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追いかけたい 1

橋名くんはだいぶ可愛い。 クールな顔をしているけどいつも一生懸命だ。 大きな身体を折り畳んで会社に収納され、走り回って、それだけでもきっと大変なのに。 最近の企画部の成績は鰻登りだったが、各方面では角が立っているようだ。 若くして実力を発揮するキョウカ女史のそのクセの強さは恐ろしく人を選ぶようで、あり得ないほど気に入られている一方でとんでもなく邪険にしている連中もいるという両極端さを誇っている。 沙凪が所属する経理部は性質柄、どちらかというと後者寄りだった。 そのおかげで自分の上司である男に怒られている橋名を観察しながら 勝手に怒鳴ってんじゃねえよ、と身の程知らずに考えてしまって とてもじゃないけど見ていられなくなってしまい部屋から逃げ出した。 珍しく自分がイライラしてる事に、いよいよ末期らしいと思う。 最近彼からの弁当デリバリーはパッタリと止んでしまったし、メッセージもそんなに来なくなってしまった。 会社で会っても会釈程度で雑談をけしかけられる事も減ってしまって、 どうやらいよいよ飽きられたらしいと当たりをつける。 少し寂しかったけど、でも、 これで良かったんだと思うことにする。 そうしないと、ダメでしょとも。 自分達の関係は元々なんでもなかったし、自分は橋名の何かにはなれない。 考えると言ったものの自分から拒否をしたに等しい。 だから、辛いとかは思ってはいけないのだ。
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