127 / 145

灯台下暗し 4

「ご飯まだですよね?食べに行きません?」 彼に誘われてそんなのはもちろんイエスだったが、明るい所で彼の姿を見たら死ぬんじゃないかと思ってしまう橋名だった。 「なるほどぉそういうことね。そりゃ邪魔できんねー?」 有澤はにやにやしながら橋名を見つめてくる。 「い…いや…えっとぉ…」 「俺は今日友達とネトゲする約束あるんで帰りますよ。いやこれはマジな話ね?」 「そうなの?」 空気を読んでくれた有澤に沙凪はきょとんとした顔をしている。 「でも駅まで一緒行きましょ」 「うん、じゃあ。橋名くんは大丈夫?」 「あ、はい…俺はお供します…どこまででも…」 若干ぼうっとした頭のまま橋名が答えていると有澤は面白そうに笑いを堪えている。 三人で駅まで歩き出したが、 橋名は二人の後ろからついていく形で、楽しそうに喋っている有澤と沙凪の背中を見つめていた。 いつもと少しだけ雰囲気の違う沙凪は、それはそれはもう魅力的だったし わざわざこんな時間に、自分達がいるかどうかもわからないのに迎えに来てくれた事も嬉しかったし 橋名は勝手に胸がいっぱいになってしまうのだった。

ともだちにシェアしよう!