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運命の人 7 Fin

「ごめんね橋名くん… そんなに刺激に弱いとは…抑えたつもりだったんだけど…」 沙凪は眼鏡を押し上げながらもそう言っていて、 今までもいろんなDomと対峙してきたが割と平気だったのにと思ってしまう。 やっぱり彼だからなのかもしれない。 「でも橋名くんも悪いんだよ…? 可愛くてつい意地悪したくなっちゃうんだもん…」 「意地悪……?」 「だって…橋名くんは、好きなひとに、尽くしたいんだもんね?」 さっきのあれは意地悪だったのかと思うと、沙凪はちゃんと自分の性質を分かってくれていたのかもしれない。 そう思うと彼の掌の上で転がっていただけだという事が今更じわじわと変な熱を持って身体を駆け抜けていって 橋名は再び鼻から血を垂らしながらも呆然と彼を見上げてしまう。 「サナギさん…俺…なんか……幸せ、です……」 とても緊張しているはずなのに何故かふわふわしている感じもあって 不思議な心地だった。 彼は驚いたように目を丸くした後、泣きそうに眉根を寄せて抱きしめてくれる。 「もぉ……なんでそんなにかわいいの…!?」 それはこっちの台詞だったが、いい子いい子、と頬擦りしてもらうと頭がぽやぽやしてしまう。 「…やっぱりサナギさんは、俺の運命の人です」 まるで煮溶かされたみたいな脳が抽出した言葉が、そのまま零れていく。 この広い世界で見つけ出した、 自分の全てを埋め尽くして支配する人。 ......fin (※この後もうちょっとだけ続きます!)

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