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【第2部 ヘルボルナ大陸】 第5章:秘密のお出かけ編 第7話

 満足そうな声を上げながらアレクが圭の傍へと歩いてきた。圭の背後まで来ると、丸みの帯びた尻を一撫でする。 「まったく、この浅ましい尻は、俺がいないとすぐに他の者に鞍替えしてしまうのか?」 「そんなことないし。ココ、いつでもアレク専用だから」  注挿させていた指を抜き、アレクに後孔がよく見えるようにと尻タブを開く。それまで指を入れていた孔は小さく口を開けたままだった。ヒクヒクと蠢いているのが分かる。指といえど、異物を挿入して慣らしていたのだ。元の窄まりへと戻るには若干時間がかかる。  圭の後ろでアレクがベルトを外している音がする。  この待っている時間は何とも言えない。これから抱かれると分からせられる。男なのに、同性による性の象徴で貫かれ、きっとあられもない声を出してしまう。人前だというのに。  それなのに、後孔はその瞬間を待ちわびる。奥が疼いて仕方がない。昨夜抱かれていないのだ。毎日望むだけ与えられる甘美な夜を過ごすのに慣れきっている淫らな体には堪らない。昼間抱かれたことなど忘れ、最奥の柔肉を激しく突かれたくてウズウズしてしまう。  後孔に熱い切っ先が触れる感触。期待に胸が大きく鳴った。 「ケイが欲しいのは俺のコレで良いのか?」  強く押し付けられた。後孔がその力に負けて少し窪む。  もう少しで中へと挿入ってくれるというのに。絶妙な力加減によって挿入の一歩手前で止められている。  この〝あと少し〟が、じれったい。圭の方はいつでも挿入への準備はできているのに。 「早く、中、極太ちんぽでいっぱいにしてよぉ!」  突き出している腰を更にアレクの方へと押し付けようとする。しかし、腰をガッチリと掴まれ、思うようにはできなかった。歯がゆさから、首だけで後ろを向いて潤んだ瞳でアレクを見上げる。 「アレクぅ……」 「分かった分かった。少し意地悪をしてしまったか。ほら、ケイの大好きな物を入れてやるぞ」 「んんぅ……」  少しずつ剛直の先端が括約筋を拓いて挿入ってくる。やっと与えられる熱い肉棒。ホッと安堵の息を吐く。  徐々に直腸を通過していく感触は堪らない悦楽を与えてくれる。隙間なく押し拓かれる強引さも好きだ。剛直に浮いた血管が襞を擦る。それだけでも気持ちが良くて蕩けてしまいそうだ。  前立腺までカリ首が到達すると、アレクはそこでピタリと止まった。 「んっ」  その場で小刻みに動かれる。前立腺がカリ嵩な性器によって擦られ、快感に腰を蠢かした。 「ケイが好きなのはココだろう?」 「んっ、すき……そこ、こしゅられ、の……しゅきぃ……」  自分からも腰を振ってアピールする。直腸内の快楽スポットはこんな野外であってもいつも通り圭のことを気持ち良くしてくれる。スカートをたくし上げ、見られながらという変態的な状況であったとしても変わらない。擦られるだけで悲鳴を上げ、圭の性器の屹立の角度を上げる。  しかし、そうなってくると今度は最奥が切ないと訴えてくる。その場所も良いが、奥の柔肉を早く穿ってくれと乞う。 「あれ、く……おくもぉ……」 「ケイは我が儘だな。でも、そんなところも可愛くて仕方ない」  ゆっくりと奥へと挿入が再開された。相変わらず前立腺は浮き出た脈によって性器が通るだけで快感を拾い上げる。そして、その他の直腸の襞もやっと再会できた剛直に歓喜する。  この一つになっているという感触が好きだ。アレクという生まれた場所も生きてきた時間も全く違う人物が、自分の中に体の一部を埋めて一緒になる。結合部は熱を持ち、溶けて混ざり合ってしまいそうな感覚。  圭の小柄な体には不釣り合いなアレクの巨根。それなのに、慣れすぎた体は喜々として受け入れてしまう。 「あっ……あっ……」  奥へ進む度に漏れてしまう喘ぎ声。女性のようで恥ずかしいが、我慢なんてできやしない。勝手に出てしまうのだ。  ゆっくりとした挿入は気持ち良くも物足りない。いつもみたいに早く激しく注挿してほしい。普段の激しい性交に慣れてしまっている体がいつもの刺激を欲しがっている。  若干物足りない挿入の末にたどり着いた結腸。アレクは何度かその場で奥の肉壁をノックした後、またしても止まってしまった。 「さて、ここで止まってしまったな。俺のはまだ全部挿入りきっていないが、これ以上はケイの体に負担をかけてしまうからなぁ」  トントンと結腸を叩かれる。いつもこんな所で満足なんかしないくせに。  もちろん、結腸を苛められるのも好きだが、その奥の更なる悦楽を知る体がアレクの性器へと抗議する。ギュウと締め付け、もっと深い場所へと誘い込んでいた。 「分かっ、てる……くせにぃ……」 「何をだ?」  相変わらずゆっくりと結腸を突き続ける性器。ジト目で振り返ったアレクは余裕を浮かべた表情だ。  アレク自身も見られて興奮しているのか、今日はいつも以上に焦らしが酷い気がする。  キュンキュンと疼く結腸の奥に、諦めの境地の中、縋りつく大木へと爪を立てた。 「もっと奥……深いとこ、してくんなきゃやだぁ……」 「でも、これ以上奥なんてないだろう?」 「けっちょ……おくぅ! そんなとこじゃ俺、満足できないよぉ! 入っちゃダメなとこまで来て、俺のエッチな体、アレクだけのって分からせてくんなきゃやだぁ!!」 「全く、我が儘な伴侶を持つと大変だ」  言葉とは裏腹に喜々とした声。アレクが挿入りやすいようにいきむ。