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【第2部 ヘルボルナ大陸】 第1章:出発編 第4話

 圭とアレクを乗せた馬車は30分ほど坂道を進んで行った。ガタガタと揺られ続け、そろそろ尻が少し痛くなってきたかと思い始めた頃、やっと止まった。 「ケイ、ついたぞ」 「うん」  朝、早起きしすぎたため、少しうつらうつらしていた頃に起こされた。まだ少し眠い目を擦りながら馬車を降り、大きく伸びを一つ。巨大なあくびが出た。 「おおおおお~っ!」  見上げた先にあったのは、巨大な城である。帝都ほどではないが、十分に中を探検ができそうなくらいには大きかった。 「今日はここに泊まる」 「すっげ~!!」  圭は目を輝かせながら周囲を見回した。窓の数を見るだけでも、いくつ部屋があるかすら想像つかない。外壁などから古さは感じるものの、綺麗に手入れされているのが分かる。 「ここ、ホテルか何かなの?」 「このルレヴェックを治める領主の城だ」 「えっ!? 人様のおうちに泊まるの!?」 「人の家というよりも、城の類は元々が全て国のものだ。領地として統治を任された者が住んでいるにすぎない。それは俺たちだって同じだ」 「えーっと、つまり、アレクが無職になったら、今住んでる城追い出されちゃうの?」 「そういうことになる」 「やばー! じゃあ、下剋上とかされないように気をつけなきゃじゃーん」 「俺がそんなヘマをすると思うか? 仮にしたとして、俺が負けるはずもない」 「うわ~、相変わらず強気だな~」  ケラケラ笑っていると、圭たちの前に従者がやって来た。深々と礼をされ、玄関へと案内される。  玄関先にはズラリと使用人たちが並び、頭を下げていた。こんな出迎えを受けるのは初めてで、萎縮してしまう。 「アレクサンダー陛下、お待ちしておりました」 「今晩は世話になる」  豪華なシャンデリアの下で恭しくお辞儀をしている人物がこのルレヴェックの領主なのだろう。見るからに着用している服が他の使用人たちと違う。  領主の案内の元、連れて行かれたのは、豪華な客室だった。部屋の中の調度品は、見たことのない物が多い。聞いてみれば、シルヴァリアでも有数の貿易港として栄えるルレヴェックには各大陸や島々から様々な貿易の品が集まってくる。それに伴い、輸出入での利益も多く、相応に街の財政は潤っているらしい。そのため、客人をもてなすに値する品々を購入しては、このように客間に飾っているそうだ。  確かに、領主の身に着けている装飾品は煌びやかな物から高価そうな物まである。アレクがあまりそういったアクセサリーなどの類を付けていないため、気にしたことがなかったが、元来、偉い人というのは金目の物を好むものなのだなと実感した。  アレクだったら欲しい物などいくらでも手に入るであろうに、欲しそうな素振りなど見たことがない。普段着用している軍服にはいくつかの装飾が施されているが、それは身分を表す物なのだろうと思っている。 「どうした?」  じっとアレクを見つめているとアレクから不思議そうに問われ、圭はフルフルと首を横に振った。  ゴテゴテとした派手な装飾品などなくともアレクからは隠しきれない気品を感じる。アレクには彼を飾るための物など不要なのだろう。  それに、圭自身もアクセサリーの類は苦手だ。正装をする場ではやむなく付けるが、そうでない時は身軽な方が良い。アレクも普段から付けろと強要することはないし、気楽なものだ。 「何でもな~い」  ボスリと寝室の巨大なベッドに仰向けで寝ころんだ。フカフカの布団は普段使用している城の寝具とも遜色がない。高価なものだと分かる。普段から圭の使用している物はこの世界での一流品ばかりなのだから。 「気になるだろうが」 「わー!」  ベッドに横になっている圭の上にアレクがのしかかってきた。体重をかけられ、重い。痩せては見えるが、アレクは身長もあるし、筋肉も十分にある。つまり、見た目よりも結構重いのだ。 「おーもーいーよーぉー」 「ほら、早く言え」 「うにゃぁ~」  グリグリと頬を指で押されたり、摘んで伸ばされたりする。