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追いかけたい 4

「君の考える幸せが…世界共通だと思わないでよ 自分が上手く出来るからって調子に乗らないでくれる? みんながみんなそうできるわけじゃないんだからさ…」 自分が幸せになりながらも人を助ける余裕すらある彼が、ただ優秀というだけだ。 自分のような人間は、ただの一人を守ることすら出来やしない。 「俺は君みたいにはできないよ。 やろうとも思ってない…臆病者だって笑えばいいんじゃない」 「笑えねえよ…、お前が拗らせ続けてる限りな…」 「別に拗らせてないし…」 彼はため息を付きながら、沙凪の顎に触れて無理矢理そちらを向けてくる。 「お前の所為じゃない… 俺だってあいつに3回は殺されかけてる」 「…苦労がわかりました〜って…?ふざけないで」 同じ場所に立っていても、少し高い位置から見下ろされるとまた劣等感が生まれて来てしまう。 睨み付けても彼は平然としていて、沙凪の瞳を覗き込んできた。 「俺が…追い詰めたんだ……、分かるでしょ…?」 「…篠田」 不意に泣きそうになって、沙凪は彼の手を下ろさせるようにその腕に触れた。 「…俺のことはいい…、君は殺されないで…幸せにしてあげて… ゆきくんは…それが出来る人でしょ…」 ぎゅう、とその腕を掴んで見上げると彼も泣きそうな顔をしている。 「……俺はお前が思ってるほど出来た人間じゃない… 時々…、止めなかった方が…良かったかもしれないと思うくらいにはな…」 彼に顔を近付けられて、沙凪は眉を下げて笑った。 よく見ると彼はちょっと寝不足な顔をしているし、やっぱり大変なのかもしれないと思う。 自分の所為でもあるのかもしれないと思うと申し訳なさが膨らんでしまうけど。 「バカだなぁ…そんなわけないでしょ… 笑わせて幸せにしてあげた方がいいに決まってるよ」

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