何度か助走のように注挿した後、一気に奥へと貫かれた。 「んんんぅ……ッ!」  与えられた待望の一突きに背をのけ反らせる。最奥の深い所までやって来た剛直に直腸全体が歓喜で抱き着いた。  括約筋にはアレクの陰毛の感触。限界まで拓き切った縁に触れる皮膚とは違う毛独特の心地。  アレクはグリグリと少し腰を回した後、圭の腰を掴み直し、注挿を始めた。カリ嵩の極太性器が直腸を擦る感覚は悦楽を知った体にはご褒美以外の何者でもない。 「ああっ! あああっ!」  木の幹に縋り付き、突如として始まった激しい抜き差しから意識を保とうと必死になる。  鳥の囀りに混じる少し高い声。激しく突かれることで鳴ってしまう注挿による水音。どれもが淫靡な行為を音で分からせる。  長大な性器によってストロークの長い出し入れは刺激が強すぎる。しかも速度が速く、勢いを付けてピストンされているため、最奥まで入れられた時の肌を打つ音も大きい。  そして、最奥にめり込むように沈められる性器の先端に屈服する。柔肉を容赦なく強い力で突いてくる亀頭。穿たれる度に甘イキしそうになってしまう。  アレクのこの激しい突きは好きで堪らない。甘いだけのゆっくりとしたセックスでなんてもう満足できない体になっていた。もちろん、たまにならスローセックスも楽しめはするのだが、それだけでは足りやしない。こうやって追い詰められるような力強いまぐわいでしか得られないものもある。高校生という性に貪欲な年頃に教えられた行為。もうそれが圭の体にとっては当たり前になってしまっている。 「――ひっ、! あ……あ、くっ、ぅあッ……」  アレクの指が更に圭の腰へと食い込んだ。挿入の角度を変えられる。今度は挿入時に前立腺を強く擦るような角度で押し引きされ、強すぎる快感に幹へと爪を立てた。  ひっきりなしに漏れる嬌声によって、口は開きっぱなしになり、口の中に溜まっていた唾液が草の上へと落ちる。体の奥に浴びせかけられる強烈な刺激で生理的な涙が瞳に溜まっていた。気持ち良すぎて泣いてしまうのはよくあることだが、今ここで涙を流してしまっては嫌がっているように取られないか心配だ。  場所やシチュエーションは問題あるものの、アレクとの性交は嫌いでない。気持ちの良いことを嫌がるはずもないのだ。一人で行う手淫では得られない最上級の悦楽。後孔の中にあるスイートスポットを知ってしまって、逃れられる者なんているのだろうか。  グリグリと前立腺を抉った後、一気にS状結腸まで突き、柔肉を穿つ。元々敏感な直腸内でも弱い部分へとそんな刺激を送られ、我慢できる限界なんて簡単に超えてしまう。射精欲が高まり、完全に勃起している性器が白濁を放ちたいと訴えてくる。 「あ、れく……も……だひゃ、ひて……」 「冗談だろう? この程度でもう出していたら、ケイの精液はすぐになくなってしまうじゃないか」  そんなのいつものことだ。普段から精も根も尽き果てるまで求められるし、なくなってからも空イキができるだろうとアレクの気が済むまで付き合わされる。途中で意識をなくすことで終わることの方が多いが。 「やら、らひたい……も、イ、きたいよぉ!」  ブンブンと首を横に振る。イけないこと程ツラいことはない。射精欲というのは理性とはリンクしないのだ。我慢しようと思ってできる範囲には限度がある。 「じゃあ、いつもみたいにちゃんとおねだりしような」 「んんん……」  S状結腸の肉を先端で擦り、催促してくる。  確かにアレクはよく強請らせるが、毎回という訳ではない。自分から中出しを乞うことで、クリストフに圭が誰の所有物かを知らしめたいという意図を察する。  恥ずかしいが、言わなきゃそのうち性器を握って強制的にでも射精を止めてきそうだ。堰き止められる苦しさを知っている脳が警告を発する。 「あ、れくの、奥で、ビュービューして? 俺の中、アレクでいっぱい……して……」 「俺だけで良いのか?」 「おれも、……イきたい……まんこ、あえくのでいっぱい……して……おれも、くりちんぽから、えっちな汁、らしたい……ッ!!」  恥も外聞もない言葉を羅列する。これだけ言えばもう絶頂を許してくれるだろう。  その予測通り、アレクが絶頂へと向けて腰の前後運動を大きくさせる。圭の中を愛撫する動きから己の射精への欲求に向けた無慈悲なピストンが直腸の中で繰り広げられる。 「ンぁっ、……う゛あッ! っン……は、ぁっ」  アレクの容赦ない本気の注挿で圭の射精への耐久力も一気になくなる。精巣の奥で荒れ狂う白濁たち。もうすぐ細い尿道の管を駆け上がってくることを予感する。  もうアレク自身が射精に向かっているのだから、圭も我慢することなんかない。与えられる快感をそのまま享受し、吐き出したい物を好きな時に出せば良い。  ただ、アレクがイく前にイってしまうと、敏感すぎる体を擦られてツラくなるから、できるだけ一緒にイきたい。遅漏のアレクよりも圭の方が後に達するということは滅多にないことだから、イけないということは考えたことがないが。 「う、ああ、あ、ハアッ、んっ……ぅ゛っ……――!!」  瞳に滲んでいた涙が流れてしまう。気持ちが良すぎるのだ。いつものようにグズグズに泣きながら唾液を零し、抗えない快感の波に翻弄される。みっともないとかそんな考えなど何一つ浮かばず、ただただ射精への悦楽の中で腰を振るばかりとなる。動物とほとんど同じだ。  敏感な直腸が擦られすぎて快感で馬鹿になっていた。ギュウギュウとアレクを締め付け、その悦びを示す。そして、中にいるアレクもその礼とばかりに体積を増して圭の中を更に押し広げようとするのだ。