痛くはないが、アレクがこんな風に子供のような構い方をしてくるのは珍しい。彼も旅行で浮かれているのかもしれない。領主たちがいないのを良いことに、キャッキャと戯れる。  ふと、アレクの動きが止まった。見つめられ、ドキリとする。唇が近づいてきた。自然と瞼を閉じる。触れた唇の柔らかさに胸がときめいた。一度離れ、開いた視界の先には欲情した男の顔が見える。  愛おしいと語る、アレクの顔。この表情が好きで好きで堪らない。この愛おしい人から愛されていると実感できる。手を伸ばし、アレクの首へと回す。  再びやって来た唇。今度は圭の口の中へと舌が入り込んで来た。  情欲に塗れた濃厚な口づけに襲われる。ピチャピチャと鳴る水音が少しばかり恥ずかしい。もう何度もしていることだというのにも関わらず。 「アレ、ク……ここ、人んち……」 「国の物だと言っているだろう。ひいては、俺の物だ」 「ん……そんな、無茶苦茶な……」 「うるさい」 「んっ」  唇で言葉を奪われる。圭のシャツの中にアレクの手が潜り込んで来た。肌を撫でながらスルスルと上へと上がっていく。胸元まで辿り着くと、慣れた手つきでピアスを軽く引っ張られた。 「んあっ」  思わず身を捩る。胸で感じる性的興奮。腿を擦り合わせて快感を逃そうとするも、脚の間に入り込んでいるアレクの脚に絡みつくような格好になってしまう。  そして、下腹で感じるアレクの屹立の気配。当ててきているとしか思えない。 「だめ、だよ……こんな、場所で……」 「こんな? ベッドはまぐわうための場所だろう?」 「ん、ちが……城、じゃ……ない、からぁ」 「昨夜もお預けを喰らわせておいて、今日もお預けか?」 「んんっ」  ピンッピンッとピアスをアレクの指先で何度も弾かれる。その度に苛められている乳首から悦楽が湧き上がる。  キスをされながらシャツのボタンを外された。胸元が開かれ、フルリと小さく震える。  寒いという訳ではないが、淫らな場所を隠す物がなくなったというのはやっぱり気恥ずかしい。アレクは街を散策していた時と同じままなのに、圭一人だけがまだ日も高い内から性的行為に耽っているような気すらしてしまう。 「ケイのここは、いつ見ても本当に愛らしい」 「んやっ、ぁっ」  乳首を舐められ、腰の奥が疼いた。舌で直接触れられてしまえば、もう理性が崩壊するのはあっという間。  ピアスを引かれ、伸びた乳首を丁寧に舐めねぶられる。昨夜、逐情していないのは圭も一緒だ。責められればすぐにでも陥落する。 「あ、れく……やる、なら……はや、く……しよ……」  我慢できず、自分から下着ごとズボンを脱いだ。前を大きくはだけたシャツと靴下だけの姿になる。大きく脚を開き、相手を誘う。 「良いのか? ケイが気にしている誰かにバレてしまうかもしれないぞ? 俺は全く構わないが」  顔を真っ赤にさせながらコクリと頷いた。  こんな風に煽るだけ煽っておいて、アレクは意地悪だ。ルレヴェックの街を共に楽しんでいた時にはとても優しかったというのに。  少しでもバレないようにと枕へと手を伸ばした。引き寄せ、胸に抱く。枕の端を噛んだ。  アレクの手が大きく開いた圭の腿を持つ。括約筋に触れる熱い切っ先。ヌプリと何の抵抗もせず挿入り込んできた。 「んっ……!」  奥へ奥へと進んでくる。昨日の朝ぶりの感触。拓かれる直腸が気持ち良い。結腸まで辿り着き、トントンと何度か押された後、容赦なく抜かれる。S状結腸まで犯され、目の前がチカチカする。 「…………ッ!!」  一度奥まで貫いてからの注挿は速かった。ベッドから腰を上げさせられ、見えるような態勢で激しく突いてくる。翻弄されるようにプルプルと振り回される圭の性器。鈴口から零れた先走りが圭の腹や脚などを濡らしていた。 「ケイの可愛い声が聞こえないというのは寂しいな」  暗に枕で声を殺すなと言われていることは分かっているが、フルフルと首を横に振った。慣れた城でのまぐわいならばともかく、いつ人が来るともしれない場所での行為であられもなく声などあげられない。  