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運命の人 5
“Dom”にとって、“Sub”であれば誰でも良くて。
従順で素直で、可愛くあれば、だれでもよくて。
そんな風にずっと思っていた。
だけどそこから外れてしまう自分は要らないのかも。って。
今まではそんな風に思われても言われてもどうでもよかったのに、
沙凪にそう言われてしまったらと思うと怖くて仕方がなかった。
「誰かがそんなこと言ったの?」
彼の手が優しく頭を撫でてくれて、橋名は震えていることしかできなかった。
沙凪はため息を溢しながら、そっと橋名の手に触れる。
「橋名くん、ちゃんと顔見せて」
そんなことを言われ、橋名は怖々と両手を離した。
沙凪はどこか冷たい目をしていて、びく、と身体が強張る。
両手に指を絡められ、膝の上に乗られるように彼の身体が近付いた。
「あのさぁ俺といるのに俺以外のやつのこと思い出さないでもらえる」
どこか冷たく響く声に、何故か心臓がどきりと跳ねて顔が熱くなってしまった。
「それって誰のせいで泣いてるわけ?」
「え…っと…?」
「誰のこと考えてこうなってんのって聞いてんの」
ぎゅ、と痛いくらい両手に絡んだ指が強く圧をかけてくる。
橋名は翻弄されながらも未だに溢れる涙を晒しながら、沙凪から目を逸らす事ができなくなっていた。
頭の中が彼でいっぱいで、何も考えられなくなりそうで。
「さな、さなぎさん……」
思わず呆然と答えてしまうと、沙凪は小さく笑った。
「当たり前じゃん、俺以外のこと考えてそんな顔するなんて許さないから」
そんなことを言われて、ただでさえ頭の中がパンクしそうなのに。
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