その逞しい性器の力に負けてしまう。 「あっ……、ああっ、あああっ」  吐精への瞬間が訪れる。億という数の精子たちが精管を駆け上り、圭の可愛いと称されることの方が多い性器の先端から放たれた。ガクガクと体を大きく震わせながら絶頂の快感に酔う。 「くっ……」  強烈な締め付けと痙攣の中、少し遅れてアレクが最奥で放った。体の奥にかけられる勢いのある飛沫。その刺激ですら、また軽くイく。連続しての絶頂は更に体の震えを大きくした。  大木の下に生い茂る草へと圭の白濁が飛び散った。まるで粗相をしている気になる。もはや慣れすぎてシーツなどに精液や潮をかける分には全く気にしなくなっているというのに。  射精後の賢者タイムに入り、全身から力が抜ける。ズルズルと縋り付いていた幹から上半身が落ちていった。吐精後でも未だアレクは圭の中に入ったままだ。掴まれた腰だけが圭の体を支えていた。 「あっ!?」  挿入されている後孔だけを軸に両手両足を重力に抗えずダラリと下ろしていたが、アレクが圭の体を持ち上げたことで足が地面から浮く。腿の後ろへと抱える場所を変え、大きく脚を開かされた。スカートも相変わらずたくし上げられており、結合部が丸見えの状態に恥ずかしさで顔を染める。 「やっ、あれく……ッ!」  アレクが踵を返した。その方向にはクリストフがいる。凝視している瞳と視線が合い、圭は両手で顔を覆った。 「やだ! 見ないで! 見せないでよぉ!!」  ブンブンと顔を横に振る。自分たち以外にこんな痴態を見る人がいるなんて我慢ならない。AVへの出演や露出趣味なんてない圭にとって、羞恥の限界を超える行為だ。 「なぜだ? 相思相愛のケイと俺が愛し合っている最たる行為じゃないか」  頭上から喜々とした声が聞こえてくる。後ろのアレクを見れば、至極嬉しそうに極上の笑みを浮かべていた。  アレクがそのままの格好で歩き出した。未だ草に拘束されたまま地面に転がされているクリストフの横まで歩いて来ると、その端正な顔の真横で腰を下ろした。 「んんんっ!」  胡坐をかいたアレクの膝の上、脚をV字にさせられた状態で座らせられる。自重でアレクの性器を深々と飲み込む。まだイったばかりの直腸はヒクヒクと痙攣し続けていた。 「やっ、奥……イった後、きつ……」 「でも、達した後のケイの中は俺のことが大好きだと締め付けてきているぞ?」  そんなの、敏感になりすぎているだけだ。むしろ、動いてくれるなと制止しているようなもの。  しかし、クリストフの傍で嫌だ嫌だとばかり言っていては、それこそ本当に性処理扱いされてしまいかねない。  これは合意だと圭は自分に言い聞かせる。こんな恥ずかしい行為であっても、アレクが圭を喜ばそうとしていることであり、互いに気持ちが良くてやっていること。  目の前にいるのは人ではなく、ただの置物だと思い込めば良い。誰にも見られてなんかいない。ここに人間はアレクと圭だけしか存在せず、いつものように二人で愛を育んでいるだけ。 「あっ、あえく……ちょ、そん、なころ、ひひゃらぁ……っ!」  アレクが圭の膝裏に肘を掛けて脚を開かせたままにした状態で圭の性器を手淫で弄び始めた。イった直後だというのに、ダイレクトに擦られる強すぎる刺激に背を反らす。 「んあっ! やめ、……らめらっへ、ばぁ……!」  泣きながらブンブンと首を横に振る。そんな圭を楽しむように、睾丸まで一緒に揉み込んできた。アレクの大きな掌の中で優しく転がされる。性器と睾丸、2つの性感帯を同時に愛撫され、体の奥から一気に液体が駆け巡る。 「や、ほんろに……らめっ! らめ……ぁ、あああっ!」  我慢できず、性器から潮を噴いた。散った飛沫が目の前にいるクリストフにかかる。その様子を感じ入りながらも見てしまい、羞恥と罪悪感がないまぜになった気持ちになる。 「あ、ご、ごめ、なさ……ごめんなさい……」  下半身をガクガクさせながら必死になって謝った。  体液の中でも普通の人なら出さず、恥ずかしい部類の液体をかけてしまい、いたたまれない気持ちでいっぱいになった。いくら好いてくれていると話していても、さすがにこんなことをしてくるような相手への恋心は一気に冷めきっただろう。  あの優しいクリストフが軽蔑の眼差しを寄せて来るのを見たくなくて顔を両手で覆った。もうどんな顔して今後彼と接すれば良いのか分からない。 「潮を噴くほど良かったか。いっぱい気持ち良くなれて良かったな」  顔を覆っている圭の甲の上にアレクはスリッと頬擦りをする。その声は満足そうな響きを有していた。いくらなんでも、もうこれ以上のことはないだろう。人前で淫らな行為を晒し、更には汚液までかけているのだ。百年の恋であったとしても幻滅する。 「も、良いでしょ……アレク……」  小刻みに震えながらフルフルと小さく首を横に振った。絶倫のアレクの性欲はまだ満足し足りないだろうが、これ以上クリストフの前で痴態を晒す必要などないだろう。ここまでしたのだ。アレクと言えど、あとはゆっくりと2人きりでのまぐわいにさせてくれるはずだ。  クリストフの方を見ないようにしながら両手を外し、後ろのアレクを首だけで振り返った。優美に笑む麗人。こんな蛮行を強いているとは到底思えないような表情を浮かべている。形の良い唇は三日月型に弧を描き、圭を見下ろす瞳は優し気に細められていた。  その端正な顔が近づいてきた。キスされると悟り、当たり前のように目を閉じる。触れた唇から入り込んで来る舌。ねっとりと絡み、口内から唾液による淫靡な水音が響く。  