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【第2部 ヘルボルナ大陸】 第2章:クルーズ編 第7話

「あっ……あっ……」  規則的に奥を突かれる度、背をのけ反らせてしまう。肌に当たる海風、そして、デッキで寛ぐ人たちの楽し気な声。どちらも昨日も感じていたものだが、目の前に姿が見えないというだけで淫行を許されている気になる。  声を押さえようと我慢していたら、今いるデッキの音は漏れないように魔法がかけられていると知ってホッとした。それは昨日のジャグジーも同じだったようで、知らぬは圭ばかりだった。それなら早く言ってくれれば良かったのにとむくれたが、知ってあられもない声を上げ続けるというのもどうかとは思い、やはり自分の行動は間違っていなかったと改めて実感した。  今、圭はハンモックの上に横になり、アレクの剛直から責められている。ピストンの動きと共に揺れるハンモック。振り子の原理で規則的な動作を繰り返し、その度に奥を穿たれる。  これまで寝台自体が揺れるという体験がなかったため、この注挿は圭にとっても斬新だった。 「んっ、んんっ」  貫かれるタイミングが分かるというのも複雑な気持ちになる。興奮や期待などがないまぜになって中を締め付ける。  アレクが狭い場所を無理矢理進んでくるのが好きな圭にとって、来ると分かっていればキュウと後孔に力を入れてしまう。そして、その思い通りアレクが強引に孔を割り開いて進んでくるのだ。その度に直腸で得る悦楽の深さは堪らない。  圭の性器もハンモックの揺れに倣って上下する。プルプル震える性器をもアレクの好きにされているような気がしてならない。  行為の最中においては、常にアレクの思うがままにされてばかりではあるのだが。  一度抜かれた結腸はもう弁の役割など果たさない。剛直が更に奥へと通過するための途中経過程度の立ち回りだ。  しかし、結腸自身も通る時には深い快感を与えてくれる。アレクのカリに引っかけられ、腹の奥で湧き出す気持ち良さは他の行為ではきっと得られないだろう。 「ンぁっ、……う゛あッ」  ハンモックの揺れを止められ、グリグリと奥で性器の先端をS状結腸の柔肉へと埋め込まれる。弱い場所を重点的に責められて淫らに喘いでしまう。 「ほら、ココ好きだろう?」 「やっ、しゅきらけど……ひもひ、よふぎ……う、ああ、あ、ハアッ、んっ……!!」  腰を回すだけでは飽き足らず、今度は力任せにそこを穿たれ、腹の奥から堪らない悦楽に包まれる。  プシャリと潮を噴き出した。もう気持ち良ければすぐにでも出してしまう淫らな体だ。初期は漏らしたかと心配をしたが、小水ではないし、快感に伴って出てしまうものだと言われてからはあまり遠慮をしなくなったように思う。周囲を汚してしまうという点に関しては申し訳ないが、気持ち良すぎて出してしまう物に関してアレクは喜々としてその痴態を見ている。 「ああ、気持ち良いよな、ケイ」  ギュッと抱き締められる。噴いた潮でアレクの服を汚してしまうということなど全く気にしていない。圭の潮ですら口にするのだから、アレクにとっては汚液という認識ではないのだろう。  ギシギシと注挿の音をさせながら受け入れるキスは極上の甘さを持っていた。腹の中は剛直でミッチリと隙間なく埋められていても、心の中までは物理的に入り込めないから。だから、こうして抱かれている時にされるキスは上の口からもアレクを満たしてもらえる気がして好きだ。  淫らに絡みつく舌。ついでとばかりに胸のピアスまで引いたり乳頭を指で弄ったりされて、弱い場所での3点責めに夢中になる。 「んっ、んんっ……」  アレクの背に腕を回す。当たり前のように全裸の圭とは違い、下腹を少し寛げただけのアレクはきっちりと服を着こんでいる。  一人だけ恥ずかしい格好にされてズルいと、アレクの服の中に手を入れた。逞しい背筋に掌を沿わせる。実用的な筋肉を纏った背中はいつ触っても見事で羨ましい。  