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世間話 6
「あーいたいた!!はっしー!」
こちらのテーブルに走ってきた男は、橋名と同じ企画部の有澤だった。
「あ、篠田さんちわっす!」
「お疲れ様です」
元気に挨拶されて篠田は営業スマイルを浮かべて小さく頭を下げた。
「いや、お食事中のところ申し訳ないんだけど
ちょっとやばいことなっててさ!」
「やばいこと?」
「キョウカサマが役員の人と大喧嘩してて…!」
「うわ…まじか…」
はっしー助けて!と有澤に泣きつかれ、橋名は心底嫌そうにため息を溢している。
「相変わらず大変そうだね?」
「すみません…サナギさん」
「全然。いってらしゃいー」
橋名は食べかけの弁当を片付け、有澤に引き摺られるように去っていってしまった。
あの二人は恐ろしく人を選ぶで有名なキョウカ女史の保護者のようになり果てている気がしてならない。
キョウカ女史と働くことと、
自分と付き合うことは同じくらい大変なのではないかと思ってしまう沙凪だった。
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