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何かしたくて 2
サボっている間に昼休憩の時間になっていたようで、沙凪はストックしているカップ麺片手に休憩室に向かった。
「サナギさん!」
カップ麺のためのお湯を拝借する所存だったのだが、向かう途中で噂の橋名に捕まってしまった。
「あー…橋名くん、お疲れ様…」
「やっぱり。」
「やっぱり?」
「カップ麺を食べようとしていますね」
橋名は目を細めて沙凪が持っていたカップ麺を睨んだ。
「え…うん…なんで?ダメだった…?」
「ダメではないですが…毎日それっていうのはいかがなものかと」
彼は風体に似合わない正論を言いながら、何かを差し出す。
「これ、サナギさんに」
布に包まれた四角い何かを渡されて、沙凪は彼の顔を見上げた。
「なにこれ…」
「昼飯です」
「えぇ?俺に?」
「カップ麺よりはましかなって…口に合うかわかりませんが」
もしかして彼が作ったのだろうか。
沙凪は彼のそのキリッとした顔を見上げて、その健気さに頭がほわーんっとなってしまい
ついつい頬を緩めてしまう。
「いらなかったら捨ててください」
「そんな事するわけないじゃん。
嬉しいよ、ありがとう」
礼を言うと橋名は顔を赤らめていて、はい…、としおらしく頷いた。
「そ…それじゃ…」
橋名はさっさと去って行ってしまって、
暫く余韻に浸っていたが、ずしっと重みを感じる包みを片手に今来た道を戻って行った。
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