こんな恥ずかしいことをされても、やっぱりアレクのことは好きだ。多分、アレクにだったら何をされても許してしまうくらいには愛している。こうやって愛を伝えてくれる行為も好きだし、未だ繋がっている下肢だって当然嫌いじゃない。圭の中を埋めるアレクの体の一部はそこにあるのが必然のようにぴったりと嵌まっている。 「んっ……ふっ、ぅ……」  気持ち良すぎるアレクとの口づけ。飲み込み切れず口内に溜まったどちらとも分からない唾液が圭の唇の端から零れ落ちていく。  どれくらい長く唇を重ね合わせていただろうか。唇を離してもらえた時には、またしても体の奥が疼く程にアレクを求めてしまっていた。  アレクは圭のことを「すぐに煽る」などと言ってくるが、アレクだって圭にとっては同様だ。いつでも翻弄され、体の芯までトロトロに溶かされてしまう。今だって、キス1回で圭の体は骨の髄までアレクを求めてしまっている。 「あれくぅ……」  無意識の内に甘えるような声が出てしまう。こんな所で続きを強請るのは本望ではないが、体の疼きはそんな状況などお構いなしにアレクを求める。  中に挿入っているアレクも濃厚なキスを経てしっかりと勃ち上がっていた。隆々とした性器が圭の直腸内で力を漲らせ、質量が増した分だけ中を押し広げる。 「……邪魔だな、この服は。ケイに不似合いだ」  クリストフが魔法で出してくれた圭の服の襟ぐりを掴むと、アレクは何の躊躇もなしに破き始めた。 「あっ」  ビリビリと容赦なく引き裂かれる。胸元がはだけ、勃っている乳首のピアスが露わになった。圭の胸を見たクリストフの目が驚愕に見開かれた。 「またこんなにも尖りを勃たせて。ケイの胸も本当に好き者だ」 「んあっ!」  アレクが乳首についているピアスを持って引っ張った。強い力に抗えず、桃色の先端が伸びる。  千切れるほど強くは引かれないが、圭以上に圭の体のことをよく知り尽くしているアレクだからこそ、その力加減は絶妙だ。少し痛いと感じるくらいの塩梅で伸ばしてくる。  そして、その痛みは快感と通じているのだから質が悪い。  胸元から感じるじんわりとした痛覚。ジンジンするような感覚が体の奥を刺激する。 「ケイのココはこんな風にされても気持ち良くなってしまうもんなぁ」  何度かピアスを引かれ、その度にビクビクと体を震わせる。  1度放った下腹がまた頭を擡げ始めた。アレクと出逢って毎夜のように濃厚な性交を繰り返している体はたった一回の吐精で満足できるほど淡泊ではない。高ぶるように体を弄られれば条件反射のように勃つ。  そして、スカートをたくし上げられている下半身はそんな浅ましく淫らな性器を衆目に晒してしまう。  アレクに比べたら細やかで可愛らしい圭の性器がピクピクと震えながら屹立の角度を増していく。女性の服を身に纏いながら男の性の象徴を勃ち上がらせている様はなんとも滑稽な光景だろう。  分かっているのに、自分では諫められない。勃起した性器を晒し、自らの体の高ぶりを知らしめることしかできなかった。 「こっちも邪魔だ。ケイの可愛いところを隠すことしかしない」 「あっ」  腰付近にたくし上げられ、下半身を隠す役割には今や一切役に立っていなかった真っ白いシフォンスカートも無残に引き裂かれる。これで圭の体を覆う服はなくなってしまった。  緑豊かな自然の中で一人だけ全裸にされている。もちろん、下腹だけを寛げて圭の中に入れているアレクも、植物に拘束されて地面に転がされているクリストフも、状況としては全てがおかしいのだが。 「これで邪魔なものはなくなった。ほら、もっと開放的になって良いんだぞ?」 「ひぁあっ!」  腿の内側をグッと掴まれ、力任せに大きく左右へと開かされた。アレクに咥え込まされている後孔がよく見えるよう、腰をクリストフの方へと少し突き出すようにされる。  更にアレクは性器を突き上げ、圭の体を小さく上下に揺れるようにと動き始めた。 「ああっ、あああっ!」  深々と奥まで飲み込んだ性器がS状結腸の奥の壁を何度も突いてくる。大きな動きではないが、それでも射精からまだ間もない敏感な肉を刺激されるのは堪える。 「んぁっ! ぁっ、あぁっ!」  体を捩らせ、与えられる強すぎる快感から少しでも逃れようとするも、ピンポイントで弱い場所を穿ってくるアレクの下肢から逃れる術などない。とにかく気持ち良すぎて、涙がまた零れ落ちてしまう。嬉し涙に近い生理的なものだ。 「気持ち良いか?」  コクコクと何度も首肯する。中を締め付けることで体でも快感を表した。 「良かったな。ケイは気持ち良いこと、大好きだもんな」 「しゅきぃ……きも、ちぃの、らいしゅきぃ」 「じゃあ、もっと気持ち良くなるために、自分でも胸弄って、もっと気持ち良くなろうな」  耳元で優しく囁かれ、脳が溶けそうな錯覚に陥る。吐息が耳殻に触れ、それだけでもゾクゾクと快感が体の中を走り抜けた。  直接耳を触られている訳ではないというのに、声と息だけでこんなにも圭の体を高ぶらせてしまう。圭以上に圭のことをアレクは知り尽くしているのだ。  理性的な考えなんてできない。アレクの言葉に従うのが正解だと刷り込まれた体が自然と両手を胸元へと運んでいた。 「んっ」  ピアスを摘まみ、引っ張ってみる。乳首が伸び、そこから生まれる甘い刺激。上半身にも悦楽の波が押し寄せる。奥を穿たれる下肢の刺激と相まって、体の中は快感のるつぼとなっていた。  種類の違う2つの悦楽。体内で混じり合い、気持ち良さは倍になる。  少しリズムをつけてピアスを引っ張ってみれば、痛気持ち良さに体を捩らせる。  