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どうしたいか 2
「俺は…サナギさんの、いうことしか聞きたくない……っ
触って欲しいのも…サナギさんだけ…です……」
今だって彼と向かい合っていると余裕がなくなって、もっと自分を見て欲しいと思ってしまうのに。
「…サナギさんの為に何かしたい…なんでも、したい…
だけど…サナギさんにとってそれは迷惑なんだとしたら…嫌…で
サナギさんには笑っていて欲しい…、困らせたいわけじゃないんです…っ」
彼のことがこんなに欲しいのに、自分では全然届かないような気がしていて、橋名はまた泣いてしまった。
「迷惑だなんて一言も言ってないんだけど」
沙凪はそう言いながら、手を離した。
とさりと身体はベッドに倒れてしまう。
「だって…毎日じゃなくても、いいって……」
「あれは…橋名くんが無理してるならと思って…」
橋名は両手で顔を覆ってまた泣きじゃくってしまった。
今日はどうにも情緒がおかしくなっているらしい。
「はぁ…もう、ちゃんとどうしたいか言わないからだよ…」
沙凪は呆れたように言いながらも橋名の両手を退けると、顔を近付けてくる。
「…俺がハッキリしないからだよね…ごめん」
眉を下げながら謝られると、そんな顔をさせたいわけじゃないのにと思ってしまう。
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