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どうしたいか 8

「…こんな俺の側に居てくれるんだね」 彼の言葉に橋名は何度も頷いた。 「後悔しても知らないよ?橋名くん 俺は君に殺されるまで…君を俺でいっぱいにし続けてしまうかも」 耳元で、笑いながらそんな風に呟かれると身体が妙にざわついて 橋名は彼の背中に腕を回して、ぎゅううと抱き締めた。 「俺が…サナギさんを殺すわけないでしょ…!」 上に乗っかっていた彼の身体を持ち上げるようにして押し倒した。 サナギはベッドの上に転がって、橋名を見上げてくる。 「……うん」 「でも…サナギさんが逃げ出しても追いかけてしまうかもしれませんよ…」 「ふふ。…うん」 さら、と彼の黒髪を撫でると沙凪は微笑んだ。 その妖艶さには思わず熱を帯びたため息が溢れてしまう。 「俺は本当は怖がりで…出来ることの方が少なくてさ… 嫌なこと…苦手なこと、面倒なことを避けてきた。 その所為で逃げ癖がついて…大事なものからもそうしたくなってしまう… ちゃんと向き合ってあげなきゃいけないものからもさ…」 沙凪の片足が、橋名の腰に絡んできてすりすりと背中を撫でられる。 「…俺はDom失格だよ… だから…もういい…俺は“お願い”を聞いてもらう事にしたんだ。 ね?しっかり者でいい子の橋名くん?」 彼の指先が橋名の首に触れて、つう、と撫でるように顎の下に辿り着く。 「…俺のこと管理してよ。 俺のこと追って…捕まえて…… 逃げられないように、して?」

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