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運命の人 3
「終わったー!」
沙凪は皿を洗い終えると、笑顔を向けてくる。
それは大変可愛らしくて最高の笑顔だったが
橋名は緊張状態から解放され、はぁ、と息を吐いた。
「ね?ちゃんとできたでしょ」
沙凪はそう言いながら見上げてきて、橋名は複雑な気持ちになりながらも頷いた。
信用できない、とかそういうことじゃない。
自分がやった方が早いとか、そういうことでも。
皿を割って怪我したらとか考えると居た堪れなくなって、彼の食べた皿くらい自分に洗わせてくれてもいいのにとかいう
意味のわからない不満も出てきてしまう。
だけどそんな風に感じた事なんて初めてで、
普通なら、こんなことを思いはしないのだろうし。
そう思うと自分の欲求は変なのだろうかとか、また自信が無くなってしまう。
「褒めてよぉ」
沙凪は口を尖らせながら橋名の胸を突いてくる。
橋名は慌てて彼の頭を撫でた。
「ありがとうございます…?」
「えへへ」
確かに沙凪の可愛さは爆発していたが、橋名はなんだか複雑だった。
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