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片付いてる 2

暫く歩いて、一軒のマンションにたどり着く。 比較的新しいマンションなのか、綺麗でエントランスやらの作りも少々おしゃれな感じだった。 「初めてここに人連れてきたかも」 などと言いながら沙凪は照れているように笑っていて、 橋名はきゅんきゅんにやられながらも彼について行った。 3階の角の部屋が彼の住まいらしく、緊張しながらも誘導されるままに部屋に入った。 部屋は普通の1LDKだったが、やはり新しいのか壁も床も綺麗で 玄関もキッチンもなんだかこざっぱりとしていて 小さな冷蔵庫と電子レンジと、 ただの板張りの上に背の低い机が置かれているだけの部屋は 引っ越したてかと言うほど生活感のカケラも無かった。 「なんか…すごく…片付いてますね」 「いいんだぞぉ?なぁんにもない!って言ってくれちゃって」 彼はそう言いながら奥の扉の向こうに鞄を投げやっている。 「…ミニマリストってやつですか?」 「うーんそんないいもんじゃないよ。 俺片付けできないし管理も苦手だから余計なモノ持たないことにしたの あと結構引っ越し多かったからこっちのが楽かな〜って」 「そうなんですか?」 「うん。まあ。 橋名くんには…物理的に勝てなさそうだからもう大丈夫そうかなぁ」 「へ?」 「んーん。こっちの話」 沙凪は苦笑すると、まあ座って座って、と小さな机の前に誘導してくる。

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