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どうしたいか 7

「…俺だって橋名くんの事でいっぱいだよ… 君にどうしてやればいいのか…そんなことばかり考えてる」 沙凪は橋名に顔を近付けて、唇で涙を拭うように頬に口付けてくれた。 「俺はもう…逃げないようにしたい… 君とちゃんと向き合って…、君の望む事を叶えたいと思ってる… それが例えどんな事でも…俺は橋名くんになら……」 彼は橋名に握られていた手を動かして、優しく頬を撫でてくれる。 「俺は面倒臭がりだし…気付いた時にはいつも手遅れで… 言って貰わなきゃ分かんないバカなんだ… だから、どうしたいかちゃんと俺に教えて…橋名くん」 橋名は泣きながら、その吸い込まれそうな瞳を見つめた。 「お…俺は…サナギさんに笑っていてほしい…」 果てどない欲求は吐露されていって、彼は黙って聞いてくれていた。 「サナギさんの為に…出来ることをしたい…、 …お、お好み焼きだって弁当だって作りますし…サナギさんの部屋の掃除したり…歩くの、面倒だったら…俺が背負います… 朝…起こすし、毎日…メッセージ送ります…っ、だから…」 「……だから…?」 「側に…居させてください……っ」 ボロボロと泣きながら懇願すると、沙凪は橋名を抱きしめてくれた。 優しく頭を撫でられて彼の香りに包まれていると、凄く安心するのに何故か涙は止まらなくて。

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