ただただ真綿で抱き締められるような優しいセックスも好きだが、少し痛いくらいの激しさで攻められるのも嫌いじゃない。変態みたいで言えないが、反応を示してしまう体でアレクにはバレてしまっているだろう。  もっと気持ち良くなりたくて、ピアスを引っ張りながら空いている指先で伸びた乳首を撫でてみる。ゾクゾクとした快感が背筋を走り抜け、中にいるアレクをまたしてもギュッと締め付けてしまった。 「あっ、うっ、ふぅ……ッ!」 「ケイはそんな風に弄るのが好きなのか? じゃあ、後でもっと苛めてやろうな。乳首引っ張りながらいっぱい舐めて、もっともっと淫らな色になるくらい赤くしてやろうな」 「んんっ」  想像するだけで興奮してしまう。アレクの舌技はいつでも圭を快感の沼へと引きずり込む。しかも、表面ではなく奥底まで。少しザラついた舌が敏感な先端を愛撫すれば、絶対に気持ちが良い。しかも、アレクのことだから余すところなく舐めてくるのだろう。そんなことをされたら胸だけで、はしたなくイってしまいそうだ。考えるだけで体が期待に震えていた。 「ほら、ケイの淫らで可愛い場所もしっかり見てもらおうな」 「ふぁっ! あぁっ!」  見せつけるかのように大きく開かされた下肢を更に下からガクガクと突き上げられた。奥の柔肉に食い込む先端の力が強くなる。再び蓄積される射精欲。体内でグルグル巡るその欲を必死になって抑え込んだ。今の距離のままでは、またしてもクリストフにかけてしまう。 「ケイのここは相変わらずいつ見ても可愛く俺を食べているぞ。こんな小さな体で男の欲を頬張って。本当に好き者の体だ。そんなところも可愛いんだがな」  自分で仕込んだくせにと言いかけたが、喉の奥へと飲み込んだ。アレクと出逢わなければ、こんな行為知るはずなかった。全てはアレクのためだけの体になり果てている。 「んっ、ぅっ、も、で、そ……」 「またイってしまうのか? 本当にケイは気持ち良いのが大好きだな。じゃあ、はしたなくイこうな」 「あああっ!」  ガツガツと最奥を強く穿たれる。体内の臓器を容赦なく押される刺激。それも全て快感に変えてしまう。  アレクから与えられるものは全てが快感。何をされたとしても。そう体が覚え込んでいる。 「んああああぁっ!!」  2度目の逐情。吐精の量は一度目よりも少ない。それでも、放たれた白濁は放物線を描く。  幸いだったのは潮の時と違って量や勢いが少なかったことからクリストフにまでかからなかったことだ。射精を見られるという恥ずかしさはあるが、人にかけてしまうことほど羞恥に塗れることはないと先ほど知ったばかりだ。 「またすぐ放って。ケイは本当に快感に弱いな。俺との体の相性が良すぎて、すぐにイってしまうんだよなぁ」  背後から抱き締められながら耳元でうっとりと囁かれる。否定する気にもなれず、頷いた。  未だ圭の中で存在を主張するアレクの昂った剛直。確固たる力強さを持って狭い直腸内を拡げている。  全く力の抜けていない相手を感じながら、まだまだこの淫らな遊戯が終わりを見出せないと知る。 「イって痙攣しているケイの中は最高だ。締め付ける力も抜群だし、俺のことを好きだと伝えてくれるのが分かって良い。ずっとこの中にいたくなる」  抱き締められたまま後ろから頬擦りしてくるアレクのうっとりとした声。まだ射精していないアレクは快感へと昇る途上だろうに、動いてこない。  男の快感は射精時が最も強い。中での絶頂を知っている圭は気持ちの良い場所を擦られたり押されたりするだけでも気持ち良いが、イっていないアレクはまだ快感には至っていないはずだ。  もちろん、手淫や性具などで性器を擦る気持ち良さもあるが、それは絶頂へ向けての準備段階的な良さであり、射精の快感には至らない。 「んっ、んんっ」  アレクが小さく奥を小突いてきた。まだ絶頂の余韻に浸っている圭にとっては敏感すぎて少しツラい。しかし、この程度の動きではアレクも達するには程遠いはずだ。目的が分からない。 「ケイはまだまだいくらでもイけるもんな。ケイのここ、どうなってるか教えてくれ」  小さな突き上げを続けながらアレクが圭の手を後孔付近へと導いた。指先を括約筋の近くへと置き、アレクも指先を重ねる。そのまま左右へと開き、剛直を飲み込んでいる場所がより一層見えやすいようにと晒される。 「ケイ?」  聞いているだけで陶酔してしまうような声。優しさの中に断れない強さも感じる。ゾクゾクとした興奮が体内を駆け巡った。 「おれの、なか……アレクので、いっぱい……」 「もっと具体的に教えてくれ。俺がもっと興奮するように」 「んああっ」  ユサユサと下から揺さぶられ、S状結腸の肉に埋め込まれる肉の先端から与えられる刺激で腰の奥が疼いた。もう2度も逐情しているのに、すぐに快感を拾ってしまう。  貪欲な体が訴える。もっと欲しいと。アレクの言う通り、何度でも射精なしでの絶頂を得られる淫らな体が深い快感を求めて強請れと騒ぎ立てる。 「おれの、いんらんまんこ、あれくのちんぽ食べてよろこんでるっ!」 「そうか、ケイのここは、排泄孔ではなくて生殖器なのか」  何度も頷いた。少なくともアレクを受け入れている今は出すための場所ではなくなっている。性器を飲み込み、体内のイイ所を何度も擦られて感じている今、排泄孔などとはとても言えない。 「じゃあ、もっとよく見てもらおうな。淫乱で悦んでるケイのイイ所」 「ん、ぁあっ!」  注挿が少し激しさを増した。半分くらい抜き出す程度まで引いては最奥へと深く突き込む。スピードとしてはそこまで速くないが、それまでのまんじりとしたペースに比べれば桁違いだ。