背骨の形を確認するように下から上へと撫でた。肩甲骨付近まで辿り着くと、再び下へ。腰骨の形を確かめるように手を滑らせてから、もう一度上へ。同じ動作を何度も繰り返す。 「そんなに俺の背が好きか?」 「背中、っていうより……アレクの肌、好き……。もっとピッタリくっつきたいよ……」  熱い吐息と共に願いを口にすれば、頬を紅潮させたアレクが上半身の服を全て脱ぎ捨てる。割れた腹筋も、見事な胸筋も露わになった。  下肢は挿入させたまま服を脱ぐというのもいやらしかった。胸がキュウと高鳴ってしまう。  そして、その高鳴りと連動するように後孔内を締め付けた。 「こっちの方がケイは好きか?」  コクコクと頷いた。アレクの肌が晒され、触れられる場所が広くなる。両腕を出せば、体を前に倒してくれる。触れ合う肌同士が気持ち良い。無意識の内に勃起した性器をアレクの腹筋に擦り付けていた。 「そんなに腰を動かして、ケイは本当に淫らで愛らしいな」 「んっ」  抱き締められたままアレクが立ち上がる。心地良い揺れを与えてくれていたハンモックから離れてしまうのは寂しかったが、今度はアレクがハンモックに座った。  対面座位の格好で向き合う。アレクがブランコのようにハンモックを前後に揺らす度、中にいる性器が突き上げられて悦楽に浸る。 「もっと中にいるところ見せてくれるか?」  結合部を露わにしろというお願いに羞恥で肌を染めた。それでも、アレクからの言葉には逆らえない。アレクの首に腕を絡ませて態勢を整えた上で大きく両脚を開いた。 「ああ、ケイのいやらしい所がよく見える」 「ひあっ!」  括約筋を指先でぐるりと撫でられ、驚いて背筋を伸ばした。 「元は小さな孔なのに、今はこんなに口を開いて。ほら、俺の愚息が出入りしているのがよく見える」 「やめ……いわ、ないれ……んんっ!」  小刻みに注挿され、快感に耐える。 「ケイくらいじゃないか? こんな所に男根を咥え込んでこんなに快感に乱れて。淫らだな、この体は」 「だれの、せい……」 「俺だな」  ハハハと笑うアレクは上機嫌だった。腿を持たれ、更に大きく左右に広げられる。あられもない格好に羞恥で足先を蠢かした。 「やら、えっち、アレクの変態ぃ!」 「男は誰もがスケベで変態なんだよ」 「ふぁんっ!」  ゴツゴツと狙いすましたように最奥を穿たれ、軽くイってしまった。ガクガクと体が震える。しかし、甘イキ程度で勘弁してくれるアレクではない。むしろ、ここからが本番だとばかりに容赦なく注挿させてくる。 「ほら、出したり入れたりする度に、ケイのここが捲れたり中に入ったりして、卑猥だろう?」  アレクが実況してくるのが恥ずかしい。以前、鏡で咥え込んでいる姿を見せられたが、排泄孔とは思えないほど口を開き、使い込まれた赤黒いペニスを飲み込んでいる様は確かにいやらしかった。  元の世界で見たことがあるAVは合法のものばかりだったから性器にも修正が入っていたし、結合部はモザイクばかりで正直よく分からなかった。もっと大人になって彼女ができたらしっかり見ようと友人らと誓い合ったのは高校生になりたての頃だった。  だから、目の前で見せられた卑猥な光景に驚くと共に、あまりに生々しくて恥ずかしかった。アレクの体躯に見合った……いや、多分、体躯以上の巨根も、限界まで開いてそれを受け入れている後孔も。そして、見ただけでキュンキュンと中を締め付けてしまう直腸。興奮しすぎだと揶揄され、更に羞恥心を募らせた。 「んっ、んぅ、んっ!」  開かせられている下肢が恥ずかしいのに、興奮して快感を募らせてしまう体をどうにもできない。早く終わらせてくれとばかりに自分からも腰を振った。  みだらと言われたって構わない。実際、気持ちの良いことは好きだし、セックスも嫌いじゃない。アレクとの性交に限るが。 「く、ぅ……」  アレクが眉間に皺を寄せ、低い声を出した。腰を掴まれ、ズンッと下に落とされる。 「ああっ!」  S状結腸に突き刺さる剛直。浴びせかけられる熱い精液。気持ち良すぎて圭も白濁を放ってしまう。  