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どうしたいか 6
「俺はね…橋名くんだけだよ…?
こんな風に触られて、気持ちいいの…」
少しずれている眼鏡の向こう、その瞳は滲んでいて綺麗だった。
そんな風に言われると嬉しくて泣きそうになってしまう。
だけど彼がまた気遣ってくれているのではと思うと、つい縋るように見つめてしまう。
「本当…に?」
「うん…本当だよ…橋名くんだけ」
沙凪はぎゅう、と橋名を抱きしめて耳元で呟いてくれた。
彼の匂いに包まれて、それが凄く幸せだった。
今この瞬間時が止まってしまえばいいのにと思うくらい。
沙凪の手は、するすると橋名の体を撫でて橋名のネクタイを優しく解き始める。
「橋名くんも…俺だけだもんね?」
彼の美しい指先はネクタイを解き、つー、と服の上から身体を撫でて、
もう自分ではどうしようもないくらい張り詰めていた橋名の自身へと触れた。
「っ…当たり前…でしょ…」
橋名は必死な眼で彼を見つめた。
「あなた以外考えられないんです…っ…俺は…」
綺麗で、優しくて、少し残酷な人だ。
こんなに近くにいるのに、彼の考えていることが何一つわからなくて
自分はありえないくらい掻き乱されている。
「サナギさんが他の人に触られてたら嫌だし…っ、でも俺には…そんなこと言う権利なんてなくて…」
橋名は涙を溢れさせてしまいながらも、身体に触れていた彼の手を取って自分の頬へと押し付けた。
「俺ばっかり…サナギさんでいっぱいで……っ
それが…サナギさんにとっていいことなのかも分からないのに」
ぎゅ、と彼の手を握り締めながら
何もかも彼に支配されて喜んでいる自分と、それなのに彼に置いていかれたらどうなってしまうのかと不安で堪らなくなっている自分に翻弄されてしまう。
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