その分、強さも増して得られる快感も増える。 「あああッ! あっ、ああっ!」  ズボズボと括約筋を通る性器。見せつけるように開かされている足の先が快感でピンと伸びた。 「ほら、もっと教えてくれ。今、どんな風になってるか。もっとどうされたいか」 「んぁっ! ああっ、あっ!」  徐々に大きくなる突き上げ。体がその激しさを悦ぶ。襞の一つ一つがアレクの性器に纏わりついては速い注挿で屈服する。 「あっ、みて、ぇ! おれの、えっちなとこ……おとこ、なのに、ちんぽ……いれられてすぐイっちゃう、いんらんまんこぉ!」  もうやけくそで叫んだ。圭の雄たけびを聞き、アレクのピストンも再び大きなものになる。深く穿つ肉の刺激。3度目の逐情は量が少ない代わりに、絶頂の幅が大きかった。脳が揺さぶられるような深いアクメ。アレクの腕の中でガクガクと震える体。頭が馬鹿になってしまったように何も考えられない。ただ深い快感の波の中で漂うだけだった。  圭の絶頂と同時にアレクも中で逐情した。圭とは違い、2度目でも量は多い。腹の中に満ちる熱い粘液。圭の体の中に満ち、アレクの体液を得られたことに全身が歓喜する。  互いに絶頂を迎え、満足感でいっぱいだった。  もう、ここまで見られたら何だか全てがどうだって良い気がする。大切なアレクが喜んでいるのなら、もうそれで良い。圭にとっては人生の全てがアレクのためにあると言っても過言ではないのだから。  顎を掬われ、上を向かせられる。口づけが降ってきた。甘んじて受け入れる。柔らかい唇。触れてくれるだけで心地良い。うっとりしながらその感触を堪能する。重なった唇の中に入れられるアレクの唾液。零さないように全て飲み込もうとしても、事後のボンヤリした頭では上手くできず、唇の端から流れ落ちて圭の裸体へと零れた。  濃厚な口づけから解放されても、まだまだアレクが欲しくて堪らない。後孔を開かされていた腕をアレクの首に回し、もっとと唇をねだった。ハフハフと息を荒げながらアレクの首を近づけさせる。圭からも首を伸ばし、唇を奪った。互いの口元が唾液で濡れ光る。歯が当たっても気にしない。もっとアレクの体が欲しい。  キスの最中に体内から抜かれていく力の抜けた性器。ズルズルと直腸を擦っていく。嫌だと括約筋を締めようとしたが、3度の逐情で力の抜けた後孔は言うことを聞かなかった。 「あっ」  圭の体内から失われてしまった剛直。中が寂しくて堪らない。射精欲としては満足しているが、体の奥深くがもっともっとと騒ぎ立てる。いくらでも空イキのできる淫らな体は知っている。得られる快感がこの程度でないことを。アレクだって2度程度の逐情なんかで出しきれるほど淡泊ではない。  体の向きを変え、アレクの下腹へと顔を寄せる。圭の体内の粘液で濡れた性器は力を失って縮こまっていた。しかし、元々の大きさが人よりも巨大なアレクの性器は勃起していなくても存在感がある。  迷うことなくその性器にむしゃぶりついた。萎えていても大きく口を開かなければ全部入らない。まだ柔らかいアレクの性器へと舌を絡めた。まんべんなく舐めねぶっていく。舌の表面で感じるアレクの性器の熱さ。口淫はあまり頻繁にさせてもらえないこともあり、愛おしくて堪らない。  今度は口内を席捲するアレクの男性器。少しずつ力を漲らせ始め、先端からしょっぱい粘液が滲み出すのが嬉しい。頬を窄め、できうる限り喉の奥まで飲み込んだ。じゅるじゅると音をさせながら先走りを嚥下する。首を前後に動かし、アレクの性器へと奉仕する。 「そんなにがっついて。そこまで俺の性器が好きか?」  口淫しながら何度も頷いた。目線だけで見上げたアレクの顔も雄の顔をしている。目が合うだけでゾクゾクする。今、アレクの性器を嬲っているのは圭の方なのに、捕食者からターゲットにされたような錯覚を覚える。  そしてまたしても疼いてしまう腰の奥。満足しきれない淫らな体が早く子種を欲しいと喚いていた。 「ああ、しまった、この格好じゃあ、クリストフにもケイの淫らな顔を見せてやれないな」  アレクが腰を上げた。その下腹には圭が顔を寄せたままだ。その場で立ち上がったアレクの下肢に顔を埋めたまま、圭も膝立ちになる。そのまま口淫を続けていくと、アレクの性器には徐々に力が漲り始めた。口の中にいる性器の体積が増す。少し喉の奥が苦しくなるが、萎えている時よりも口淫はしやすくなった。舐める面積も増え、より一層積極的に性器へと奉仕した。  限界まで口を開き続けているため、少し顎が疲れて痛くなってくる。それでも、奥へと飲み込むのをやめなかった。性器に舌を絡ませたまま、ゆっくりと頭を上下させる。屹立の角度が増していき、アレクが気持ち良くなってくれているのが堪らない。口淫する角度を変えてみるなどして与える刺激に変化をつけてみる。頬の内側へと亀頭を当て、吸ってみた。先走りの量が増える。感じているのが嬉しい。男は反応が分かりやすくて良い。  口淫に夢中になっていたが、突然性器を引き抜かれてしまい、不満の視線をアレクへと寄せる。アレクは両手で圭の頭を持ち、首の角度を変えさせた。圭の顔がクリストフの方へと向く。口元には変わらず勃起した性器があった。 「美味しいか?」 「うん。俺、アレクのちんぽ大好きだから、いっぱい上の口でも食べられて嬉しい」  舌を大きく出しながらアレクの性器の側面を根本から舐め上げた。なるべくいやらしく見えるように。  こういう時、以前ユルゲンから指導された口淫の授業が役に立つ。きちんとこの行為に興奮していることを誰が見ても分かるよう、常に性器には舌を触れさせておく。