わいながら直腸に精液を塗り込むように緩く腰を動かす。
全て放ち終わると、やって来る賢者タイム。抱き締めていた圭の体を離し、うっすらと汗のかいた前髪をかき上げる。
未だ繋がっている下肢の近くは圭の精液に塗れていた。薄紅色に染まる小柄な体。稚児を抱く趣味などないしその手の輩は軽蔑するが、幼い圭の体を抱いていると少しばかりの罪悪感がない訳ではない。その度に彼は16歳であり、成人なのだと自分に言い聞かせる。しかも伴侶なのだからこの行為は正当化されるものなのだ。
下肢で繋がったまま圭の体を抱き上げた。小柄だから仕方ないが、軽すぎて心配になる。そのままベッドの端まで移動し、ベッド脇の水差しからコップへと水を注ぐ。アレクは自らの口に入れると、そのまま唇を圭へと当てた。口内に含んだ水を圭の中に移していく。コクリと圭の喉が嚥下した。圭自身も汗に塗れている。湯で流してやらねば可哀想だ。ベッドから立ち上がり移動しようとするも、腕の中で眠っている伴侶が愛らしくて足が止まる。圭自身も性を放ったからか、纏う空気がいやらしいのだ。アレクの喉が鳴る。
「これは、ケイが悪い」
言葉に出したことで自分が正当化された気がした。眠っている相手に許諾もないまま抱いてしまったという罪悪感が払拭される。
圭の体を反転させ、ベッドへとうつ伏せにさせた。既に硬さも太さも全てが臨戦態勢へと戻っている陰茎を再び注挿させる。圭とは身長差があるため後背位は互いに少し体勢が苦しい時もあるが、アレクがベッドを降りている分、圭の臀部が良い位置にある。挿入しやすい体勢だった。
その分、深い場所まで激しく責めることができる。バツンバツンと肌を打つ音が普段よりも大きく寝室に響いた。圭の腰を持ち、思いのままに腰を振るのは最高に気持ちが良い。
その後、浴室でも2度圭を抱いた後、それなりには満足することができた。これでやっと眠りにつける。
ベッドの中で圭を抱き締めながら眠れる幸せに浸る。全裸で肌を合わせながら眠る心地良さを覚えてしまったのだから、もうダメだ。圭がいない状態で眠るなんて考えられない。
圭の髪に鼻先を押し当てる。彼の香りを嗅ぎながらアレクは重くなる瞼を閉じた。
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