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何かしたくて 3

自分の机に帰ってきた沙凪はカップ麺を元に戻し、包みを開いた。 黒い弁当箱の中には、白いご飯と色とりどりの具材が詰め込まれていて ビジュアルの素晴らしい弁当だった。 「…いただきまぁす」 誰かの手作り弁当など何億年ぶりなのだろうか。 沙凪は付属されていた箸で、食材を口に運んだ。 「うわぁ…めっちゃおいしいじゃん…」 上手な味付け、綺麗に切り揃えられた食材達。 きっと栄養バランス的なのも考えられているのだろう。 不健康な食生活をしていた沙凪にとっては染みる内容だったし 何より人の手料理というだけで嬉しいのに。 恐らくは彼の、“まずは胃袋をつかめ作戦”的なものなのだろうけど、 そんな古風な戦法に普通にまんまと落ちそうになっている沙凪であった。
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