あえて圭の顔を見せたいというのなら、よく見えるように性器の側面を咥えて見せる。それでもアレクの長大な性器は余るため、根本は手淫で奉仕する。唇でやんわりと食みながら舌の先端では口内にいる性器を舐め、右手では竿を、左手では睾丸を愛撫。できうる全ての技術でアレクに気持ち良くなってもらうための技術を施していく。  ある程度経ってから再びアレクへと目線を上げた。コクリと一つ頷かれたことで、許可を得る。もう一度大きく口を開き、口内へと性器を咥え込んだ。口の中に満ちる硬い肉の重量感。頬を窄めてできる限り奥へと誘う。喉の奥でえづきそうになるのを堪え、3分の2を飲み込んだ。口でのピストンを再開させる。アレクの腰を掴んでバランスを取り、今度は頭の動きの速度も上げる。先走りを飲み下し、鼻で息をしながらアレクの下腹へと懸命に舌技を施していった。 「んぶぅっ」  突然アレクに頭を持たれ、腰を強く突き入れられた。飲み込みきれないわけではないが、アレクの性器を全部口の中に入れるのはそれなりにツラい。息苦しく、眉間に皺を寄せていると、今度はアレク自身が腰を振ってきた。速い注挿に生理的な涙が浮かぶ。イラマチオはまだ余裕でできるというほど慣れていない。なるべくアレクが気持ち良いように口を窄めるが、喉の奥を突かれる行為はなかなかにしんどかった。 「んっ、んんっ、んっ」  少し体が強張る。その刺激でか、後孔から放屁のような音と共に最奥に出されたアレクの白濁が零れてしまった。体内にあった粘液が腿を伝う感覚。  尻から白濁を出しながら性器を咥える姿はクリストフの目にどう映っているだろう。しかし、今はそれよりもアレクを満足させることの方が大切だ。  えづきそうになるのをなんとか我慢しながら口淫に耐える。しばらくすると、口内にいるアレクの性器が更に大きくなった。絶頂を迎える前の太さと長さ。ここを乗り切れば、射精までは残りわずかだ。涙と鼻水と唾液を零しながらイラマチオを続ける。アレクの荒い息が聞こえてきたかと思うと、小さな呻き声と共に顔をアレクの下腹へと押し付けられた。喉の奥に流れ込んでくる精液。3度目でもまだこれだけ出るのかというくらい量は多い。  ほぼ強制的に嚥下し尽くすと、やっとアレクは満足したように性器を抜き出した。性器の全てが抜けると少し咳き込んでしまったが、後戯だとばかりに萎えた性器の側面を舐めた。 「美味しかったか?」 「うん。アレクのザーメン口でも飲めて嬉しいし、いつもあんまり飲ませてくれないから、美味しかった」  鈴口に舌の先端を差し込み、残滓を舐め取る。恭しく両手で性器を持ち、チュッチュッと亀頭を中心に口づけていく。アレクが纏う爽やかな香りも好きだが、ここでしか嗅げない男臭い匂いも嫌いじゃない。卑猥な気持ちになるし、全てがアレクの香りだから。 「まったく、触っていないのに股間を興奮させて。好き者が過ぎるぞ」  アレクの好色な視線が圭の下半身へと注がれる。確かに、アレクの言葉通り圭の下腹は緩く勃起していた。大好きな相手の性器を舐めていたのだから、当然勃起くらいする。  大きく膝を開き、腰を浮かして下腹を晒す。 「俺、アレクの舐めてるだけで勃っちゃうエッチな子だから、俺のちんこ、いっぱいお仕置きして?」  腰を前後に動かしながらアピールする。きっと、今アレクが欲しているのはこういうことだろう。アレクだけを求める姿を見せ、アレクのすることなら何でも受け入れる従順さを示す。  淫らに笑ったアレクが、圭の性器の先端で透明な涙を零している鈴口へと指先を置いた。 「んがっ!?」  指先から何かが尿道へと降りて来る。太く、硬い物で、中を傷つけられるのが怖くて動けない。 「淫らな圭はこの中も好きだからな。これ以上出せないように蓋をしてやろうな」  アレクはニコニコしながらもう片方の手で圭の薄い腹を摩った。何をされているのか分からず、怖くて震えてしまう。だが、尿道自体は元の世界に戻る前に棒を突っ込まれたことがあるため、アレクの邪魔さえしなければ傷つけられることはないだろう。  しかし、後孔と口内以外の場所に物を入れられるのはいくらアレクといえどもやっぱり怖い。怯えたまま下腹を見ていると、トンと腹の奥に硬い物が到達し、そこから前立腺を押された。 「はうっ!」  後孔側からではない別の刺激に体が跳ねる。鈴口から少し離れたアレクの指先からは透明な棒のような物が挿れられている。アレクがその棒を抜き差しすると、尿道側から前立腺を苛められ、体をくねらせた。 「あっ! それ、きもひよすぎて、ばか、なるぅ!」 「なって良い。どんなケイも愛してるし、馬鹿な子ほど可愛いと言うだろう」 「ああっ! あっ、ん、ああっ!」  慣れない刺激に責められ、やり場のない快感をどうして良いか分からない。派手に動けば尿道内を意図せず傷つけてしまう危険性があるし、アレクにされるがままだ。  もちろん、どこであろうと圭に傷が付けばアレクが治してくれるであろうことは分かっているが。 「そう言えば、先程の口淫の時にケイの尻から俺のが漏れてしまっていたな」 「わぁっ!」  尿道の注挿を止め、アレクが圭の体を持ち上げた。胡坐をかいたアレクの足の上に尻を突き出す格好で乗せられる。左右に尻タブを開かれ、先程まで剛直を受け入れていた後孔が露わになった。尻を開かれたことと態勢が変わったことで中の精液が再び零れ出した。 「ああ、また……。せっかく奥に注いでやったというのに、すぐに零して。悪い尻だ」 「あぅんっ!」  ペシリと軽く尻タブを叩かれる。