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個人的な話 5
「そっか。
…あいつが自己犠牲的なのは分かってるよ。
Subの欲求を叶えるために、首絞められてもコマンド使わないようなやつだからな」
「え……」
「Domってのは、相手がどうして欲しいかを察して動かにゃならん。
プレイによっちゃ命に関わるしなぁ。
そういう点からするとあいつはDomとして優秀すぎる…
分かりすぎて…、止めなきゃと分かっていても叶えようとしてしまう
その結果矛盾で苦しむことになる」
橋名は遂に押し負けてしまってふらふらと蹌踉けて壁に背を預け
思わず彼の胸に片手をついてしまった。
やっぱり、沙凪を苦しめているのは自分なのかもしれない、そう思うと辛くて。
「俺…俺は…全然いいSubじゃない……
サナギさんを困らせてばかりで…」
だから彼は自分に何も預けてくれないのだろうか。
なんだか立っていられなくなって、橋名は床にへたり込んでしまった。
息が上手く吸えなくて、心臓の音が嫌に早く煩く聞こえる。
「おい…?どうした?」
「…っ…」
彼に顔を覗き込まれるが、橋名は苦しすぎて立ち上がる事もままならなかった。
「マジかよ…ドロップしかけてるじゃん…お前ら付き合ってたんじゃないのかよ…」
「そう…したかったけど……断られて……」
心と身体がバラバラになっていきそうに、視界がぼやけて意識が遠のきそうだった。
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