夜風が心地良い。前髪をかき上げられる。アレクの顔が近づいてきた。瞳を閉じ、キスを受け入れる。  アレクの長い射精が終わる頃には腹の中は精液でいっぱいになっていた。本当に一度の射精が多いといつも思う。特に、今日初めての射精ということもあるだろうが。 「んっ」  腰を持たれて引き上げられる。ヌポリと音をさせて抜き出た性器。中を占める物がなくなり、腹の中が寂しくなってしまった。 「次はどこでしたい?」  チュッチュッと頬や額などにキスをされながら聞かれて苦笑する。当然のようにこれで終わりという選択肢がない。  ぐるりと辺りを見回した。本当なら「ベッドで」と答えるのが正論なのだろうが、明日で終わってしまう船旅が名残惜しい。 「海見ながら……って言ったら、や?」 「良いに決まっているだろう」  横抱きに抱え上げられる。スタスタと歩いて行ったアレクの行く先は、デッキの手すりだった。  手すりに手をつかされ、尻を後ろに突き出す格好にされる。犯され待ちしているようで恥ずかしいが、アレク以外見ている者もいないのだからと自分に言い聞かせた。 「あっ……」  ヌプリと挿入り込んでくる性器。もう力を漲らせている。相変わらず回復が早い。 「んっ、んんっ」  一度奥まで貫いているため、慣れた直腸は歓喜を持って剛直を受け入れた。まだ賢者タイムでも良いのに、火照る体が刺激を強請る。目の前には真っ暗な海。落ちた時にはあんなに冷たかったのに、数時間後にはこうして体を熱くさせているというのだから不思議だ。 「皆が健全に楽しんでる時に、ケイだけこうしてみだらに遊んで……ケイは色狂いか?」 「ん、ちが……、アレク、だから、欲しくなっちゃ……ひぁんっ!」 「くっ、可愛いことを言ってくれる……ッ!」 「ひぁっ! ああっ、ぅああっ!」  背後からのピストンの勢いが強くなった。肌を打つ音が響く。  唾液がダラダラとデッキに零れ落ちた。水音混じりの後孔といい、アレクにいい様にされて、意識が揺らめいてくる。 「もっとぉ! いっぱい、えっひ、ひてぇ!」 「いくらでもしてやる」 「んあああっ!」  またしても遠慮なく潮を噴く。柵を超え、プールに落ちて行く水を気にすることすらできない。 「あっ、まんこ、きもひいい、もっとちんぽしてよぉ!」  空イキを繰り返しながら尻を振って媚びる。腹の中をかき混ぜられる刺激に酔いしれた。 「あっ、ああっ、あっ……」  目の前にチカチカと星が舞う。気持ち良すぎて頭が馬鹿になってしまったようだ。キュンキュンと締め付ける後孔。遠慮なく穿ってくる性器に屈服する。 「ああああっ!!」  白濁を吐き出した。中にいるアレクをギュウゥと締める。 「くぅっ……」  苦し気な声の後、中で放たれる精液の感触。2度目だというのにビュービューと勢いがある。圭の吐き出した微量の射精とは訳が違う。  全身が脱力し、手すりを持っていられなくなる。ズルズルと床へと上半身が落ちていった。 「んぁっ、あっ!」  尻だけを持ち上げた格好で、3度目の注挿が始まった。イったばかりでもお構いなしだ。 「あえく、くる、しいよぉ」 「まだだ。まだ、全然物足りない」 「ふぁぁっ!」  ズボズボとピストン運動を繰り返す下腹。絶頂した後でイきすぎてツラいはずなのに、受け入れてしまう後孔。生理的な涙が零れる。顔中の孔という孔から液体が流れていた。  腕に力を込める。持ち上げた顔の先には手すりの隙間からキラキラと輝く星々と暗い海、そして、眼下にはデッキを照らす明かりが見える。  どれもが記憶に鮮明に映り込んだ。下肢に与えられる刺激と共に。  グッと胸を床に押し付けると、ピアスの角度が変わり、気持ち良い。 「う、ああ、あ、ぅあッ……」  気持ち良すぎてゴリゴリと自分から胸を動かしてしまう。  しばらく上下の快楽に身を委ねている内に、プツリと意識が途切れた。中に3度目の白濁の勢いを感じながら。

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