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運命の人 4
わがままだろうかと思う。
こんなに素晴らしい人が一緒にいてくれているだけで充分なはずなのに。
「じゃあ、はい、橋名くんの番ね」
橋名がちょっとだけ泣きそうになっていると、沙凪はそう言って床を指差した。
反射的に床に膝をつくと、沙凪はぎゅっと橋名の頭を抱きしめてくる。
「よく我慢できました!」
「…っ…え…?」
彼はぐしゃぐしゃと頭を撫でてくれて、えらいえらい!と何故か褒めてくれる。
すると全身があり得ないほど震えて喜んでいて、橋名は涙を溢れさせながら彼の身体にそわそわと腕を回した。
「橋名くんはいい子だねえ」
彼はそう言いながら額に頬擦りしてくれる。
身体も心も解けていって、説明のつかない涙をただただ溢れさせていると
沙凪はそれに気付いたのか、眉を下げながら頬を撫でてくれる。
「……そんなに嫌だった?」
橋名はだらだらと泣きながらも彼にしがみついた。
「い、嫌とかじゃ…ないけど…っ、なんか……っ
サナギさんが怪我したらどうしようとか……俺…や、役に立ってないみたいで…」
言いながらも何故か胸が詰まって嗚咽しそうになってしまう。
余計なことだと分かっていても、何かしたくて、動いていたくて。
涙で濡れた視界の中、彼の輝く瞳を見つめると
安心感とか、好きだという気持ちとか、そんなものに混じって恐怖が沸き起こってしまう。
「………い、要らないって言われるのが……怖い……」
思わず放ってしまった言葉に、橋名は自分で恐れ慄いてしまって
両手で顔を覆った。
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