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第9話 二人の通じ合う気持ち※
聞いたことのない優しい声で、僕を逃さないと耳元で囁かれた僕は固まってしまった。強引に振り向かせられて、泣濡れた僕の顔をハッとした様に見つめたタカは、馬鹿みたいに嬉しそうな顔で言った。
「…奏が好きなんだ。もしかしたら中3の頃から好きだったと思う。執行部に引き入れたのも側に置きたかったからだ。でも、他の奴らと仲良くしてる奏を見るのは嫌だった。俺だけのものにしたかったんだ。やり方は凄い間違ったし、反省もしてるけど、頼むから俺を許してくれないか。…もう、俺のこと嫌いになったか?」
タカは話しながら段々顔を強張らせていった。流石に自分が酷いことをして来た自覚があったんだろう。僕はタカが僕の事をそんなに前から好きだった事にまずびっくりした。顔を強張らせて僕の返事を待っているタカが、何だかいつもの自信家なタカとは全然違うのが、妙に可愛く思えた。
僕はおずおずとタカに抱きついて、背中に手を回して小さな声で言った。
「…僕もずっと前からタカが好きだよ。今も、好き。」
頬に触れるタカの首筋の脈がドキドキとしているのが感じられて、僕はタカの気持ちを信じられた。
すっかり恥ずかしくなった僕は何だか顔を上げられない。散々えっちな事だってして来たと言うのに、妙にドキドキしていた。すると僕をぎゅっと抱きしめていたタカが優しく僕を呼んだ。
「…かなで。こっち向いてくれ。」
僕はタカの顔を見上げた。男らしいスッキリした眼差しと、少し肉厚な大きな唇を緩めて、タカは僕をじっと見下ろしていた。
「好きだ、かなで。」
そう甘く名前を呼んで、僕にそっと口づけた。その柔らかで包み込む様なキスは僕の全身を震わせて、ズキズキと興奮させた。僕はしがみつく様にタカの首に手を回して、その先を強請った。
何度もキスしてきたはずの僕たちは、今が本当のキスだったのかな。お互いの気持ちが繋がったキスは熱くて堪らなかったけれど、今までだって僕たちは同じ様な熱いキスをしていた気がする。セフレだった僕達のキスは、本当は両思いのキスだったの?
ふいに部屋の鍵を掛ける音がして、僕はタカの腕の中でぼんやり重い瞼を開けた。目の前のタカはぎらついた眼差しで僕に言った。
「恋人の欲求不満は喜んで解消してやるけど…?」
そういえば、この部屋に入るなりムラムラするからタカに慰めて貰いに来たって、僕が言った事を思い出した。僕は自分でも信じられない事を言ったんだと顔を熱くしながら、タカの胸に額をつけて答えた。
「ばか…。早く解消してよ。」
ベッドに深く腰掛けたタカが、僕と繋いだ手を引っ張って自分の腿の上に僕を跨らせた。僕たちは触れるだけのキスをしながら、少し震える手でお互いの服を剥ぎ取った。目の前の逞しくてなめらかな筋肉が僕のものになったと思うと、撫でてキスするだけじゃ味わいきれない気がした。
タカの唇が僕の首筋をなぞって胸にたどり着くと、僕の身体を引き寄せて、タカの愛撫のせいで少し育った胸のてっぺんを舌で舐めてつついた。僕は呻きながら、もっと強く吸ってとタカに甘えた。
じゅっとタカに吸われるとビリビリと痺れが股間に走って、僕は思わず腰を揺らした。すっかり高まった僕自身とタカの重々しいそれが服越しに触れて、僕たちはまるで申し合わせた様に擦り付け合った。ああ、逝きそう!
僕がそう言ったのか、そう考えただけなのか、僕はベッドに横倒しにされて乱暴に下着ごと脱がされていた。膝立ちになったタカがスエットと下着を引き下げて、猛り切った自分のモノをゆっくり手で何度か扱きながら、僕に尋ねた。
「…準備は?」
僕はクスッと笑ってタカに手を伸ばして言った。
「準備しておけって言ったよね?」
するとタカは急に困った表情で僕に覆いかぶさって、優しくキスして言った。
「あんまり虐めないでくれ。反省してるから。」
僕はタカの目の中に僕への情熱が籠っているのを見つめながら笑って言った。
「僕を喜ばせてくれたら許してあげるよ。」
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