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世間話 5
「だからぁ、出産のお祝いをお渡ししただけだって…
友達としてね?」
休憩室の端っこで弁当を広げながら沙凪は疑うようにじろりと見つめてくる橋名に説明をしていた。
「サナギさんがいいなら…いいんですけど…」
彼はぼそぼそと呟いていて、なんでそんなに可愛いんだろうと沙凪は思わずニヤニヤしそうになって必死に顔を作っていた。
だけど、関係ないのに自分達の事情に巻き込んでしまったのも事実で
沙凪はため息をつきながらテーブルの下で彼の片足に両足を絡めてこちらに引っ張った。
「…橋名くんが良くないんだもんね?」
両足で彼の脛をすりすりと撫でるようにすると、橋名はどこか顔を赤くして俯いた。
「ごめんなさい…なんか…、
サナギさんが取られるかもとか思ったら…胸がざわざわして…」
「俺が取られるわけないでしょ?」
「分かんないじゃないですか…サナギさん綺麗だし…優しいし…え、えっちぃし…」
口ごもるようにぼやいている彼に、どの口が言ってるんだと思ってしまう。
今だって若干視線を感じている気がしてならないのに。
どう分からせてやろうかと考えていると、休憩室にばたばたと誰かが飛び込んできた。
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