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いい子だね。 9
唾液と涙でぐちゃぐちゃになりながらも呼吸を繰り返し、
いつの間にか自由になっていた両手を動かし、手探りで自分の上で震えていた篠田の身体に触れた。
「……さな、ぎさ…ん」
「ん……」
彼は橋名の腕を引っ張って少しだけ上体を起こし、めちゃくちゃに抱き締めてきて
わしゃわしゃと頭を撫でられる。
「よく我慢できたね、えらいぞ」
いいこいいこ、と彼の掌に撫でられると、体も頭もふわーっと浮かび上がるように心地よくなってしまって。
力の抜けた腕で彼を抱き締め返した。
「ふふ、君がこんなえっちな子なんて知らなかったなぁ?」
未だなお熱を帯びたような声色で、篠田は呟いていたが
橋名はふわふわした心地のまま、彼の体温や掌や香りに包まれていることに酷く安心して
そっと目を閉じるのだった。
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