しかし、アレクは言葉とは裏腹に、圭から枕を奪おうとはしなかった。  代わりとばかりに腰の振り方を大きくさせる。 「んんんぅ……」  敏感な場所を何度も擦られ、射精欲が沸いてきた。昨夜逐情していない分だけいつもより早い。直腸を締め付け、アレクにも早く達してくれるよう促す。  呼吸の乱れ始めたアレクが圭の胸元から枕を奪った。ベッドの端へと投げると、そのまま噛みつくようなキスをされる。アレクの首へと腕を回し、圭自身ももっと近づきたいと引き寄せた。 「んっ、んっ」  ゴツゴツと穿たれる最奥の柔肉。その度に力を漲らせた剛直を締め付けてしまう。  下からの激しい突き上げと圭を求めてくる情熱的なキス。2つの刺激で訳が分からなくなってきた頃、やっとアレクが最奥に熱い迸りをくれた。その刺激に圭も共に逐情する。  アレクの服を汚してしまうなんてことは全く気にすることもできずに。  しばらく逐情の余韻に浸っていると、アレクがやっと唇を離した。もう交わりすぎてどちらの唾液かも分からない体液が糸を引く。ハァハァと荒い息をしていると、アレクが圭の顔中にキスの雨を降らし始めた。 「くすぐったいよ」  くすくすと小さく笑いながらサラリと滑らかなアレクの髪を撫でる。相変わらず後孔にはアレクの性器が挿し込まれたままだし、体勢だって体を折り畳まれるような窮屈な状態だ。決して寛げるような格好ではない。  しかし、圭自身も抜かれるのが名残惜しく、そのままアレクのキスを受け入れていた。  ムクムクと再び大きくなり始めるアレクの性器。苦笑しながら彼の背中を軽く叩く。 「はい、もうダメ。一回やったし、今はおしまいにしよう?」 「たかだか一度くらいで収まると思うか?」 「続きは夜にしようよ。お風呂も入って、ゆっくりしたら」  いっぱいしよう? とアレクの耳元で囁いた。アレクは眉間に皺を寄せながらも徐々に性器を抜き出していく。 「んっ」  カリ首の太い部分が括約筋を通る刺激に思わず声が漏れた。全てが抜き出され、ポカリと後孔に孔が空く。ヒクヒクと蠢きながら、息づくように何度も開閉を繰り返しては、ゆっくりと閉じていった。  アレクはその様をずっと至近距離で見つめていた。そんな近くで見られたらさすがに恥ずかしい。中の肉も全てアレクの眼下に晒されてしまっている。恥部を愛おしい相手に覗かれている羞恥。そして、それに伴う快感。 「あんまり見ないでよ」 「なぜだ?」 「そんなとこ、普通、人に見せる場所じゃないんだから。恥ずかしいに決まってんじゃん」 「何も恥ずかしがることなんてない。ケイのココは本当に愛らしいばかりだ」 「あっ」  括約筋の周囲を指でなぞられた。ゾワリと快感交じりの淡い刺激に襲われる。 「えー? 俺の可愛いの、そこだけ?」 「そんなはずないだろ」  チュッと目元にキスをされ、くすぐったさに瞳を閉じる。  しばらくアレクは圭を抱きしめたままキス魔人となっていた。もう、アレクの唇が触れてない場所はないだろうというくらい、念入りに。 「あはは、くすぐったいよ」  今度は耳をペロリと舐められて身を捩る。そのまま耳の形を確かめるように唇で食まれ、やっぱりこそばゆくて笑ってしまう。  徐々に耳の穴の方にまで舌が進んでいき、クチュリと穴に舌が挿し込まれた。想像以上に水音が近くで聞こえて驚いてしまう。 「やっ、……耳、ダメ、だよ……」  零れた声は情欲に塗れていた。圭の性器が頭をもたげ始める。  耳なんて場所、性感帯でも何でもないはずなのに。アレクの手にかかれば、体中の至る所が快感スポットになってしまう。  自分だけが体を作り変えられてしまい、何だかズルい気がしてきた。  サワサワとアレクの背中を擦りながら、反応を示し始めている性器をアレクの腹へと押し当てた。 「俺だけ、裸なの、やだ。やるなら、アレクもじゃなきゃ」  呟く程度の抗議に、アレクはすぐに反応した。すぐに着ていた外出着を脱ぎ捨て、逞しい筋肉が晒される。盛り上がった上腕二頭筋を撫でさすっていると、アレクの期待するような声が降ってくる。 「さて、俺にここまでさせたんだから、当然続きをしても良いのだろう?」 