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灯台下暗し 1
何をどうやったらそうなるのか分からないが、本部の役員のおじさんと取っ組み合いの喧嘩になっていたキョウカ女史を止め
彼女の話を小二時間は有澤と共に聞いてやった橋名だった。
ようやく解放され、話を聞いている間滞っていた日々の業務を終えた頃には
日はどっぷりと暮れていた。
「あー…まじで疲れた…」
隣で同じ目にあった有澤は、屍のようになっている。
「来週また本部の人達が来て会議あるっしょ?どうする…?」
「何か考えないとだな…今日みたいな事が続いたら俺たちは死ぬかもしれない…」
「てかまじで人欲しいよなぁ…」
「それな…」
企画部は仕事量の割にキョウカ女史が恐ろしく人を選ぶため、新しく入ってきても早々に根を上げていってしまう。
自分達も是非とも部署を移動したかったが、彼女と付き合える人間はなかなかいない為その願いは絶望的かもしれない。
「お昼食べ損なったし…」
「あー、てかはっしー最近篠田さんと仲良いみたいじゃん」
帰る準備をしながらも有澤にそんな事を言われて橋名はどう答えていいか分からず、まぁ…、と曖昧に頷いた。
「篠田さんを虐めてるわけじゃないよな?」
「は?そんなわけないだろ」
「側から見ると小さいウサギを追い詰めてるライオンに見えるんだよなぁ…」
有澤は失礼な事を言っているが、沙凪がウサギなのはなんとなく分かる気がして苦笑してしまう。
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