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橋名くんになら 1
結局、沙凪を抱きしめたまま眠ってしまった橋名は
窓から差し込む光で目を覚ました。
間近で見る眼鏡のない沙凪の顔は素直に美しくて。
橋名は彼の頬を撫で、起こさぬようにそっとベッドから降りた。
脱ぎ散らかしていた洋服を拾い集めて、
プチ飲み会のまま放置されていた部屋の中を片付ける。
キッチンとは名ばかりの調理スペースには、調理器具はおろか食器すらもほとんど何もなくて
生活感の欠如した物の少ない部屋で一体彼はどうやって生活しているのだろうかと些か心配になってしまう。
「んー…はしなくん…?」
沙凪が目を擦りながら奥の部屋から出てきた。
シャツ一枚を羽織っただけの格好に、橋名は思わず目を逸らす。
「片付けてくれたの…?ありがとう」
「いえ、全然…ていうか、寝ちゃってすみませんでした」
そんなつもりはなかったのだが、結局帰らずに泊まってしまったことになる。
沙凪は欠伸を零しながら、橋名の近くにやってきて顔を覗き込んでくる。
目のやり場に困るのでやめて欲しかった。
「んふふ。落ちちゃったの初めてかもぉ
本当はDomがそんなんなるの良くないんだけどね?」
「す、すみません…」
体力バカな自分を呪いながら謝ると、いいよ全然、と沙凪は首を傾けてくる。
「シャワー使ってよかったのに、入ってきな?」
「…はい」
彼にそう促されて、橋名は昨日散々めちゃくちゃしておきながらもまた再び変な気を起こしそうになり
逃げるように彼から離れるのだった。
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