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個人的な話 2
エレベーターで二人きりになってしまい死ぬほど気まずい時間が流れてしまう。
本当は沙凪とどういう関係なのか聞いてみたかったけど、そんな資格なんてないから橋名は俯いているしかなかった。
「…橋名くん、だっけ。キョウカちゃんの所の子だよね?」
向こうから話しかけられてしまい、橋名は怖々と彼を見た。
「は…はい…」
あまり会ったことはなかったが、彼は本部の立場のある人だった。
本部でもキョウカ女史は有名らしかったが、自分まで把握されているとは思わなかった。
それとも沙凪に手を出しているから、なのだろうかとどぎまぎしてしまう。
「あんまり構えないで欲しいんだけど…個人的な話してもいい?」
彼に微笑まれて、橋名は頷く他なかった。
あの件が無くたってただでさえお偉いさんと二人で話しなど構えるななんて無理な話であったが
じゃあ、と彼に連れられて橋名はエントランスホールの奥にある喫煙スペースに連れて行かれてしまった。
幸いそこには誰もいなかったが、橋名はどうしていいか分からず彼からなるべく距離をとってスペースの隅に立っていた。
「あー…まぁ、そうだな。
単刀直入に言うね。篠田と仲良いの?」
早速聞かれて、橋名はどう答えたものかと考えてしまう。
変な汗が出てきて鞄を持つ手に力が入る。
「……お、俺が一方的に…好意を寄せてるだけです」
沙凪の部が悪くなるような事の無いようにと考えた結果、それが精一杯の表現だった。
嘘では無く本当の事だし。
彼は電子タバコを取り出しながら、そっかぁ…、と呟いた。
「じゃあ…さっきは誤解させちゃったよね。ごめんね」
橋名ほどでは無いが背がすらっと高くて、所作も綺麗で、顔も身なりも整っていて
明らかに別世界の人間だと分かる。
それなのに穏やかな口調と優しい眼差しには、何一つ勝てる気さえしない。
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