「えー? どーしよっかな~」  ニマニマ笑っていると、コツリと額同士を当てられた。仏頂面になったアレクが圭の髪を撫でてくる。 「俺にここまでさせるのは、ケイくらいだぞ?」 「すごいだろ~」  額同士をスリスリと擦られる。髪を撫でていた手が今度は圭の両頬を包み込んだ。温かい掌の感触。剣を振るう者だからか、圭よりも表皮は硬い。 「ケイ」  少し声色が強められる。多分、以前だったらビクリと跳ねてしまっていただろう。でも、今はアレクが圭に酷いことをしないと分かっているから、安心して身を預けられる。  ただ、ちょっとアレクが可哀想になってきたのも事実である。きちんと圭の言うことを聞いてくれた伴侶に対し、少しサービスする気になってきた。 「も~、アレクは仕方ないな~」  チュッと唇に一回キスをした後、覆い被さっている体をどけてもらう。うつ伏せになり、尻だけを上げた。アレクによく見えるように。 「ここ、入れたい?」  自ら尻タブを開く。蕾がよく見えるように。  普段なら恥ずかしく感じてしまうことも行えてしまう。旅に出て、少し大胆になっても良いかもしれないと思い始めたから。 「入れたいに決まっているだろう」  アレクが圭の後ろで手淫しながら待機している。無理に突っ込んで来ないのは、アレクなりの圭への配慮だろう。今、主導権があるのは圭だとアレクも分かっているようだ。無理やり挿入もできるというのに、本当に愛おしい。 「じゃあ、夜まで我慢できないアレクのために、あと一回だけ挿れさせたげる」  両手で尻タブを更に広げた。ヒクヒクとわなないているのが分かる。  日中という時間帯も、ルレヴェック領主の城という場所も、全てが興奮のスパイスでしかなくなっていた。 「んっ」  ズブリと遠慮なく挿入り込む剛直。先ほど奥まで拓かれているため、始めの挿入時にある息苦しさなどはない。むしろ、敏感になっている襞が性器に擦られて気持ち良いばかりだ。 「んっ、んんっ、んっう」  布団に顔を埋めた。枕がベッドの端の方まで行ってしまったため、仕方がない。  布団カバーを唇で咥え、挿入される刺激に耐える。バックから突かれるのも気持ちが良い。亀頭やカリ首など当たる場所が変わり、前からとは違う快感に襲われる。 「だから、俺以外の物で声を殺すなと言っているだろう」  呆れたようなアレクの声と共に、強引に後ろを向かされる。唇を奪われた。挿入り込んでくる舌。絡められ、口内も好きにされる。 「んんっ」  左脚を持ち上げられた。下肢が大きく開く格好となる。そのまま挿入を続けられ、また当たる場所が変わって後孔がキュンキュンとうねる。 「んんーっ」  アレクが持ち上げていた圭の脚を肩にかけ、空いた手で圭の性器を手淫し始める。前も後ろも責められ、悦楽の大波にもまれていた。  それに加えて、上半身ではキスによる快感責め。一度イったにも関わらず、すぐ射精欲に襲われる。 「んんー、んー、んっ」  ダメだと首を振りたくても叶わない。どんどんと高まる性感に体が屈する。 「んーっ!!」  圭の性器から白濁が飛び出した。量の少ない精液が布団を汚す。しかし、中のアレクはまだそこまで至っていない。彼も先ほど爆ぜたばかりなのだ。遅漏のアレクが2度目の逐情を果たすにはまだまだ時間がかかるであろうことは経験上分かっている。 「んんぅ、んん……」  ヒクヒクと体をわななかせながらアレクの注挿に体を揺らすばかりだった。イった直後の直腸を擦られるツラさ。敏感になりすぎていて、体への快感が強すぎる。さすがに吐精したことによって性器への手淫はやめてもらえたが、今度は代わりとばかりに圭の胸の尖りで遊び始めた。プクリと膨れた乳首を指の腹でこねられ、じわじわと上半身も責められる。 「んんんーッ!」  思わず潮を噴いてしまう。もう、腹の奥も精巣の中も限界だ。ガクガクと体を痙攣させていると、アレクの口からくぐもった声が漏れる。同時に中で感じる熱い飛沫。  やっとイってくれたと安堵した瞬間、意識がフツリと途切れていた。

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