そんな刺激ですら感じてしまう。ペシンペシンと軽い音が何度か響いた。強くはない。ただ、打たれた場所がジンとして熱を持つ。 「これ以上出て来ないようにするには、やはりこちらにも蓋をすべきか」 「あっ」  後孔へとアレクの指が挿入って来た。1本、2本と増えていく。 「あぅッ……」  剛直を咥え込んだ後ということもあり、3本目までは余裕だったが、4本目の指からさすがにきつくなり始めた。それでも、アレクは許してくれない。親指の先端が括約筋に触れ、少し強引に中へと挿入ってきた。 「あうっ……ぅ……」  圭の眉間に皺が寄る。指5本はさすがに苦しい。それでも、アレクは奥へと手を入れてくる。 「うあっ!」  手の一番太い場所が括約筋を通過した。手首になれば少し細くなる。ヒクヒクと括約筋は蠢いたまま、アレクの手の全てを後孔内に飲み込んでいた。  指は普段から入れられているが、手首まで突っ込まれるのは久しぶりだ。性器とはまた違う大きさに腸が開かれ、苦しさに息が浅くなる。 「ひぅッ!」  止まっていた腕が奥へと向けて進み始めた。性器よりも太い物が通る感覚に体が震えてしまう。指を入れただけでは届かない場所まで入り込み、括約筋も腕の太さへと広がっていく。結腸まで指先が辿り着くと、指の腹でその場所を撫でられた。 「あっ」 「ここも閉じ方を忘れたか?」  フルフルと首を振るも、説得力はない。実際に今、アレクの指で翻弄されるばかりで、閉じられていないのだから。 「どんな男も、ここを触れさせてはならないからな? ……まあ、どこだろうとケイに触れた時点で許しなどしないが」  後半、低く冷たく言い放ったのは、クリストフへの牽制だと分かっている。圭に対しても怒っているように思えて恐怖からギュッと中を締め付けた。 「大丈夫、ケイを悪いようにはしない」  頭を撫でてくる手は優しく、どんどん分からなくなってくる。後孔に腕を差し込まれている時点で普通の愛撫だとは誰も思わないだろう。普段のアレクであればここまでしない。まだ怒っているのだろうから、いつもなら嫌がることも甘んじて受け入れる。 「あぁ……うぁ……」  更に奥へと指が進んできた。S状結腸の壁に指先が触れる。指の腹で撫でられ、ゾクゾクとした。いつも突いてくる性器の感触と違う。 「ケイの中はとても温かいし、すごく締め付けてくる。陰茎よりも大きいのに、ちゃんと飲み込んで。本当にケイの体はイイ子だ」  指先が別々の動きでS状結腸の壁を撫でた。そのバラバラの動きにも感じ入ってしまうのだから困ってしまう。キュウと快感のままにアレクの腕を締め付ける。 「今日はギャラリーもいることだし、普段よりももっと刺激的なことをしてみようか」 「しげきてき……って?」  アレクの言い方に何だか嫌な予感がする。尿道への挿入に加え、腕を入れられているだけでも相当上級者プレイだ。これ以上何をすると言うのだろう。 「ケイのココは強くされるのが好きだから。たまには普段味わえない刺激で、どこまで耐えられるか見てみたくてな」 「んがぁぁっ!」  アレクが言い終わると同時に腹の奥でビリビリとした刺激が走った。  これには経験がある。以前、腕を入れられた時、前立腺のしこりに同じことをされた。あの時は微弱な電流を流したと言っていたか。  目の前がチカチカする。多分、尿道を塞がれていなければ何か出てしまっていただろう。何かまでは分からないが。  体がビクビクと震える。気持ち良いのか、痛いのか。もう何だかよく分からない。ただ、敏感すぎる場所に対して行う行為としてはあまりにも強烈過ぎることだけは確かだった。 「ケイは本当にここが好きだから。たくさんイかせてやろうな。出せないから、いくらでもケイならイける。良かったな、ケイ」 「ひぎゃぁっ!」  良い笑顔で頭を撫でられた次の瞬間、またしても最奥に電流をくらう。  こんなことをされているのに、圭の性器は勃っていた。ビクビクと震え続けている。  最奥はもう訳の分からないことになっていた。普段の突き上げよりも威力が強いのは間違いない。ただ、過ぎる刺激が全て快感かというと分からない。  電流が流れる度に全身が震えて生理的な涙が零れてしまう。直腸はそれまで以上にアレクの腕を締め付けていた。痛くないのかと思うくらいに。 「ケイは俺にされることは何でも好きだもんな」 「しゅ、しゅきぃ! しゅき、らからぁ……」  もうやめてくれという言葉だけは何とか飲み込んだ。クリストフの前では言えない。  電流の度に強制的な絶頂が与えられている。体の痙攣が止まらない。満身創痍だった。3度の逐情に加えて、暴力と紙一重の絶頂。確かに気持ちが良いということは否めない。しかし、さすがにここまでされると愛情と言って良いのか疑問になる。  それでも、アレクのために言葉だけはと自分を叱咤する。 「あえく、しゅき! しゅき、きも、ひいい、よぉ!」 「俺も愛しているよ、ケイ。じゃあ、もっともっと気持ち良くなろうな」 「あぎゃっ! ああっ、あああーっ!!」  アレクが性器に突き込んだままにしていた棒を注挿し始めた。最奥での電流と、前立腺への物理的な刺激。圭の腹の中は暴力的な酷い刺激でいっぱいになっていた。  気持ち良いが、強すぎる。さすがにもう意識を繋ぎ止めておくことだけで精一杯だ。 「ケイ、俺のこと、愛しているか?」 「らいすきぃ! あい、ひてゆ……からぁ!!」  何度目かも分からない電流の後、フッと意識が飛んだ。

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