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「………俺…あと一年で死ぬんだって……」 泣きながら呟くと、櫻太は深く息を吐き出しながら 俺の隣にやってきて優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。 「…っ、俺のこと嫌いになった…?」 「なんでだよ。なるわけないだろ…」 「だ、だって…だって…俺死ぬんだよ…!?」 「そんな事でいちいち嫌いにならんわアホ…」 「でも……っ」 「俺は何があってもずっとお前の側にいるから、変な嘘つくな いいな?」 「でもぉ…」 「安心しろ、莉衣」 全然死ぬなんて実感はなかったけど、 やっぱり櫻太に抱きしめられていると、怖くなってきてしまう。 だけど櫻太は泣きじゃくる俺の額に口付けながら 「俺が死なせねーよ」 とだけ言った。

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