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先々月の俺の誕生日に、櫻太はプロポーズしてくれた。 前々からそうしたいねとは話してたけど 病気で仕事も辞める羽目になって メンタルがズタボロになっていた俺に、 一生支えてやっから泣くな、と言ってくれた。 その所為で俺はもっと泣いたけど。 「俺…お前のこと嫌いになったわ……」 櫻太は変な顔をして、泣きそうになっている俺の顔を睨むと やがてため息を溢した。 「嘘つくんじゃないよ。何があったかちゃんと言いなさい」 「……うう…嘘じゃないもん…」 「莉衣(りい)?」 いつも冷静で、落ち着いていて、 だけど俺の気持ちをいつも理解しようとしてくれて。 普通、恋人が病気になって働けもしなくなったらきっと 手を離す人が多いに違いないのに。 そうです。 俺が櫻太を嫌いになるわけがないんです。

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